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2024年03月09日 07:07 更新

小学校の先生は“ブラック”ってほんと? 紙の配布物はなぜ減らない?|小学校最強ライフハック#1

小学校に入学すると、子どもたちは初めて学びの場で「先生」に出会います。幼稚園や保育園時代とはまた違った先生の存在に、緊張しながらも憧れを抱く子も多く、小学生が将来就きたい職業のアンケートを取ると「教員」はランキングの常連です。一方、実は先生方の労働環境はブラックなようで……。

今回は、東証一部上場企業の飲食チェーンの店長経験もある現役小学校教諭・坂本良晶さんの著書『親子で知りたい 小学校最強ライフハック70』(KADOKAWA)より、
先生の働き方の実情
小学校のペーパーレス化
についての解説をお届けします。

知ってほしい教師の「残業代ゼロ、休憩時間ゼロ」

※写真はイメージです

昨今の報道でも明らかになり始めている、学校教員のブラック労働問題。ニュースやSNSなどで目にした方もいるのではないでしょうか。

2022年5月に発表された名古屋大学の調査では、「全国平均で教師の残業時間が1カ月当たり100時間以上にのぼる」「小学校で98時間」「中学校で114時間」とされています。これには自宅に持ち帰った仕事や、休憩時間中の業務、残業時間を過少申告した分などの「見えない残業時間」も含みます。

ここで保護者の方に知ってほしいのが、「教師に残業代は出ない」という実態です。1971年に制定された「給特法」という法律により、いまだに「教員には残業代出しませんルール」が発動されているのです。厳密に言えば、基本給の4%が調整額として支給されてはいます。けれどそのパーセンテージの根拠は、50年前の「教員の月平均残業時間8時間」に見合ったもの。要するに、8時間以上の残業分がまったく支給されていないのが現状なのです。日本の教員に課されているのは、「定額働かせ放題」「完全赤字サブスクサービス」という状態です。さらに中学校の教員には土日の部活もあります。外部委託するなど、地域社会へ委ねられる動きが出始めてはいますが、まだまだです。

※写真はイメージです

そして問題なのが、こういった事実が世間に伝わっていくことにより、教員志望者が激減していることです。かつて10倍近くだったこともある教員志望者の競争率は、今や1倍台という自治体もザラ。誰でも受かるような状態に陥れば、教育の質が担保できなくなっていくでしょう。産休や病休で一人欠けても代わりはおらず、教頭が担任を兼任するようなケースも出てきています。

自治体や学校によりますが、“とにかく回せていない”のが現在の学校なのです。

学校のデジタル化で紙のプリントは減る?

※写真はイメージです

保護者の方からよく聞く、「子どもがプリントを持って帰ってこない!」という声。「伝書鳩でも飼いましょうかね〜」なんて、笑えない冗談を返したこともありました。

なかなか進展がなかった学校でのペーパーレス化ですが、GIGAスクール構想をきっかけに、半強制的にデジタル化が進み始めています。

私の勤務する小学校でも、夏休みの作品展や運動会のアンケートにグーグルフォームを利用するようになりました。まあ、そのフォームの2次元コードは紙で配布されていたりするわけですが……。でも大丈夫、あと1〜2年もすればさらに大きく変わってくるはずです。日本中で、この傾向がみられています。

※写真はイメージです

ただ、デジタル化による個人情報流出等のリスクについて、学校はとにかく敏感です。紙だって紛失すれば本質的な問題は同じなのですが、なぜかデジタルには厳しいのです。なにせ100年間も紙オンリーでやってきたので、紙への信頼はなかなか揺らぎません。ぜひ、保護者のみなさんからも「デジタルにシフトしては?」という声を学校に届けてください。学校に「デジタル化しても大丈夫なのかも」と感じてもらうことが必要なのかもしれません。

なお私のクラスでは、紙の学級通信に2次元コードを埋め込むことで、子どもたちの学校での様子を保護者のみなさんにスマホから見ていただける「動く学級通信」を発行しています。この試みを導入しようとしてくれる他校の教員もいるのですが、残念ながら管理職からNGが出てしまうという声をよく耳にします。よくある学級通信の白黒印刷の不鮮明な写真では、どれがわが子かもわかりませんよね。ぜひ学校へ「デジタルでお願いします!」という声を届けてください。

※本記事は、『親子で知りたい 小学校最強ライフハック70』(著:坂本良晶、KADOKAWA刊)より抜粋・再編集して作成しました。

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