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2021年01月13日 16:51 更新

【医師監修】妊婦とにんにく料理、知っておきたい3つのこと

“精がつく食べ物”として知られる「にんにく」。刺激の強い香味野菜の1つで、にんにくを使った料理は香ばしく食欲をそそります。今回は、妊娠中ににんにくを食べるにあたって注意をするポイントをまとめます。

にんにくの栄養や健康効果は?

妊婦はにんにくを食べても大丈夫?
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にんにくのにおい成分である「アリシン」は、抗酸化作用や殺菌作用をもつファイトケミカル(phytochemical:生理機能成分)として知られています。
またアリシンは糖をエネルギーに変えるビタミンB1の吸収を高め、疲労回復に役立つので、「にんにく=精がつく」という定評があります。

さらにアメリカの国立がん研究所が「がん予防に効果のある食品」をリストアップし、作成した「デザイナーフーズピラミッド」の頂点ににんにくが選ばれていて、日本国内の研究でも抗がん作用や血圧低下作用は確認されています[*1]。

松峯先生
「にんにくは滋養がつく香味野菜ですから、妊娠している・していないにかかわらず、適度に食べるといい野菜の1つです。
つわりの時期など食欲が低下しているとき、にんにくの香りで食欲が出る人もいるかもしれません。クセのある香りが受けつけなくなる人もいるので、一概には言えませんが、食欲が湧くならしめたもの。つわりで食べられない時期は『食べられるものを、食べられるだけ食べる』のが大切です。無理なく、楽しい食事を続ける助けになるといいですね」

にんにくを食べるデメリットは?

大量に食べると血液が固まりにくくなることも

にんにくを一般的なレシピで調理された料理の食材の一部として食べる分には特にデメリットはありません[*2]。

しかし、にんにくの成分には血液を薄める(血液が固まりにくくなる)作用があることが認められているので、手術や歯科治療の予定があったり、出血性疾患がある場合には食べ過ぎに注意することが推奨されています。そこで出産を控えた時期は同様に食べ過ぎないように気をつけるのが賢明だと考えられます[*3]。

生だと不快な症状があらわれることも

胃などの粘膜には刺激が強いので、生の「刻みにんにく」「すりおろしにんにく」を大量に食べると、俗に「胃が荒れる」という症状が起こることもあります。妊娠中は消化管運動が低下することから [*4]、普段以上に胃に優しい食事を心がけたいですね。なお、生のニンニクは胃の症状以外にも、口臭や体臭、胸やけ、アレルギー反応などが生じる可能性があるとされています[*5]。

刺激の元となっているアリシンは、煮込んだり油で炒めるなどすると「スルフィド」という物質に変わるので、加熱調理して食べればにんにくの栄養や健康効果を損なわず、食べやすくなります。

松峯先生
「にんにくを食べるデメリットとして“におい”をあげる人も多いかもしれませんが、スルフィドになると体内に止まる時間が短くなり、においも緩和されます」

妊娠中に食べられる量は?

野菜なので食べ方や摂取量などは規定されていませんが、にんにくは少量でも作用が強いので、食べ方にはすこし注意をしましょう。

ホイル焼きや素揚げを好む人もいるかもしれませんが、お腹が空いている時には、にんにくだけを食べず、ほかの料理と一緒に食べるようにしましょう。

松峯先生
「1日当たりの量についてニンニクなどネギ属植物研究者や栄養の専門家は『2~3日に一度、1~2片』や『多くても1日1片ほど、加熱したものでも3〜4片ほど』などと述べています。栄養的にファイトケミカルは1つの食材からとるより、さまざまな食材からとるのがよいとされていますので、1日1片程度を目安に、食べ過ぎないようにしましょう」

まとめ

にんにくは評判通りのパワー成分がある香味野菜で、適度な量を食事に取り入れると効果的です。食べるタイミングや量に気をつけ、「にんにく料理」を楽しみましょう。そして出産を控えた時期にはくれぐれも食べ過ぎないように注意しましょう。

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]関泰一郎 ガーリックの新規抗がん作用とデザイナーフーズとしての特徴,2003
有賀豊彦 ニンニク精油成分MATSの血小板トロンボキサンA_2生成阻害機構の検討,1995
[*2]北海道薬剤師会「手術前に投与を中止する薬剤」
[*3] 厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』
[*4] 病気がみえるVol.10産科 第4版 ,p38 メディックメディア, 2018.
[*5]厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業eJIM「にんにく」
井上正子監修「栄養学と食のきほん事典」西東社

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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