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2021年12月14日 12:00 更新

にんにくを食べすぎるとどんな症状が起こる?効果とリスク回避の方法【管理栄養士監修】

にんにくは独特な香りや風味から大ファンが多い食材で、元気をだしたいときに食べたくなる人もいるでしょう。でも、他の食材と同じ感覚で食べると体調不良を引き起こすことも。今回は管理栄養士の川口先生に、にんにくの成分や食べ過ぎのリスク、そしてそれを回避するためのポイントをお聞きします。

にんにくの「体にいい効果」ってどんなもの?

食べ過ぎ注意なニンニク
にんにくは「体にいい食べ物」というイメージがありますが、実際にはどのような効果があるのでしょうか。

にんにくには

1. コレステロールを下げる効果
2. 高血圧を予防する効果
3. 殺菌作用

などがあります。

1. コレステロールをさげる効果

にんにくにはコレステロールを低下させる効果があるといわれています。
脂質異常症の患者さんがにんにくをパウダーやオイルの状態で摂取した海外の試験では、LDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)の両方ともを下げたという結果となりました[*2]。

2. 高血圧を予防する効果

にんにくには、高血圧の予防にも有効といわれています[*3]。

ただ、裏付けとなっているデータはにんにくの抽出物(にんにくエキス)を使用した試験が多いので、にんにくをたくさん食べたから一気に高血圧が改善したり、確実に防げるとまでは言えません。

血圧が心配という場合は早めに医師の診察を受けて、必要に応じて薬物治療や塩分コントロールなどを行ってきましょう。

3. にんにくの匂い成分にある殺菌作用

ニンニクとカツオ

にんにくには、「アリナーゼ」という酵素と「アリイン」という含硫フィトケミカルを別々に含んでいます。これらが、みじんぎりにしたり、すりおろしたりすることで混じりあうと、反応して「アリシン」というにんにく独特のにおいのもとになります。

このアリシンは強い抗菌・殺菌作用があるといわれています。にんにくを食べることで抗菌作用が期待できるというわけではなく、現在のところは「にんにくの抽出液で食中毒の予防が期待できる」という研究結果があります[*3]。

これは、食中毒になるような食べ物を食べた後でにんにくを食べたら大丈夫という意味ではなく、いわゆる食品の腐敗原因となるような菌の増殖を抑える効果です。この効果を活用した例としては、かつおとにんにくを一緒に食べるというようなことで使われたりしています。

にんにくを食べ過ぎたときのリスクとは?

ニンニクたっぷりのラーメン
そんな、食べることでのメリットもあるにんにくですが、たくさん食べてしまうとどうなるのでしょうか。

にんにくを食べ過ぎると

1. 腹痛や吐き気、下痢などの胃腸の症状が現れる
2. 口や体がくさくなる

などが考えられます。

リスク① 胃腸の症状を引き起こす

個人差はあるものの、にんにくはたくさん摂取することにより、腹痛や吐き気、胸焼け、下痢などの胃腸症状を起こすことがあります。にんにくを含む食べ物でお腹が痛くなったりする経験がある場合には、あまり多く食べ過ぎない方がいいでしょう。

リスク② 口臭だけでなく体臭もにおう

にんにくは匂いの成分が独特のため、口臭として残りやすいことはご存知だと思います。でも、実は体臭にも影響するのです。たくさん食べるとしばらくにおいが残ることも理解しておくといいでしょう。

にんにくが食べたいとき、リスクを減らす食べ方は?

にんにくオイル焼き
にんにくを食べたいけれど、何かがおきるのも嫌だなと心配なときには、たくさん食べて起き得るリスクをなるべく減らす食べ方を知っておくといいでしょう。

にんにくの食べ過ぎのリスクを減らすには、ほどほどでやめておくことはもちろんのこと

加熱して食べる

こともリスク回避になります。

加熱して食べる!

にんにくの食べ過ぎによる胃腸症状は、生にんにくの場合に起こりやすくなります。
炒め物の風味づけに使うのはもちろん、にんにくの粒をオイルに入れてトースターで加熱する「にんにくオイル焼き」などもいいですね。

また、加熱ニンニクではアレルギーを起こしたことがなくても、すりおろしただけの生にんにくを摂取するとアレルギーを起こすという事例もあります[*5]。にんにくは加熱して食べるか、生ならば一度にたくさん食べないように注意しましょう。

にんにくを何個食べたら「食べ過ぎ」になる?

にんにくの上手な食べ方
ではにんにくを食べすぎるという目安はどのようなものなのでしょうか。量はどのくらいまで食べていいのか、適正量を考えていきましょう。

にんにくを何個食べたら食べ過ぎ! という明確な目安はありませんが、

いい効果を期待してたくさん食べすぎるのはNG

です。

食べ過ぎになるにんにくの量

「何粒以上は食べ過ぎ」という明確な目安量はないので、お腹を壊していないか、具合が悪いところはないかを判断しながら、他の食事に少しプラスする程度にとどめておきましょう。もし不快な症状があれば、それは食べ過ぎということです。

にんにくによって胃腸の刺激を受けやすい人、受けにくい人がいます。ほんのちょっと生にんにくを口にしただけで刺激を感じる人もいれば、数粒のにんにくをおいしく食べてその後も平気な人もいるでしょう。これは個人差なので何とも難しいですが、まずは加熱したにんにくを食べて問題ないかで自分の適量を計りましょう

「この食べ物は○○にいい」などという情報を見聞きすると、いきなり大量に食べてしまう人がいますが、何かの効果をもとめてにんにくをたくさん食べることは避けたほうがいいですね。

にんにくを食べ過ぎてしまったら

消化器の不快な症状などがない限り、通常通りのいわゆる一般的な食べ方では、それほど大きな問題はないといえます[* 6]。

「食べ過ぎた!」と思ったらそれが自分の限度と認め、次からはほどほどの量にするようにしましょう。また、消化器症状があるうちは、アルコールや刺激の強い食べ物を避けて、胃腸の調子を戻すような食生活を心がけるといいですね。

妊娠中だけど、にんにくを食べていい?

編集部によく寄せられる疑問としては「妊娠中に○○を食べても大丈夫?」という妊婦さんの食事のお悩みがありますがあります。妊娠中は、一般的な食事と異なって、食べてはいけないものや、食べ過ぎると弊害がでるのではないかと心配になったりしますよね。妊娠中ににんにくを食べ過ぎるとどうなるのでしょうか。

極端に食べ過ぎなければ

妊娠中でもにんにくを食べてOK

です!

妊娠中でもにんにくを食べて大丈夫

基本的に、にんにくを妊娠中に食べても問題はありません。胃腸が弱っていたりすることもあるので、食べ過ぎて具合が悪くならないかに注意しましょう。

通常の範囲であれば問題ありませんが、にんにく1個を毎日食べるなど、レシピとしてありえないくらい多い量を数日続けるのは食べ過ぎといえます。妊娠期はなるべく安全な食べ方を考えておきたい時期です。何かの効果を期待して集中的に食べるという食べ方ではなく、風味付け程度にとどめておきましょう

ただし、にんにくのサプリメントには注意

妊娠中は普通ににんにくを食べるのは問題ありませんが、にんにくを含むサプリメントなどを摂取することは避けるほうがいいでしょう。また授乳中も同様に避けておくと安心です[*6]。

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妊娠中のにんにくについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎妊婦とにんにく料理、知っておきたい3つのこと

赤ちゃんもにんにくを食べられる?

にんにくは、離乳食を食べている時期の赤ちゃんに無理に食べさせる必要はない食材です。早くても生後9〜11ヶ月の離乳後期までは使わないでおき、この時期から使うとしてもごく少量にとどめましょう。

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離乳食でのにんにくについて、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
関連記事 ▶︎離乳食のにんにくはいつから?離乳食のにんにくはいつから?

まとめ

にんにくは、元気がない時などに食べて元気をだしたいというイメージもあるかもしれませんが、そのようにからだが弱っている時ほど注意が必要ともいえます。一度に生にんにくを多量に食べるということは避け、体の調子をみながら食べましょう。

(文:川口由美子 先生)

参考文献
[*1] Ellmore GS, Feldberg RS. Allin Lyase Localization in Bundle Sheaths of the Garlic Clove (Allium sativum). American Journal of Botany, 81, 89-94, 1994.
[*2] Yue-E Sun et al, Anti-hyperlipidemia of garlic by reducing the level of total cholesterol and low-density lipoprotein: A meta-analysis, Medicine (Baltimore). 05;97(18):e0255,2015
[*3]Akiko SATOら, ニンニク抽出液の食中毒菌及び腐敗細菌に及ぼす抗菌作用, 食品衛生学雑誌,31 巻 (1990) 4 号
[*4] Ried K, Frank OR, Stocks NP, Fakler P, Sullivan T. Effect of garlic on blood pressure: a systematic review and meta-analysis. BMC Cardiovasc Disord. 2008 Jun 16;8:13.
[*5] Yagami A, Suzuki K, Sano A, Iwata Y, Arima M, Moriyama T, Matsunaga K. Immediate allergy due to raw garlic (Allium sativum L.). J Dermatol. 2015 Oct;42(10):1026-7.
[*6]国立健康栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」にんにく


※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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