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2023年03月22日 11:21 更新

3姉妹全員帰国子女入試に合格!駐在生活から学んだこと | 世界で働く親が考える子供の教育#3

「海外の教育事情ってどうなってるんだろう……」中学受験を考えている編集部 川島にふと湧いた疑問。それを解消するため、海外で働くパパママたちに取材してみました。「世界で働く親が考える子供の教育」は、5回の短期連載でお届けします。

井川慎二さん(仮名・金融・40代)は、ロンドンの駐在員。以前はシンガポールに家族揃って駐在していました。ある年、ロンドンへの赴任が決まり妻の玲子さんと次女の梨花さん、三女の瑞穂さんと共にロンドンへ引越しをしました。長女の百合さんは高校に進学するため、日本での生活がスタートしました。その後、母の玲子さんと次女の梨花さん、そして三女の瑞穂さんは3年間をロンドンで過ごし、2人とも得意な英語を活かして帰国子女受験にチャレンジ。梨花さんは高校、瑞穂さんは私立中学に見事合格しました。

慎二さんは現在もロンドンに駐在中。中学受験を経験している慎二さんのアドバイスと、いつも三姉妹を励ます明るいムードメイカーな玲子さんによるサポートが功を奏し、3姉妹全員が帰国子女受験で第一希望の学校に見事合格しました。ロンドンと日本ではどのような受験準備をされていたのでしょうか?お話を伺いました。

父が考える教育方針「イギリスでの学校生活を充実させること」

熱心な先生が多く、井川さん姉妹が通学が楽しみだったというロンドン日本人学校
熱心な先生が多く、井川さん姉妹が通学が楽しみだったというロンドン日本人学校

「私自身は、中学受験を経験しています。せっかくロンドンに住んでいるので、娘たちには受験のための塾がメインになる生活を送るのではなく、日本人学校でしっかりと学び、生活を充分に楽しんで欲しいと思いました。ロンドンの日本人学校は素晴らしい環境でした。クラスの人数が少なく、一体感があり、いじめがありませんでした。イギリスでは多様性に関する教育が義務化されており社会が多様性を重視しているので、人種差別、性的差別、出身差別、外見で差別をしないことは最低限のマナーとして理解されています。日本人学校のクラスでも、それぞれの個性を認め合う雰囲気に繋がっていたと思います。また、結果としてそれぞれの家庭の教育意識も大変高かったです。勉強はもちろんのこと、道徳的な学びを得ることも出来る環境でした」と慎二さん。

「シンガポールでも日本人学校に通っていたので、娘たちはロンドンでも日本人学校に通いました」と慎二さん。イギリスの日本人学校に関しては「日本人の先生たちは教育に対する熱意がありました。それぞれ手を挙げて渡英しているので、やる気が違います。1学年2クラスで、1クラスの生徒は18名。先生の目もそれぞれの生徒に届き、とても丁寧に教えてくれました。英語に対しては、ネイティブの先生が生徒の英語の力をのばしてくれました。そのおかげで帰国子女受験にも合格できたと思います」

また、イギリスの現地校の教育について、手厚い英語教育が行われていることに感心したとのこと。「イギリスの現地校では、英語が話せない生徒が入学したとしても、サポートのノウハウがとてもしっかりしており、生徒が教室で困らないようにしています。たとえば、英語が得意な生徒が苦手な生徒にバディとしてつく場合もありますし、言葉が話せなくても意思の疎通ができるように文字が書かれたカードを持たせてくれたりといった配慮もありました」

我が子の中学選び

公立にも良い学校がありますので、学校選びは本人の意志を尊重しました。
結果、娘が選んだのは、ミッション系で先生の教育も手厚く、生徒の自立を促す校風の私立中学でした。その選択も良いなと思いました。

日本の中学受験の英語は英検と出題傾向が似ている。英検テキストで学習を

「日本の私立校を受けるのであれば、英検をやっておいて損はないと思います」と、慎二さん。帰国子女受験においては、英検の級を持っているとテストの点数に加算されたり、英語のテストが免除になる学校まであります。一般的に「英検を持っていても実践的な英会話に繋がらない」と言う声も聞きますが、日本の中学受験においては、英検で勉強をしておくと有利になることが多々あります。

帰国子女受験をする生徒の英語力の基準は学校によってまちまちなので一概には言えませんが、おおよそ英検準2級レベルがスタートライン。2級や準1級、幼い頃からインター校で教育を受けてきた生徒は1級を持っている場合もあり、帰国子女受験には、各国から英語が得意な生徒たちが集まります。仮に英語を武器に出来ない場合には、ハイレベルな英語力を求められる学校を候補からはずすか、別の教科の力を強化して合格への作戦を練る必要があります。

井川さんの3姉妹は、それぞれ恵まれた環境の中で英語を楽しみながら学んでいました。英会話の面接試験は、慎二さんが面接官をする形で練習をしたことも。

日本に帰国してからの8ヶ月間、集中して取り組んだ受験勉強とは

瑞穂さんは、6年生の4月に玲子さんと次女の梨花さんと共に帰国し、最寄駅にある個別指導の塾に通うことにしました。そこでは算数(六年生の算数の勉強と受験算数)、国語(言葉力、長文問題、漢字)に通い、9月下旬に受験校をいくつか候補を決め、10月に1校に絞り、それを塾の先生に話して、受験校に合わせた授業を組み直してもらいました。瑞穂さんは、学校見学をしたときに「ここがいい!」と決めたミッション系女子校に向けて試験勉強を始めました。試験科目は、国語・英語・算数・英会話面接です。
偶然にもその塾には瑞穂さんが希望している学校出身の先生が教えていました。これは、と思い、その先生から英語を学ぶことに。他には、英語の文を書くにも必要な語彙力、文章力を伸ばす為の国語、受験算数を合わせて週に3日塾へ通っていました。
帰国後は、英語の勉強にオンライン学習「QQ English」をプラス。1回25分のクラスですが、この長さが塾がある日でも体力的に負担にならず、レッスン費用も良心的だったので助かったとのこと。志望校の試験に合わせて対策をしたおかげで、12月中旬に行われた試験本番も無事に乗り切ることができました。

既に憧れの制服の準備も整い、これから6年間の学校生活を控えている瑞穂さん。「学校の雰囲気がとても良かったです。美術が盛んな学校なので、美術部で活動したい」と、笑顔を輝かせながら語ってくれました。

ーー中学受験は「団体戦」と言われることがあります。「中学受験をする」と決めてから家族一丸となって準備をし、本番に臨みます。この間、各家庭にそれぞれ涙あり笑いありとドラマがありますが、井川さんご家族はとても仲が良く、助け合いながら試験に臨んだケースでした。まさに理想的な中学受験だと感じました。

(取材・文:栗尾モカ)

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