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2023年06月30日 16:00 更新

「ふくしまの今」について生産者が語る! 食の安全について福島県が続けている取り組みとは

PR:福島県消費生活課

食と放射能に関して、みなさんは正しい知識を持てていますか? 消費者が不正確な情報や思い込みに惑わされることなく、自らの判断で食品の選択ができるよう、福島県ではある取り組みを続けています。

今回は、福島県の生産者たちが「ふくしまの今を語る人」として、放射性物質低減の取り組みや検査の状況、生産者の思い等を説明・紹介し、消費者の理解を深め、さらには消費者と生産者との交流を図るなど、「ふくしまの今」を県内外に伝え続けているその取り組みについてご紹介します。

放射能と食品の安全性について

食品中の放射性物質は、 どうなっていますか?

生産者が栽培や飼育状況を管理している農産物や畜産物に含まれる放射性物質は年々減少し、今では基準値を超えるものはほとんどありません。一方、野生の品目では、一部の地域で基準値を超えるものがあります。

食品中の放射性物質について、どのような対策が取られているのですか?

食品の安全性を確保するために、食品中の放射性物質に関する健康への影響(リスク)を評価し、基準値を設定します。そのうえで原子力災害対策本部が定めたガイドラインを基に各都道府県が検査計画を決めて、出荷前にモニタリング検査を行っています。検査によって基準値を超えた食品が見つかった場合は、回収・廃棄されます。

食品中の放射性物質の墓準は、どうなっているのですか?

どの性別・年齢層でも、国際的にも安全と考えられているレベル(食品から受ける追加の放射線量が年間1ミリシーベルト)以下となるように、基準値が決められています。

一般家庭の平均的な食生活には、どのくらい放射性セシウムの影響がありますか?

実際に流通している食品や、家庭で食べられている食事を調べたところ、1年間に食品中の放射性セシウムから受ける放射線量は、基準値の設定根拠である年間上限線量1ミリシーベルトの0.1%程度です。

「ふくしまの今を語る人」の講演会について

続いては、実際に生産者が行っている食の安全に関する取り組みについて、2022年度の講演会の内容を一部ご紹介します。

世界から見られるFukushimaから世界に発信するFukushimaへ

私は、2004年から12年ほど、ポーランドの国立私立大学で日本語と日本文化を教える教師の仕事をしていました。

現在は、合鴨農法で育てたお米、そしてそのお米を100%使った『ロハ酒』というお酒を作って販売しています。

合鴨農法については聞いたことのある人もいると思いますが、合鴨は生まれたその日に購入してきて、ハウスの中でちょっと大きくなるまで2週間ほど育てたら田んぼに離します。合鴨たちが田んぼの中に入って活動してくれることによって、私たちは農薬も化学肥料も使わないで安全で安心なお米が作れるという農法です。

私たちはこのような合鴨農法で安全なお米の食品を作っていますが、海外の友達からは「今、福島ってどうなの? 誰も住んでいないんだよね」「だって福島って何も作れないでしょう」と言われることがあります。「私は住んでいるし、お米も作っていますよ。メイドイン福島です」と言うと「信じられない」と言われます。

実際、福島は農業の分野では、自然が豊かということもあって、非常に生産が多い土地です。カロリーベースでは78%、生産額ベースだと93%で、全国上位になっています。

こんなに美しい豊かな福島ですが、住むことができなくなった土地というのもやはりあります。ただ、解除になった区域は除染も進んで、しっかり対策をとっているので、避難されている方もまた作付けができるようになっています。

2014年にポーランドから帰国したその次の日から私は種まきを始め、すぐに東京で直売会をしたんですが、1日の売り上げが最高額でたったの3,300円でした。ホテル代にもなりません。ブースに来て「ふくしま」の文字を見るとハッとした顔で去ってしまうお客様もいました。

私たちはもともと合鴨栽培で作っていたので、オーガニックという『安全』を一番の価値として提供する商品が苦境の一番の理由になってしまっている、という厳しい状況でした。

これはどうにかしなければと考え、まず「安全を『数値化』していかないと皆さんを納得させることができない」と思いました。そこで、生産している作物全種類に1ベクレルの検査を毎年し続けたところ、すべて「未検出」という結果を出すことができました。

では『食べ物が安全かどうか』という基準において、一体何が危険要素になっていくのかと考えると、『放射線量』や『放射線の種類』、それから『農薬の使用量』などがあります。しかし、なかなか消費者には理解してもらえない現状がありました。

手に取る人が納得しなければ、安全と言えず、安心もできない―。でも、これを乗り越えて消費者である皆さんに買っていただかないと、私たちは生活をしていくことができません。

そのためには何かを変えていかなければいけないと、大きなチャレンジとして次の3つを行いました。

チャレンジ1:価値の転換

今まで「合鴨農法は安全、体に悪いものは入っていない」と証明はしてきたつもりですが、それをそのまま伝えても皆さんには届かない。では、その安全なものに「面白さ」を加えて発信していったら、気持ち的に変わっていくのではないか、手にとってくれるのではないかと考えました。

そこで、お米にスパイスを調合した「カレーのお米」や、水を入れて炊いたらすぐできる便利な「ドライトマトリゾット」を商品化しました。こちらは皆さんに大変好評をいただいています。

チャレンジ2:つながりの創出

商品だけを届けても、私たちの行為というのはなかなか伝わらないので、「親子で合鴨に触れ合う体験ができる」「合鴨が頑張っている様子やその育った姿をSNSで見せながら現場でも見せる」というイベントを企画して、合鴨たちと触れ合ってもらいました。

チャレンジ3:世界基準の農業認証(GAP)を取得

「安全」「安心」と言ってもらいたい気持ちが強く、それなのに「オーガニックでも福島県産だからいらない」と言われてしまうなら、違う方法でチャレンジしてみようと思いました。それが「どういう風に作物を作っているか、その作物が安全に作られたと証明できるか」を表す『GAP(ギャップ)』という世界基準の農業認証を取得して「数値化する」、やってきたことを「見える化する」ということにチャレンジ。2017年には、一番難しいとされる『グローバルGAP』を会津地域で初めて取得することができました。

最終的に安全な作物って何なのかと考えると『どこで誰がどのように作っている作物か分かるもの』『オーガニックだから、オーガニックじゃないからとかではなくて、それをどういうふうに伝えるかできるもの』なのではないかと思っています。

『福島だからこそ、サステナビリティを考えられている』そういう自信を届けていく活動や挑戦を、私たちはこれからもずっと続けていきたいと思っています。

皆さんは、あなたは、個人として何を選びますか?

(2022年8月開催「世界から見られる FUKUSHIMA から世界に発信する FUKUSHIMA へ」についての講演会より抜粋)

2022 年度開催の講演会の様子
講演会で配布される福島県産の試食品(例)

いかがでしょうか。震災以降、福島の生産者たちはどうすれば消費者に安全だと伝えられるか、美味しい安全な作物を届けられるかを必死に考え、行動してきたことが分かります。

私たちも、いち消費者として正しい知識を持って安全な食品を選んでいきたいですね。

福島県では、2023年度も「ふくしまの今を語る人」の県外派遣事業を行っています。福島県の生産者等に講演会を行ってほしいという企業や学校・消費者団体等がございましたらぜひ申し込んでみてはいかがでしょうか。
※講演会はオンライン配信も可能です。
※公式Webサイトからお申し込みいただけます。

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