【医師監修】子供の目やにの原因と正しい対処方法 目やにの性質で病気がわかる?
子供がしきりに目をこすっているので、なにかと思ったら目やにがいっぱい溜まっていた、なんてことはありませんか? どうやら子供は大人よりも目やにが出やすいようです。その原因を探ってみましょう。
目やにはどうして出るの?
まず最初に、目やにがどのようにしてできるのかをお話しします。
目やには、健康でも出るが病気だと増える
目やにには、涙液(上まぶたの涙腺から分泌される、いわゆる涙のこと)、瞼板腺※からの分泌物、結膜(白目)からの分泌物などが含まれおり、目やには健康な状態でも出るものです。
しかし、目の表面の結膜や角膜に病気があると、涙を含めて分泌物の量が増えるため、目やにの量も多くなります。
なお、眼球表面にあるこれら分泌物は、瞬きをするたびに少しずつ目頭のほうへと移動していき、最終的には目頭にある涙点から鼻の奥へと続く鼻涙管へ流れていきます。目やにが目頭に溜まりやすいのはそのためです。とくに寝ている間は瞬きをしないために、涙などの分泌物の成分が目頭やまぶたの縁にも溜まりやすくなります。
※瞼板腺:まぶたの縁にあり、眼球の表面を覆う油成分を分泌している
とくに赤ちゃんは目やにが出やすい
赤ちゃんは、眼球表面の分泌物が流れる鼻涙管が大人よりも細いため、分泌物が目の表面に溜まりやすく、目やにが出やすいのです。
目やにの原因となる病気
子供や赤ちゃんは目やにが多いもの。と言っても限度があり、あまり多い場合は以下に挙げるような病気の可能性も考えられます。
結膜炎
結膜は「結ぶ膜」と書くように、まぶたの裏側と眼球をつないでいる膜のことです。眼球の表面に付着するゴミや細菌などが目に入り込まないような役割を果たしているため、結膜自体は病気が起こりやすい部位と言えます。
結膜炎の主な原因は、細菌、ウイルス、アレルギーの3つです。
細菌性結膜炎
乳幼児や小学生の子供の細菌性結膜炎の原因菌としては、黄色ブドウ球菌や肺炎球菌、インフルエンザ菌などが多く、目やには黄色から緑黄色になることが多いです。目やにのほかに充血も見られます。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性の結膜炎としては、アデノウイルスによる流行性結膜炎や咽頭結膜熱(プール熱)、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスによる急性出血性結膜炎、単純ヘルペスによる結膜炎などが該当します。このうち流行性結膜炎は、国内で年間90~130万人がかかると言われるほど、よくみられる結膜炎です[*1]。
ウイルス性の結膜炎では、白くてサラサラした感じの目やにが多くみられます。目やにのほかには急に充血が起きたり、涙が出る、目を動かした際の痛みなどが見られます。
アレルギー性結膜炎
花粉やダニ、ハウスダストなどがアレルギー性結膜炎の原因です。サラサラした目やにとともに、かゆみが生じます。
ものもらい(麦粒腫)、霰粒腫
麦粒腫(ばくりゅうしゅ)とは、いわゆる「ものもらい」のことで、瞼板腺に起きる細菌感染です。まぶたが腫れて触ると痛みます。汚れたままの手で目に触れたりすると起こりやすい病気です。
一方、霰粒腫(さんりゅうしゅ)は瞼板腺に小さな塊ができる病気で、ふつう痛みはありません。
鼻涙管閉塞
先ほど解説したように、分泌物は鼻涙管を通って流れていきます。この鼻涙管は、赤ちゃんがママのお腹にいるときに開通しますが、生まれた後も薄い膜が残っていることがよくあります。多くは片方の目に起こり、目がうるんでいたり、目やにが多いことなどで気づきます。このあと解説する涙嚢炎の原因になることもあります。
鼻涙管閉塞は、生後6ヶ月までに80%、1歳までに95%が自然治癒するとの報告があります[*1]。そのためしばらくは、抗菌薬の点眼とともに、涙嚢(涙点と鼻涙管の間にあり、眼球表面の涙を吸収するポンプの役目を果たしている部分)のあたりをマッサージして鼻涙管が広がるのを待ちます。それでも開通しない場合は、細い管を通して拡張する手術を行います。
涙嚢炎
涙嚢に細菌が繁殖して起きる炎症を涙嚢炎と言います。赤ちゃん、とくに新生児の目やにの原因としてよくみられます。抗菌薬の点眼で治療できますが、繰り返す場合は鼻涙管閉塞が原因のことが少なくありません。
逆さまつげ
赤ちゃんのまぶたはふっくらしているため、まつ毛が内側を向いて目の表面に触れ、涙の分泌を刺激し目やにが増えることがあります。ただし、赤ちゃんのまつ毛は軟らかいために目の表面が傷つく危険性が低いことと、成長とともにまつ毛が外側に向いてくることから、通常は角膜保護のための点眼をしながら経過を観察します。
医師に診てもらうべき目やにとは
子供の目やには、多少目元に付く程度なら心配ないですが、結膜炎などが原因の場合は早めの治療が必要となります。
心配ない目やにと病気による目やにを区別するポイント
目やに以外の症状がある
目やにだけでなく、発熱や充血、目のかゆみがあれば、何かしらの病気がある可能性が考えられるので、受診してください。
目を開けられないほどの目やにが多い
目を開くことができないほど大量の目やにも、早めに受診して異常がないか調べてもらいましょう。
目やにが長続きする
症状が目やにだけでも原因がわからないのは不安なもの。受診した結果、経過観察と言われたとしても、大きな異常はないとわかるだけで安心できます。
目やにの性質の違いで病気のタイプが見分けられる?
病気の違いによって、目やにの性質に違いが現れます。
例えば、アレルギー性結膜炎では一般に水っぽい目やにが多いものの、重症なアレルギー性結爆炎の春季カタルでは粘液性(べとべとした感じ)に。また、細菌性結膜炎では膿のようで黄色っぽい色がついた目やにが出ますが、ウイルス性結膜炎では水っぽい目やにが多いと言われます。
ただし、これらはあくまで傾向であり、目やにの性質だけでは医師であっても病気の診断はできません。目安程度に考えてください。
保育園・幼稚園・学校には行ける?
目やにの原因が感染性の病気の場合は、ほかの子供へ感染させないために、登園や登校が禁止される場合があります。
例えば、ウイルスによる流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では、発病から約2週間、急性出血性結膜炎では3~4日は、周囲の人・子供に感染させてしまう可能性があります[*2]。感染させる可能性は発病から日が浅いほど高いと考えられます。登園や登校は、医師が感染させる恐れはないと認めてからにしてください。
なお、学校保健安全法に定められている出席停止期間は、以下のようになっています。
・流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎:症状により学校医その他の医師が感染の恐れがないと認めるまで
・咽頭結膜熱:主要症状が消退した後2日を経過するまで
家庭でできる目やにの対処法
目やにで受診して病気などの問題はないと診断された場合や、鼻涙管閉塞や逆さまつげなどで当面は経過観察となった場合、少し湿らせた清潔なガーゼで、こまめに目やにを拭き取ってあげましょう。
なお、目やにの少し意外な原因として、鼻づまりが関係していることがあります。もし鼻づまりがあるなら、鼻吸い器で鼻水を吸ってあげるのも効果があるかもしれません。
また、アレルギー性結膜炎のかゆみ目に対しては、なるべく手でこすらないようにさせてください。冷やしたタオルを当ててあげると、かゆみがやわらぎます。
まとめ
子供の目やににはいろいろな原因があります。成長とともに少なくなっていくことが多いものの、その一方で治療が必要な感染症も。心配し過ぎず、かといって安心しきらず、お子さんの目やに適切に対処してください。
(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)
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※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
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