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2023年04月05日 11:31 更新

麻布中学に合格!元CAの母が導く中学受験の合格サポート | 世界で働く親が考える子供の教育#4

「海外の教育事情ってどうなってるんだろう……」中学受験を考えている編集部 川島にふと湧いた疑問。それを解消するため、海外で働くパパママたちに取材してみました。「世界で働く親が考える子供の教育」は、5回の短期連載でお届けします。

青山葉子さん(仮名・40代)は、元国際線CA。現在は外資系企業の秘書をされている葉子さんは、とても気配りに長けた女性です。息子の慶人さんは、香港の日本人学校で教育を受けた帰国子女。麻布中学を受験し、見事合格しました。成功の背景には、葉子さんの中学受験の情報収集と「合格への導き」がありました。

アルゴチャンピオン争奪!香港サイドと九龍サイドで熱戦を繰り広げ、見事優勝

算数が得意な日本人小学生が、香港島側と九龍側に分かれて対戦する
算数が得意な日本人小学生が、香港島側と九龍側に分かれて対戦する

慶人さんが東京で幼稚園に通っていた頃、小学校受験をさせようと思っていた葉子さんは、小学校受験対策を網羅しているといわれる「こぐま会」に入会させました。慶人さんの知育の基礎は、そこで育まれました。

習い事に関しては「幼少期に空間認知能力を鍛えることはとても大事なので、アルゴクラブ※に入れました。香港にも教室があり、大会があります。香港の場合は香港サイドと九龍サイドで戦います。前回負けた側の親は『今回はトロフィーを取り返してきて!』と言いながら子供を応援します」慶人さんは小学校3年生のときに優勝、香港のアルゴチャンピオンに。大きな自信に繋がった出来事でした。

※アルゴクラブ…算数オリンピック数理教室。算数オリンピック委員会と東大の学生で開発した​​カードゲームなどを使用して数理的な思考力を磨く

年上の友人と仲良くしていたおかげで「次は君が受験する番だよ」という空気に

慶人さんが通った香港日本人学校の校舎入口
慶人さんが通った香港日本人学校の校舎入口

「香港では、たまたま日本人が少ないマンションに住んでいました。息子の学年よりもお兄さんやお姉さんがいて、おつきあいから色々なことを学ばせて頂きました。息子が低学年の頃から、勉強や習い事、それに、男子の成長過程における母親の悩みまで、たくさん相談にのって頂きました。その延長上で、受験の話題になることもありました。

実際に受験をされた先輩ママの体験談はためになりましたし、入学後についても伺うことができ、感謝をしています。その経験から、私と息子が経験したことも年下の学年の方から訊かれたときにはお答えして、引き継ぐようにしていました」と葉子さん。経験談のバトンが繋がっているそうです。

麻布中学の受験勉強について

受験する学校は、慶人さんと葉子さんで麻布中学に決めました。香港で仲良くしていた友人が葉子さんに麻布の情報を詳しく教えてくれたことや、6年生の夏休みに実際に学校を見学してみて、雰囲気がとても良いと感じたそうです。また、「海外生活が長かったので、日本の道路標識がわからなかったり、電車にひとりで乗ることも出来なかったことから、少し不安になったことも。そういった状況も受け入れてくれる学校を探しました」と葉子さん。麻布で学校見学をしたとき、充実した設備が整っている図書館をみた慶人さんは「この学校がいい」と心に決めたとのこと。

麻布中学の過去問を解いているうちに、慶人さんと葉子さんはそれぞれの学校の出題傾向がわかってきました。「よく、過去問は学校からのラブレターと表現されますが、学校がどういうタイプの生徒が欲しいのか、問題から透けて見えてきます」と、葉子さん。国語と算数が得意な慶人さんは、麻布の問題との相性が良いと感じたそうです。ちなみに、麻布中学の社会の問題もレベルが高く、最難関問題が出題されることで知られています。

受験直前までのスケジュールは慎重に計画。冬服の素材まで入念にチェック

小6の12月。いよいよ受験本番に備え、日本に帰国しました。日本で貸していた家がタイミング良く空いたので、葉子さんが先に一時帰国をして、大急ぎで生活できる環境を3日間で整えてから慶人さんを迎え、早稲アカのお正月特訓を3日間受けました。その後は、同じく早稲アカの「NN志望校別コース」※の麻布中学の問題を集中して解きました。先生方はとても協力的で、リズムを崩すことなく本番に臨むことができたそうです。

※​​​​「NN志望校別コース」とは、「何がなんでも志望校別コース」のこと。早稲田アカデミー初代社長の須野田誠氏が命名。小学6年生のための講座で、2月1日の難関校の傾向に合わせ、同じ志望校の生徒を会場に集めて講義を行う。

「香港と日本は気候が違うので、日本の一番寒い時期に着る服の準備には気をつけました。風邪をひかないように暖かく、本人の気持ちが落ち着く袖丈や素材をチェックしました。面接で着る服も同様に慎重に準備しました」

中学受験あるあるは「当日まで何が起こるかわからない」です。洋服や持ち物のチェック、当日口にする食事の管理は実はとても大事で、ちょっとしたことでいつものペースが乱れ、気持ちが焦ることもあり得ます。コロナ禍に実際にあったある学校のケースでは、朝にチョコレートを食べた受験生がマスクをして問題を解く際に自分のチョコレートの匂いで気分が悪くなったという話もありました。

麻布中学に入学して感じたこと

麻布学園には​​3つの校則しかないことが知られています。「麻布の校則って①鉄下駄の禁止 ②授業中の出前禁止 ③賭け麻雀の禁止だけなんです。これは昔から言い伝えられているのですが、面白いですよね。自由なんです」と、葉子さん。自由といっても、トップクラスの試験を勝ち抜いてきた生徒が集まる場。個性豊かな才能が育まれているそうです。 

実際に麻布中学で学んだ慶人さんは「僕は麻布の校風が好きだし、合っていると思った。生徒がそれぞれ個性的で、その個性をお互いに認め合っているところがいいと思う」と語ったそうです。中学と高校ではサッカーと討論部、そして文化祭実行委員に所属し、活動にも熱心に取り組まれたとのこと。

麻布学園の文化祭はとても盛り上がります。高校2年生が中心になって発足する実行委員約30名が企画をし、色々なセクション(局)に分かれて構成。文化祭当日は、一般からも多くの人々が訪れます。中学受験生にとっては、麻布生の個性豊かな活動を垣間見るチャンスのようです。

ーー葉子さんのサポートと慶人さんの頑張りで麻布中学に合格しましたが、中学受験の時期は思春期と重なることもあり、親子の間で衝突が起こることもあります。葉子さんにサポートの秘訣を伺ったら、「子供への声かけ3ステップ」を実践していたそう。
①最初に親からの意見をしっかり伝える
②伝えたあとは、一旦さらりと違う話に切り替える
③次に「どうすればいいだろう?」と問いかけて、子供と一緒に考える
とのことでした。ぜひ参考にしてみてください。

(取材・文:栗尾モカ)

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