【医師監修】ストレス?病気?妊娠していないのに生理が遅れる原因
これまで順調だったのに急に生理不順になった……そんなときは、ストレスや疲れ、睡眠不足、過度なダイエットなどでホルモンバランスが乱れているかもしれません。ほかに病気が隠れている場合もあります。生理が遅れる原因を理解し、生活習慣を見直してみましょう。
生理の遅れ、放っておかないで
生理の遅れには原因がある
生理をつかさどるホルモンのバランスは体調やストレスなどの影響を受けやすく、不規則な生活や睡眠不足などによって生理周期が乱れることは多々あります。
とはいえ、これまで順調だった生理が急に遅れるようになった場合、そのうち戻るだろうと放っておくことはおすすめできません。順調だったものが突然乱れる裏には、何か原因があるはず。原因を解明し、適切な対策を取る必要があります。
放置すると無月経になることも
生理の遅れを放っておくと症状が進み、ついにはホルモンが分泌されなくなって生理自体が止まる=無月経になってしまうこともあります。無月経が続くと以下のような影響が体に現れてきます。
● 不妊
● 骨粗しょう症
● 子宮体がんの発生
● 多毛やにきびなどの発生
健康な女性でも疲労やストレスによる短期的な生理不順はよくあること。ただ、繰り返しになりますが、大切なのはその原因を理解し、適切な対応をすることです。
妊娠していないのに生理が遅れる原因
ホルモンバランスを乱し、生理を遅らせる代表的な原因を紹介します。
ストレス
ストレスは生理を遅らせる原因となります。なぜなら、生理は脳の視床下部からのホルモン分泌が発端で卵巣などが働くことで起こりますが、この視床下部がストレスの影響を受けるからです。ストレスの影響を受けた視床下部はホルモン分泌の指令をうまく出せなくなり、生理が遅れるなどの不順になります。
過度なダイエットなど
たとえば-20kgくらいの急激な体重減少があったり、標準体重と比べて-15%以上やせている場合、無月経になることも[*1]。もともとやせている女性の場合は、わずかな体重の減少であっても生理不順につながることがあり、注意が必要です。
病気
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵巣内に排卵されない状態の卵胞がいくつも発育しており、無月経や希発月経(生理周期が通常より長い)などの月経異常があるうえ、LH(黄体形成ホルモン)の値が高いなどといった、複数の症状があると多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されます。
日本では排卵障害を持つ患者さんの多くが、このPCOSを発症しています。また、PCOSは排卵障害だけでなく、耐糖能障害(糖尿病)との関連も指摘されており、注意が必要です。
無排卵周期症(一部PCOSを含む)
生理のような出血はあるものの、排卵を伴わない病態のこと。生理周期は不順かつ、生理の期間も長かったり短かったりまちまちで、不妊の原因にもなります。排卵がないため、基礎体温が高温にならず、低温相のみを示します。
黄体機能不全
おもにプロゲステロンの作用が不足することにより、子宮内膜が厚くならず、正常な生理が起こらないので周期も乱れます。不妊や不育の原因となったり、不正出血をきたしたりもします。さまざまな要因が絡み合って発症すると考えられています。
高プロラクチン血症
妊娠や授乳中ではないのに母乳が出たり、無月経が見られたりする病気。プロラクチンというホルモンの分泌が過剰になった状態で、下垂体にできた腫瘍や視床下部の機能障害、または薬剤などが原因と考えられています。20代~30代の女性に多いのですが、ごくまれに男性に発症することもあります。
その他:甲状腺機能異常など
甲状腺ホルモンの異常は卵巣機能不全を引き起こし、生理周期の遅れなど生理不順の原因になることがあります。
ほかにも、子宮腺筋症、子宮筋腫、子宮内膜増殖症、子宮内膜ポリープ、血液凝固障害などの病気や、生理と思っていたものが実は不正出血で、婦人科系のがんが隠れている可能性もあります。
生理が遅れたときの対処法
生活習慣を見直してみる
最初にも説明したように生理をつかさどるホルモンのバランスは体調やストレスなどの影響を受けやすく、健康な女性であっても疲労やストレスによる短期的な生理不順はよくあることです。
これまで順調だった生理が突然遅れることがあったら、まずは直近の生活を見直してみましょう。不規則な生活、栄養バランスの悪い食事、睡眠不足などが生理不順の原因となっていた場合もあります。
この場合は、できるだけ栄養バランスのとれた食事をとる、睡眠時間をきちんと確保する、リラックスできる時間を作ったり、運動や趣味に打ち込んだりしてストレス解消をするなど生活習慣を見直し、自身の生活においてホルモンバランスを乱す要因を可能な限りなくすように努めてみましょう。
医療機関を受診する
生理の遅れはホルモンバランスの乱れによることが多いとはいえ、中には病気が原因のこともあります。生活習慣を改善しても生理不順が続くようであれば放っておかずに、2、3ヶ月以内には産婦人科医に相談するようにしましょう。
産婦人科を受診することに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、最初だけ恥ずかしさを乗り越えてしまえば、その後はかかりつけ医として、何かあったときに気軽に相談できる安心感に変わるはずです。
受診の際は、受診までの生理期間の記録と、できれば3周期くらい前からの基礎体温表を持参すると良いでしょう。
まとめ
生理の遅れは体が出しているサインです。背景には病気やトラブルなど、見えない原因が隠れていることも少なくありません。「たかが生理の遅れ」とあなどらず、自分の体からのサインをしっかり受け止め、適切な対策をしてください。
(文:山本尚恵/監修:浅野仁覚先生)
※画像はイメージです
[*1]メディックメディア「病気がみえる vol.9 婦人科・乳腺外科 第4版」P.54
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます