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2024年03月04日 12:02 更新

異次元の少子化対策として拡充を進める「産後ケア事業」、利用率はたった3割に!利用しなかった理由はなに?

保育施設向けおむつのサブスク「手ぶら登園」や保育施設探しをサポートする「えんさがそっ♪」など、子育て支援サービスを運営するBABY JOBは、全国の子育てをしている保護者1,181名を対象に、政府が異次元の少子化対策として拡充を進めている「産後ケア事業」に関する実施状況や利用状況を調査しました。

産後ケア事業のニーズは高い一方で、自治体の案内にバラつきあり!

「産後の悩みやトラブルはありましたか?」という質問に対し、産後の悩みやトラブルが「あった」と回答した人は93.6%にものぼりました。

具体的には「睡眠不足」(74.6%)が最多であり、次いで「骨盤のゆるみや乳房の変化など体のトラブル」(60.6%)、「育児の不安」(46.8%)が多く、心身ともにストレスを抱える保護者が非常に多いことがわかりました。

このことから、政府が異次元の少子化対策として拡充を進めている「産後ケア事業」は保護者にとってとても有益であることがうかがえます。

また、「出産後に、自治体の産後ケア事業を案内されましたか?」と尋ねたところ「案内された」と回答した人は69.3%と約7割に達した一方で、都道府県による案内状況にはバラつきがあることもわかりました。

今回、回答者数が50を超えた東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・大阪府・愛知県について都道府県別に回答結果を見ると、東京都では84.8%の人が「案内された」のに対し、埼玉県では46.4%と半数を下回る結果になりました。

自治体の産後ケア事業を「実際に利用した」人はたった3割に

自治体から産後ケア事業の案内を受けた保護者に対し、実際に利用したかどうかを尋ねたところ、利用率は33.9%に留まりました。

自治体の産後ケア事業を利用しなかった保護者に、その理由を尋ねたところ「利用の仕方がよくわからなかった」(20.5%)が最多であり、次いで「費用が高かった」(17.8%)、「利用するまでの手順が複雑で諦めた」(14.3%)という結果となりました。

自治体の産後ケア事業を利用しなかった人の意見 ※一部抜粋

<予約等の手続きを簡略化を求める意見>
・ネットで予約できるようにしてほしい。(30代/女性/東京都)
・利用申請が複雑だったり、役所まで行かなければ行けないなど複雑だった。(30代/男性/東京都)
・当日予約可能などのもっと柔軟な対応をお願いしたいです。産後の体調は不安定だったため、当日予約できて体を休められたらよかったなと思いました。(30代/女性/東京都)

<産後ケア施設までの交通手段に対する意見>
・産後ケア施設まで準備して行くのが大変なので誰か来てくれるようなシステムがあればよかったです。(30代/男性/東京都)
・産後ケア施設まで行く交通手段が電車以外にない(タクシーだと高額になるため)。(30代/女性/東京都)
・ケア施設が遠く、予防接種未完の状態で子どもを電車に乗せる気にはなれなかった。(30代/女性/東京都)

<対象者を広げてほしいという意見>
・もっと「誰でも気軽に利用して良い」として欲しい。(30代/女性/東京都)
・条件を設けるのではなく、出産したら誰もが利用できるようにしてほしい。(30代/女性/埼玉県)
・市役所に申請して通れば利用可能と言われ、自分がその通る条件には当てはまらなさそうだったから。(30代/女性/奈良県)

<費用に関する意見>
・初回無料もしくはもっと安価にして、費用面もあまり心配せず気軽に利用出来るような環境を整えてもらえたら利用したかった。育休中だと収入も減るので、子供にもお金がかかるし費用が高いのがネックでした。(30代/女性/山口県)
・宿泊型は高いし、家に来てくれるものはあまり助けになるような事をやってもらえないし、余計に疲れるだろうから利用できなかった。(30代/女性/兵庫県)
・一泊5,000円は高いためもっと価格を下げて欲しい。(20代/女性/東京都)

<その他>
・市のホームページで内容、予約すべて完結できるようにして欲しい。アプリや個別連絡はやめて欲しい。(30代/女性/埼玉県)
・相談会しか無かったので、相談だけで解決できるとは思いづらかった。(30代/女性/徳島県)
・第二子・第三子出産時は、上の子供のお世話があるので宿泊利用などは不可能だった。しかし第一子出産時より休む間がなく明らかに疲弊していたので、多子世帯への助けが欲しかった(市に相談して出た案が「乳児院」で啞然としました)。(30代/女性/大阪府)
・回数も制限があったので、何かあったときに利用したいと思って我慢していたら結局利用できる期間が終わってしまったので、回数が増えたら利用しやすいかもしれないです。(40代/女性/東京都)

自治体の産後ケア事業を「周りにおすすめしたい」人は9割にのぼる

実際に自治体の産後ケア事業を利用した人に対し、「周りにおすすめしたいと思いますか」と尋ねたところ、「とてもおすすめしたい」「おすすめしたい」と回答した人は87.1%となり、利用者の満足度が高いことがうかがえます。

利用して良かったこととしては、「育児に関する相談ができてよかった」(62.9%)が最多に。次いで「リフレッシュすることができた」(50.7%)、「話を聞いてもらって気持ちが楽になった」(50.4%)という結果となりました。

実際に利用した産後ケア事業は「自宅訪問ケア」が50.7%と一番多く、「産後ケア施設や病院等でデイサービス(日帰り)」は39.2%、「産後ケア施設や病院等でショートステイ(宿泊)」は35.6%の保護者が利用したことがわかりました。

一方で、自治体から産後ケア事業について案内されたかった保護者に対し「自治体の産後ケア事業を利用するとしたらどのサービスを利用したいですか?」と聞いたところ、「自宅訪問ケア」と回答したのは26.0%と一番少なく、実際に利用した人との差異が見られました。

実際に利用した人からは「予約がいっぱいだった」「もっと気軽に予約を取れるようにしてほしい」「ショートステイができることを知らなかった」などの声があげられていることからも、利用したいサービスと実際に利用できる(しやすい)サービスとの差が大きいことが考えられます。

実際に利用した人の意見 ※一部抜粋

<回数制限や対象の制限に関する意見>
・1度しか使えなかったので、複数回使えるようにして欲しい。(30代/女性/千葉県)
・利用期間の延長と利用回数の増加。(40代/女性/東京都)
・産後1年未満や4ヶ月未満が対象で、実際困ったときには期限が過ぎていたこともあったので期限をもっと余裕もたせてほしい。(30代/女性/東京都)

<施設数の少なさや不便さに関する意見>
・宿泊を利用したかったが、お産の状況によるから受け入れが難しい旨を複数の施設から言われた。日帰りについても空きが想定よりなく、利用したい日程よりも先になってしまった。(30代/女性/東京都)
・産後ケアの施設がとても混んでいて月1しか利用出来なかった。もっと利用したかった。(30代/女性/東京都)
・施設が限られていて希望どおりにはいかなかった。(30代/女性/福岡県)
・一施設を登録し、その施設しか利用できない。違う施設を利用する場合は、変更の手続きが必要な点が不便だと感じた。(30代/女性/岡山県)

また利用の有無に関わらず、すべての保護者に対し「自治体の産後ケア事業では、異次元の少子化対策によって、対象者が拡大されました。そのことについてどのように思いますか?」と質問したところ、「とてもいいと思う」「いいと思う」と回答した人は86.2%にものぼり、多くの保護者が今後の産後ケア事業の拡充に期待していることがわかりました。

今回、自治体の産後ケア事業に関するアンケート調査を行い、利用した保護者の期待度や満足度は高いものの、回数制限や利用対象者の制限も厳しく、まだまだ利用ハードルが高いことが明らかになりました。

【調査概要】

アンケート対象:全国の子育てをしている保護者1,181名
アンケート実施期間:2024/2/9〜2/21
調査方法:Googleフォームでアンケート回収


BABY JOB
https://baby-job.co.jp/

(マイナビ子育て編集部)

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