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2018年12月28日 21:00 更新

お節料理ってどんな由来や意味があるの? 食材や料理に込められた願い

お正月といえばお節料理を楽しみにしている人も多いですが、その由来や意味をご存知ですか? 使われる食材や料理には、それぞれいろいろな願いが込められているので、お正月は子どもと一緒に食べながら意味について話す良い食育の機会となります。クイズのようで、意外と子ども達が盛り上がりますよ。

こんにちは♪ キャラ弁・フラワーケーキ講師のよんぴよままです。

私の実家では、年末は家業で忙しかったため、大掃除やお節料理の準備は母の指導のもと、子ども達が中心に行うのが恒例でした。私も小学校高学年のころからお節作りに参加。本を見ながら栗きんとんを作っていた思い出があります。

結婚して驚いたのは、お節料理に興味を示さない夫! 確かに、今の時代にはお節料理に興味がない人が多くなっているのかもしれません。数年の間は年末年始は帰省していたので機会がなかったのですが、2人目の子どもが生まれた年に初めて帰省など一切ないお正月を迎えることになり、本屋さんに行ってお節料理の本を1冊購入。

それ以来、ほぼ毎年自宅用のお節料理を作るようになりました。家族の好みに合わせて作るのもあって、今では夫も子ども達も、お正月だけ食べられるお節料理が好きに。毎年お節料理を食べながら、子ども達と由来や意味について話題になります。日本の文化や伝統が伝えられ、食育の機会にもなっています。

お節料理とは

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お節料理は、お正月に食べるお祝いの料理という印象が強いと思いますが、もともとは違ったようです。「御節供」「節会」が略されて「おせち」と呼ばれるようになり、元来は五節供(五節句)に出されるお祝い料理をさしていました。

五節供は奇数月に行われる行事で中国より伝わったもの。人日(正月七日)、三月三日(上巳)、五月五日(端午)、七月七日(七夕)、九月九日(重陽)の五節供は、日本でも明治の初めに廃止されるまで行われてきました。その後も年中行事として人々の中で伝えられ、祝われています。節会はまた違う日も含まれますが、宮中で行われた行事です。

五節供の中でも一番大切なお正月に出されるものがお節料理として定着し、形式も時代によって変化しながら今の重箱に詰める形になりました。これも近年は皿盛りなども人気で変化し続けています。内容も、縁起物を中心としてきましたが、若い人や子どもが食べやすいように洋食を取り混ぜながら変化してきています。

料理や食材の由来や意味

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お節に欠かせない祝い肴は、家族の健康と繁栄を願った縁起物。その中でも祝い三つ肴が基本とされ、それがあればお節になります。この三つは関東では黒豆、数の子、田作りで、関西では黒豆、数の子、たたきごぼうとされています。地域によって使われる食材や料理が変わるもの面白いですね。

料理や食材にはいろいろな由来や意味が込められているので、他のお祝い事の料理でも使われる食材も多くあり、調べてみると、とても興味深く、大人だけでなく子ども心もくすぐってくれます。冬休み前に幼稚園や学校でも先生から教わって、家で子どもが教えてくれるなんてことも。どんなものがあるのか代表的なものをご紹介していきましょう。

黒豆

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黒は邪気を払う色とされ、健康で長寿となるよう、無病息災を願う意味が込められています。また、日焼けして黒くなるまで「まめ」に働けるようにとの意味もあります。

数の子

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数の子はニシンの卵。ニシンを「二親」とかけて、その卵の多さから子孫繁栄と豊穣を願う縁起ものです。

田作り(ごまめ)

カタクチイワシを肥料として使ったところ、たくさんの米が収穫できたことに由来し、五穀豊穣の願いが込められています。

ごぼう

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ごぼうは地中に深く根を張ることから、家庭の土台がしっかりし栄えること、豊作と息災を願うものとしてお節料理では煮物やたたきごぼうなど、よく使われる食材です。たたきごぼうには叩いて柔らかくすることから、運を開く=開運の願いも込められています。

紅白蒲鉾

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紅白はお祝い事に欠かせないおめでたい色のため、お節にも使われます。また、この形を初日の出に見立てているともいわれています。

伊達巻

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材料となる卵や白身魚は昔は貴重で高価な物で、お祝いの時にしか口にできない贅沢品。伊達巻の巻いてある形は巻物(文書・反物など)を連想させ、文化・文学・教養を身に付けられるように、衣装に困らないよう繁栄するように、との願いが込められています。

栗きんとん

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きんとん=金団とかけて金運の良さや繁栄、商売繁盛の願いが込められています。

二色卵

黄色は金、白は銀を表し、富を願うもの。二色=錦とかけています。

ぶり

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ぶりは、成長とともに名前の変わる出世魚。出世を祈願して使われます。

海老

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腰が曲がるくらいの年まで、元気に長生きできるようにとの長寿を願い、用いられます。

紅白なます

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大根と人参でおめでたい紅白のため、またお祝い時に使われる水引を表しているともいわれています。

たこ

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たこは酢だこにしてお節に登場します。たこ=多幸をかけて幸せを願う縁起ものです。

蓮根

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蓮根は酢の物や煮しめなどでも使われ、お祝い事の料理にはよく用いられます。穴が開いている形から、先を良く見通せるようにとの願いが込められています。

昆布巻き

昆布=喜ぶとかけて、幸せを祈願するものとして用いられます。他にも昆布=子生と字をあてて子孫繁栄、よろこぶ=養老昆布とあてて長寿を願うものとすることもあるようです。また、伊達巻同様に巻物を表し、学問や知識を身に付けられるようにという願いも込められています。

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筍もお祝い時の料理でよく使われる食材です。すくすくと真っすぐ成長する姿から、子どもの成長を願う意味が込められています。

煮しめ

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煮しめや筑前煮などもお節料理には定番です。縁起の良い筍や蓮根をはじめ里芋や八つ頭、クワイなども子孫繁栄を願う食材です。新春を告げる梅の形にした梅花人参が華やかさを添えてくれます。

お節料理の詰め方

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現在のお節料理は、重箱に詰めるのが一般的になっています。四段にするのが基本とされ、地域によっては五段の場合もありますが、家族の人数が減り、量が多過ぎて……といったこともあって三段にしている家庭も多いのではないでしょうか。このお重も「福を重ねる」という意味が込められています。

■壱の重
伝統の祝い肴や口取りを詰めます。
黒豆、数の子、田作り、たたきごぼう、蒲鉾、栗きんとん、伊達巻など。

■弐の重
縁起の良い海の幸などの焼き物を中心に。
ぶりの照り焼き、海老の甘辛煮、鯛の塩焼きなど。

■参の重
煮物を詰めます。
煮しめ、昆布巻き、筑前煮など。

■与の重(数字の四は死を連想させるので使いません)
酢の物を詰めます。
紅白なます、菊花かぶ、蓮根の酢ばすなど。

【伝統的な詰め方】
■市松:市松模様のように盛り付ける形式。
■段取:横一列に平行に料理を詰めていく形式。
■七宝:中央に大きなひし形に一品、四隅にそれぞれ一品ずつ盛り付ける形式。
■桝詰:斜めに詰めていく形式で、中央に一品、両側に奇数列詰めていきます。

どの段にどんなものを詰めるのかこのような決まりはありますが、地域や家庭によって異なっているのであまり気にし過ぎず参考にしてみる程度に捉えても良いのではないでしょうか。同様に、伝統的な盛り付け方もありますが、そうしないといけないということではなく、見栄えする詰め方として参考にしてください。

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最近は重箱がない家庭も増え、お皿に盛り付ける「皿盛り」も人気があります。三が日同じものを食べるのは飽きてしまう……というときは、重箱からお皿に変えてみるのも気分が変わっておすすめです。

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和食器やお正月らしいプレートに盛り付けても趣が出ます。

家族が喜ぶお節

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近年は、伝統的なものに洋食のご馳走を加える和洋折衷のお節料理が人気。市販のお節でも、オードブルといった雰囲気のメニューが盛り込まれているのがほとんどです。広い世代が集まるお正月だからこそ、それぞれが好むものが入っていると喜ばれます。

こちらは我が家の2018年版お節料理です。八幡巻きやのし鶏(松風焼き)などのお節定番の肉料理の他に、家族に好評の焼き豚もプラス。田作りはナッツ好きの家族のため増量に増量を重ね、年々ナッツの割合が増えていますが、実は我が家の人気ナンバーワン。お重に詰める以外に、別の器でも出しています。

伝統も守りつつ、家族の好みに合わせて足し算引き算して今の形になってきました。これが我が家の伝統となり、次の世代に伝えたいものとなってきています。   

まとめ

お正月に食べるお節料理は、その年の家族の幸せと健康を願う気持ちが込められています。使われる食材や料理には、それぞれ由来や意味があり縁起の良いものばかりです。伝統的なものだけでなく家族が好むお祝いメニューも加えて、お正月ならではの味を楽しんでください。特別なご馳走を食べながら、由来や意味についてお子さんと話した思い出は、きっと家族の思い出としても特別なものとなるでしょう。日本の伝統や文化を伝える良い機会となりますように。

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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