教育 教育
2023年01月26日 12:00 更新

子どものギモンに回答!親なら知っておきたい福島第一原子力発電所の廃炉とALPS処理水の今について

PR:東京電力ホールディングス株式会社

――子どもは好奇心旺盛で、いろんなことに興味津々。日々あった出来事や、ふとギモンに思ったことや初めて聞いた言葉があれば、「これはなに?」とまっすぐな視線で聞いてきますよね。 親としては、子どもの質問にしっかりと答えたいという思いはあるものの、「これ、なんだっけ……?」と答えに迷った経験はありませんか? これはある家族の夕食時のエピソード。食事中に流れたニュースを見て、子どもが興味を示しました。

ニュースを見た子どもから素朴な質問。
ママパパは、しっかり答えられる?

家族で夕食を囲むシーン
家族で夕食を囲むシーン

――そのニュースとは「福島第一原子力発電所の廃炉に向けたロボットアームの開発」について。福島第一原子力発電所は、2011年3月の東日本大震災で大津波に襲われた発電所。原子炉の冷却ができず、放射性物質を放出する事故に至りました。

まもなく12年を迎えようとしていますが、今も廃炉作業は行われています。震災からの復興と廃炉作業は、私たちの生活、そして子どもたちの未来にも関わる大切なこと。他人事にはせず、今こそ世の中で起きていることをしっかりと理解しておきたいですよね。

あなたは知ってる?
福島第一原子力発電所の今と復興への取り組み

――では、実際に現状はどうなっているのでしょうか。

現在、福島第一原子力発電所では、放射性物質によるリスクを低減する活動として廃炉作業を計画的に進めています。事故当時は、敷地全体のエリアで防護服と全面マスクの着用が必要でしたが、現在は、放射性物質の除去等が進んだことで、発電所構内のおよそ96%のエリアで一般作業服での作業が可能になりました。

原子炉内で溶けて固まった燃料は、ロボットアームの開発により2号機の試験的取り出し作業が行われます。一方、溶けた燃料を冷却するための冷却水や建屋に入ってくる地下水や雨水により、 放射性物質を含む水(汚染水)が日々発生しています。この水は浄化処理を行い、発電所敷地内のタンクで保管してきましたが、そのタンクの数は1,000基を超え、廃炉を計画的に進めるための設備の建設などに支障をきたしかねない状態となっており対策が急務に。これをうけて、2021年4月に国は安全を大前提に「ALPS処理水」を海洋放出する方針を決定しました。

ポイント

・日々発生する放射性物質を含む水は、浄化してタンクに保管

・タンクの数は1,000基を超え、廃炉を計画的に進めるための設備の建設などに支障をきたしかねないため、対策が急務

・2021年4月、国はALPS処理水の海洋放出する方針を決定

あわせてチェック

“海洋放出”したら、私たちの生活や自然環境への影響は?

――ALPS処理水の海洋放出について知ったママとパパは、ALPS処理水の安全性と自分たちの生活や自然環境への影響について、さらに調べてみることにしたようです。

家族で夕食を囲むシーン
家族で夕食を囲むシーン

ALPS処理水とは、放射性物質を含んだ水をALPS等の複数の浄化装置を通すことで、環境へ放出する際の国の安全基準を満たすまで放射性物質(トリチウムを除く)を取り除いたものです。

トリチウムは、水素の仲間で水とほぼ同じ性質の液体として存在し、雨水や河川、飲料水など私たちの身の回りにも広く存在する放射性物質です。私たちの体の中にも常に存在していますが、蓄積されることはなく、水と一緒に体の外へ排出されます。

トリチウムは、世界中の原子力施設でも発生していて、それぞれの原子力施設でも環境へ放出する際の安全基準を守った上でトリチウムの放出を行っています。

海洋放出にあたっては、ALPS処理水を大量の海水で薄めることで、トリチウムについても安全基準を十分に満たす濃度で放出されます。

放出される水のトリチウム濃度は、世界保健機関(WHO)が定める飲料水の水質基準と比較して1/7以下と、低く管理されます。 また、一年あたりの放出量は、運転中の時と同じ22兆ベクレルを上限に設定しています。

ポイント

・ALPS処理水とは、トリチウム以外の放射性物質について国の安全基準を満たすまで浄化した水

・ALPS処理水に含まれるトリチウムは大量の海水で希釈し、国の安全基準の濃度を満たした形で海洋放出される

・トリチウムは、身の回りにも広く存在する水素の仲間で、これまでも世界の原子力施設から各国の安全基準を満たしたうえで放出されている

あわせてチェック

安全に進めてほしい、廃炉作業のこれから

廃炉の取り組みやALPS処理水の安全性については、国際原子力機関(IAEA)が繰り返し現地を訪れ、厳しく確認しています。ALPS処理水の放出後も海洋のモニタリングを徹底して行うことで、海や魚に影響がないかをしっかり確認し、安全確保に万全を期していきます。

――廃炉作業は、今後も続きますが、安全性を確保した上で、着実に進めてもらいたいというのが私たちの願いです。だからこそ、この先も続く子ども達の未来のためにも、正しく理解しておきたいですよね。

子どもといっしょに世の中のギモンを調べてみよう!

――家事に育児そして仕事と、毎日が忙しいとわからないことはつい後回しにしがちに。しかし、今回は子どもの何気ない一言から、家族一緒に調べることで、自分たちの生活にも関わる大切なことを学べたママとパパ。一人一人が事実を正しく理解して、子どもたちに伝えていくことが大切ですよね。

■参考文献■
「廃炉と未来」 経済産業省 資源エネルギー庁
「廃炉の大切な話」 経済産業省 資源エネルギー庁
「処理水ポータルサイト」 東京電力ホールディングス
英国:Radioactivity in Food and the Environment,2019
カナダ:Canadian National Report for the Convention on Nuclear Safety
フランス:トリチウム白書 その他の国・地域:電力事業者の報告書