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2024年02月24日 07:07 更新

都内では希少な農業体験イベント【東京の畑で食育! 七草を摘んで七草粥を食べよう】に参加してきた

食べ物の大切さを体感したり、伝統文化に触れたり、田舎暮らしを体験できたりと、いいことづくめの「農業体験」。子どもに体験させたいけれど、「遠出しないとできないから……」と諦めていませんか? でも、東京でも体験のチャンスはあります! 我が家が都内で参加してきた農業体験イベントをレポートします。

【東京で食育! 七草を摘んで七草粥を食べよう】ってどんなイベント?

(公財)東京都農林水産振興財団が運営する「東京農林水産ファンクラブ」は、東京の農業や水産業の魅力・価値をシェアし、集い、楽しむためのコミュニティ。
東京の農林水産業を応援してくれる方であれば、だれでも会員になれる、入会金・年会費無料のファンクラブなんです。

今回我が家が参加したのは、同クラブが告知し、参加者を募っていたイベント【東京で食育! 七草を摘んで七草粥を食べよう】。
東京都日野市にある「石坂ファームハウス」を訪れ、農家さんのお話を聞きながら、親子で七草摘みや薪拾いをして七草粥を食べたり、ジャム作りやこんにゃく作りを体験したり。1家庭あたり500円の参加費は「緑の募金」となり、森林や里山の保全に役立てられます。

【公式HP】▶東京農林水産ファンクラブ

イベント当日! 多摩丘陵の里山にある「石坂ファームハウスへ」へ

筆者は、東京農林水産ファンクラブからのメルマガで、【東京で食育! 七草を摘んで七草粥を食べよう】のイベント情報をキャッチ。
「七草粥なんて家で作ったことないし、七草摘みからできるなんて親子で貴重な経験になりそう。しかも、ずっと息子にさせたいと思っていたこんにゃく作りまでできるなんて……!」と思わず小躍りし、家族3人で参加することに。

いざイベント当日を迎え、会場の「石坂ファームハウス」に向かいました。

最寄り駅は、京王線の「聖蹟桜ヶ丘駅」

日野市と多摩市の市境、多摩丘陵の自然豊かな里山にある石坂ファームハウスは、なんと500年以上続く農家さん。自給自足の暮らしを営み、自然の恵みを大切にした農家の暮らしを多くの人に伝えたいという想いから、1年を通じてさまざまな農業体験プログラムを提供しているのだとか。

目印になるのは、こちらの緑の建物。

中には野菜の自動販売機があり、畑で採れたての新鮮な野菜が売られています。

園内に入って受付を済ませると、日当たり抜群の母屋の軒先で休憩タイム。

縁側のある昔ながらの日本家屋が素敵ですよね。ポカポカの縁側で昼寝できたら最高だろうな~。
まるで田舎のおばあちゃんちに遊びに来たような、懐かしい気持ちになりながら待ち時間を楽しみました。

いくつ見つかるかな? 田んぼや畑で春の七草摘みを体験

開始時刻になると主催者の挨拶や注意事項の説明があり、いよいよイベント開始。まずは、農家さんから「春の七草」のお話を聞きます。

お正月のご馳走続きで疲れた胃腸をいたわるために、1月7日にいただく七草粥。
春の七草とは、その材料である「セリ」「ナズナ」「ゴギョウ」「ハコベラ」「ホトケノザ」「スズナ」「スズシロ」の7種の野草や野菜のことです。
お正月明けにスーパーで売られているのを見かけたことがあるので、もちろん筆者も春の七草の存在は知っていましたが、「スズナ」はかぶ、「スズシロ」は大根であることを恥ずかしながら今回初めて知りました。
ここで知ることができて良かったー!(笑)

冬の厳しい寒さのなかで芽吹く春の七草は、非常に生命力の強い植物。七草粥を食べることで、その植物の元気をもらうという意味も込められているそうですよ。

面白いと思ったのは、七草を包丁で刻むときに歌う歌があるということ。

「七草なずな 唐土(とうど)の鳥が 日本の国に 渡らぬうちに ストコン・ストコン♫」 
これは、こちらの農園のある東京・多摩地域に伝わる歌です。地域によって、歌詞が異なるんですって。

続いて、スズナ(かぶ)とスズシロ(大根)以外の5種類の七草の現物を見せていただきました。

わぁー、小さくて可愛らしい! 田んぼや畑の周囲によく生えている野草だから、きっとどこかで目にしているんでしょうね。

予備知識を得たあとは、母屋のある農園の敷地を出て、春の七草を摘みに行きます。遠足みたいでワクワク!

最初にやって来たのは、道路を挟んですぐ目の前にある田んぼです。田んぼのあぜ道でよく見つかる七草は、「ホトケノザ」だそうです。

果たして、見つかるかな~? いざ七草探しをスタート!

真剣なまなざしで探す息子。そこらじゅうに野草が生えているので、七草を見つけ出すのがけっこう大変です。

息子に「これがホトケノザかな?」と聞かれますが、確信を持てない筆者。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない……。
息子の摘んだそれらしき野草を農家さんに見ていただいたところ、「正解!」とのことでした~。

わーい、初の七草をゲット! ホトケノザはタンポポなどのように、葉を地面に放射状にぺったりとくっつけて広がるため、仏様の座に見立ててその名がついたそうです。縁起のよさそうなネーミングですよね。

続いて、ほかの七草を見つけに畑へと向かいました。畑は、多摩丘陵の一角にある小高い丘を登ったところにあります。

「どんな七草が見つかるかな?」とワクワクする息子の足取りは、とっても軽やか!

丘を登りきると、野菜やブルーベリーの植えられた広~い畑に到着。
まずは畑の周りで「ハコべラ」を探します。見本を見せていただいたあとに足元を探してみると、すぐに見つけることができました。

さっそく、2つ目の七草をゲット~! ハコベラは、可愛らしい卵型の葉っぱが特徴です。
田んぼや畑のそばはもちろん、民家のそばの道端などにも生えていて、身近なところでも見つけやすい七草のひとつだそうです。

次々と見つかるので、摘み取るのが楽しそう。気づけば、筆者の両手に余るほどのハコベラを摘み取っていました。

ハコベラを摘み終えると、畑の奥へと進み、次は「ナズナ」を探すことに。

野原や道端にも生えている「ぺんぺん草」。その別名がナズナだということはご存じでしょうか? 可憐でけなげなナズナは、摘み取るのにちょっと躊躇してしまいますが、息子は気にせずどんどん摘み取っていました。

二年草のナズナは、去年のものもあちこちに生えています。でも七草粥に入れる部分は、今年芽吹いたばかりの、やわらかく香味のよい若苗の部分。草丈が短いものを摘み取るのがポイントだそうですよ。

ナズナを摘んだところで、七草摘みはこれにて終了!
「あれ、まだ3種類しか摘んでいないけれど大丈夫かな?」と思ったら、実際にお粥に入れる七草は、事前に農家さんが準備してくださったものとのこと。
七草摘みは楽しいけれど、全部見つけるには時間が足りなさそうなので、内心ホッとした筆者でした。

まるで昔話の世界!? 裏山で薪拾いのお手伝い

次は母屋の裏山の雑木林に行き、七草粥をかまどで炊くときの燃料となる「薪」を拾います。
「薪拾いなんて、まるで昔話の登場人物みたい。わーい、楽しそう!」と思っていたら、想定外の急斜面が待ち受けていました。の、のぼれるかしら……!?

ハードな急斜面もスイスイと軽やかな足取りでのぼる農家さん、さすがですよね! 尊敬のまなざしでその背中を見つめながら、頑張って後を追います。

そして、薪拾いスポットに到着。意外にもふもとから近くだったので良かったー!

さっそく足元に落ちている薪を拾い始める息子。おー、これは普段から公園などでも枝を拾うのが好きな息子に、もってこいの作業ですね!

両手でやっと抱えられるほどの大量の薪を拾い集め、せっせと集積場まで運んでいました。

薪を拾う傍ら、落ち葉もときどき集めます。

裏山の落ち葉は、農園で野菜を育てるための堆肥となります。だから、とても大事な作業の一つなんですって。枝が混ざっていると分解しづらく堆肥になりにくいので、落ち葉だけを集めるのがコツ。

「スギの葉っぱもたくさん集めてね~」と農家さん。

油分を多く含み、よく燃えるスギの葉っぱは、火起こしに便利な天然の着火剤だそう。今や市販の着火剤が手軽に買える時代ですが、自然のもので焚きつける術を身に付けておくと、いざというときに役立ちそうですよね。

薪拾いや落ち葉拾いには、自然の恵みを無駄にしない農家さんの知恵がぎっしり詰まっていました。

農家さん直伝! こんにゃく作り&ブルーベリージャム作りを体験

お次は、こんにゃく作り体験です。
こんにゃく作りは、筆者にとっても生まれて初めての体験。親子でワクワクしながらのぞみました。

市販のこんにゃくは「こんにゃく粉」から作られることが多いそうですが、こちらでは「生芋」からこんにゃくを作ります。
こんにゃく芋は、箸がすっと刺さるかたさになるまでゆで、皮をむいて適当な大きさに切って準備してありました。こんにゃく芋って、最初は白いんですねー。

こんにゃく作りの体験がスタート!

まずは、ぬるま湯とこんにゃく芋を約1分間ミキサーにかけます。

ペースト状になった芋を鍋に移して火にかけ、焦げ付かないようにヘラでかき混ぜます。鍋を囲んだ子どもたちが、交替でかき混ぜるのをお手伝い。

鍋の温度が50~60度程度になったら、凝固剤の「炭酸ナトリウム」をぬるま湯で溶かして鍋に加えます。

しばらくヘラでかき混ぜていると、もったりと粘り気が出てきました。そして、白かったこんにゃく芋が灰色にチェンジ。

鍋から漂ってくる香りも、こんにゃくらしくなってきました。

のり状になったら火を止めます。

保存容器に入れ、数時間おけば完成です。出来立てぷるぷるのこんにゃくを一口食べてみたいところですが、アク抜き前なので生臭さやえぐみがあっておいしくないのだとか。
そっかー、おいしくないのかと理解しつつも、やっぱり食べてみたくなりますね(笑)。

こんにゃく作りは、材料も工程もシンプルなのがいいですね。こんにゃく芋が手に入ったら、自宅でも挑戦してみたいなと思いました。

続いては、ブルーベリージャム作りを体験。普段ほとんどジャムを食べない息子ですが、ジャムがどうやって作られるのかを見て学んでくれるだけでもいいかなと、見守りました。

使用するブルーベリーは、去年の夏に完熟で収穫後に冷凍保存されていたもの。我が家はこれまでに何度かブルーベリー摘みをしたことがありますが、こちらの農園のブルーベリーはかなり粒が大きいように感じました。食べ応えありそう!

ジャムの保存性のことを考えると、本来砂糖はブルーベリーと同量を入れるそうですが、2、3日で食べきってしまうのなら半量でもいいとのこと。
今回は半量の砂糖で作ることになりました。

火にかける前に、鍋に砂糖を加え、ブルーベリーの実をつぶしながら混ぜます。

砂糖がある程度混ざったら、鍋を火にかけます。さっそくジャムの甘い香りが漂ってきて、思わずうっとり~!

ヘラでかき混ぜながら煮詰めます。息子も率先してお手伝い。ジャムを手作りするのって、どこか夢があって楽しいんですよね~。

全体にややとろみが出たら完成!

あまり煮詰めすぎてしまうと、冷めたときにカチカチになってしまいます。
煮詰め時間は10分程度を目安に、「ちょっとゆるめかな?」と思う状態で火からおろすのがポイントだそうですよ。

ジャムに興味のない息子には退屈かも……と思っていたジャム作り体験でしたが、意外にもしっかり満喫しているようでした。

上手にできる? 七草を包丁で刻んでお粥の準備

「さて、お粥はどうなっているんだろう?」と思ったら、農家さんがかまどで炊いてくださっていました。

かまどで炊いたお粥って、きっとおいしいんでしょうねー。期待に胸が高鳴ります。

お粥が炊きあがる前に、子どもたちは七草を包丁で刻みます。

トン、トン、トン。ふんわりとした七草はしっかり手を添えないと刻みづらいので、ちょっと苦戦する息子。

あぶなっかしい手つきで見ているこちらはヒヤヒヤしっぱなしでしたが、なんとか自力で刻み終えました!

途中で「さっきの歌は覚えているかなー?」と農家さん。そして「七草なずな 唐土の鳥が……」と、先ほどの歌を陽気に歌ってくださったのが印象的でした。

いざ実食! じわーっと体にしみわたるおいしさに感動の嵐

七草粥が炊き上がり、いよいよお待ちかねの試食タイム。

各自持参したお椀にお餅を入れてもらいます。

このときすでにお腹が空きすぎてイライラ気味の息子でしたが、「え、お餅も食べられるの?」と大喜び! 

お餅を入れたお椀に、七草粥をついでもらいます。

わぁー、春の七草のほかに人参も入っていて彩りもバッチリですね。

いただきまーす!と食べると、ほんのり塩味と七草の爽やかな香りがたまりません。やさしい味わいに、ほっこり癒されます。息子からも「うまいっ!」の一言。

お粥の王道トッピング「梅干し」を入れると、塩味と酸味で味がギュッとしまり、箸が止まらないおいしさ。思わず家族3人とも、お粥をおかわりしてしまいました~!

続いて農家さんが前日に作ってくださったこんにゃくに、自家製のゆず味噌をつけていただきました。

手作りこんにゃくは、市販のものに比べるとプルンプルンとやわらかく、芋本来の豊かな風味が感じられるのが特徴。「こんにゃくって、こんなにおいしかったっけー?」と驚いてしまいました。

さらになんと贅沢にも、烏骨鶏のゆで卵もいただけることに!

烏骨鶏の卵は、鶏卵よりもちょっと小さめで、白身よりも黄身のほうが多い印象でした。
生卵や半熟で食べると鶏卵との違いがハッキリ分かると聞いたことがありますが、ゆで卵だったので、残念ながら筆者には味の違いが分かりませんでしたが……(笑)。

続いて試食したのは、先ほどみんなで手作りしたブルーベリージャム。

おなじみのクラッカーにトッピングされたものをいただきます。

パクっと一口食べてみると、甘さと酸味の絶妙なバランスに感動! 砂糖を半量しか入れなかったので、正直なところ「物足りないのでは?」と思っていたのですが、まったくそんなことはありません。完熟のブルーベリーを使用しているからこその、おいしさなんでしょうね。
そして、息子がまさかのお代わり。しかも何度も……。予想もしなかった光景に、ただただビックリでした。

2月の開催だった本イベント。大人向けに、温かいレモングラスティーも提供されました。

「農家さんでハーブティー?」とちょっと意外でしたが、レモングラスも自家製なのだとか。大人がおいしそうに飲んでいるのを見て、「僕も飲んでみたい!」と息子。飲ませてみたら、とても気に入っている様子でした。

次々と提供される料理は、素材本来の旨味がじわーっと体にしみわたる最高のご馳走ばかり。農家さんの心をこめたおもてなしにも、感動しきりでした。

まとめ

七草摘み、薪拾い、こんにゃく作り、ジャム作りとさまざまな体験を通して、農業や自然の恵みの素晴らしさを実感することができ、とても素敵なイベントでした。また東京農林水産ファンクラブで楽しそうなイベントが告知されていたら、ぜひ応募してみたいと思っています!
今後開催予定のイベントについては、東京農林水産ファンクラブの公式HPなどをチェックしてみてください。また今回お邪魔した「石坂ファームハウス」では、田植えや稲刈り、野菜作り、ブルーベリー摘み、里山活動など、年間を通してさまざまな農作業プログラムが楽しめます。こちらの公式HPもあわせてチェックしてみてください。

(文・撮影:あゆーや/アソンデミエータ)

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