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2024年05月29日 07:15 更新

中学受験塾の壁。早くから通塾していると後から入塾してきた子に追い抜かれる?│中学受験塾のトリセツ#37

低学年から塾に通うご家庭が直面する壁のひとつ「追い抜かれ」。追い抜かれとは、早くから通塾していた子が、高学年になって後から入塾してきた子に成績が抜かれてしまう状況を指します。子どものモチベダウンにつながる「追い抜かれ」はなんとか避けたいところ。その原因と対策について、大手塾講師・天海ハルカさんが教えてくれました。

「追い抜かれ」はなぜ起こる?

追い抜かれが起こりやすいのは、4年生以降です。

というのも、「中学受験塾は4年生からが本番」といわれるように、授業やテストが4科目に増え、学習内容も入試を意識したものに変わるのがこのタイミング。

そのため、中学受験を狙う生徒が一気に入塾するのです。3年生までは別の習い事をしていた子が、難関校を狙うため勉強一本に絞って入塾してくるケースも増えます。

偏差値とは、全体での自分の位置を測る相対的な物差しです。

勉強が得意な子が多く入ってくると、自分の能力は変わっていなくとも偏差値は下がってしまいます。

あわせて塾内のクラスも下がってしまうので、自分の能力が下がったかのような気持ちを抱いてしまう子も。

5年生以降は大幅に生徒が増えることが少ないため、大幅な追い抜かれが起こることは少なくなるでしょう。

「中学受験塾は4年生からが本番」というのは、人数が一気に増えて偏差値が再構成されるという意味も含んでいるのかもしれませんね。

あらかじめ「追い抜かれ」の可能性を子どもと共有しよう

入塾者が増える4年生に起こりがちな追い抜かれ。正直なところ、完全に防ぐことは難しいと思います。

もちろん、学年トップクラスの成績を取れば追い抜かれは防げますが、誰にでもできることではありません。

あまり子どもにプレッシャーを与えすぎても良くないですしね。

そう考えると、4年生では追い抜かれという現象が起きやすいことを、あらかじめ子どもに話しておくのはひとつの手です。

「4年生で急に偏差値が下がるかもしれないけど、今まで通り必要な勉強を続けていれば大丈夫」と伝えておきます。

そのうえで、偏差値が実際に落ちた場合は苦手や弱点を分析し、克服していきましょう。

「追い抜かれ」を起こしにくい勉強法とは

追い抜かれを完全に防ぐことは難しいですが、追い抜かれによる偏差値の低下を最小限にすることはできます。

追い抜かれやすい子の特徴のひとつが、問題を解くときに「直感」で答えたり、「パターンで解く」方法に頼っていることです。

直感とは、国語の読解において「なんとなく」で答えを選ぶことで、文章中の根拠やヒントを探すことなく解くため、選んだ理由を聞いても答えられません。

パターンで解くとは、算数なら「大きい数から小さい数をひく」「出てきた数字をかける」というように、こちらも理由や意味を考えない解き方です。

低学年ではシンプルに答えを出せる問題が多いので、直感やパターンでもある程度は得点がとれてしまうんですよね。

しかし、高学年では難解な文章や紛らわしい選択肢が増えてきます。

根拠を考えないと間違えてしまうため、急に答えが出せなくなって成績が下がってしまうのです。

また、低学年で塾に慣れた子の中には、あまり勉強しなくてもそこそこ点数が取れると油断してしまう子もいます。

つまり、センスに頼り油断してしまうことが、追い抜かれにつながるわけです。

知識や解き方を確実に身につけ、油断せずコツコツ勉強を続けることが、追い抜かれ防止につながるといえるでしょう。

勉強は暗記ではなく理解で進める

センスではなく知識や解き方を身につけるには、答えを理解しながら進めていくことが必要です。

入試では一問一答の問題は少ないため、高学年になると、仕組みや流れを理解しなければ問題文すら理解できなくなってしまいます。

暗記科目といわれがちな理科や社会も同じです。暗記はもちろん大切ですが、それだけでは高学年の問題には立ち向かえないのです。

たとえば理科の水溶液では性質を暗記するだけでなく、「だからこんな実験に使われる」といったところまで抑えておきたいですね。

小学生ではなかなか難しいことではありますが、理解して身につけた知識同士を結び付けたり組み合わせたりできるように、勉強を進めていきましょう。

優先すべきは基礎力

入試には応用力や思考力が必要ですが、基礎力がなければそれらは身につきません。

基礎力とは、算数なら計算、国語なら漢字や語彙のことです。

学年が上がるにつれて求められる基礎力も高くなり、算数は計算が複雑化し、国語は新出漢字や語彙がどんどん増えていきます。

基礎力を身につけるだけでも大変なので、低学年に比べると応用力や思考力に時間をかける時間は減ります。

すると、自宅学習で応用力や思考力を伸ばそうと基礎力にかける時間を減らしてしまうご家庭も見られますが、それは少し待ってほしいのです。

もちろん、漢字テストなど、基礎力を測るテストで満点を取れるお子さんならそれでも構いません。

しかしそうでなければ、家庭では基礎力を身につけ維持する時間を優先しましょう。

基礎力は勉強の土台のようなもの。新しく習う知識を吸収するにも基礎力が必要です。

偏差値や志望校にもよりますが、5年生まではとくに基礎力を重視し、6年生からはその基礎力を使い実戦運用するというイメージですね。

それでも「追い抜かれ」が起こってしまったときは

追い抜かれが起こりやすいのは4年生です。

心が折れないように、子ども自身の成長を褒めて、心のケアをしてあげたいですね。

学力には、「絶対的」な評価と「相対的」な評価があります。

絶対的とは、他者と比較しないことで本人のみの成長を見ます。

相対的とはその逆で、他の子と比べてどの位置にいるかを見るものです。

偏差値は相対的な評価ですね。

入試では基本的に成績上位から合格となるため、塾では偏差値という相対評価が主軸となります。

相対評価である偏差値は、本人がどんなに頑張っても、他の子次第で成績が下がってしまいます。

仕方のないことではありますが、頑張ったのに成績が下がるというのは苦しいですよね。

家ではぜひ、本人の頑張りとその結果のみを、絶対評価で褒める機会を増やしてあげてください。

漢字テストや理科社会の知識テストなど、前回勉強した内容がそのまま出るタイプの小テストは良い機会です。

偏差値は出ないテストですが、努力が可視化されるのでしっかり評価してあげましょう。

また、偏差値が出るテストでも「前回低かった算数が20点もアップしている」など、過去のお子さんと比べて成長した点を見てあげると良いですね。

追い抜かれにより偏差値が下がったとしても、「勉強を頑張ると結果がついてくる」という意識を持てれば次につながります。

追い抜かれが起こっても焦らず勉強を進めよう

追い抜かれを完全に防ぐのは難しく、偏差値やクラス昇降で追い抜かれに気づくと、親も子もショックを受けることでしょう。

しかし、塾に通う意味や最終的な目的はクラスメイトに勝つことではなく、志望校合格です。

突然偏差値やクラスが下がると不安を感じることと思いますが、焦らず長い目で見てあげたいですね。

追い抜かれが起きやすいのは4年生で、ここを超えると突然の大変動は起きにくくなります。

この時期は受験を見すえた本格的な勉強が始まり、一気に勉強量も増えるのが難しいところ。

高学年のカリキュラムや最終目標である入試に向けて、意識や勉強スタイルをコントロールする機会にできるといいですね。

追い抜かれが起こったとしても焦らず、入試という最終目標を忘れずに勉強を進めていきましょう。

中学受験ナビの連載『塾のトリセツ』の記事を、マイナビ子育て編集部が再編集のうえで掲載しています。元の記事はコチラ
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