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2024年02月19日 07:07 更新

乳幼児期に学習の基礎を作るには、何を育てるのが重要?【おうちモンテッソーリ】北川さんインタビュー#1

教育のため何かしてあげたいと思いながらも、どこから始めればいいのか・何をすればいいのか迷ってしまいますよね。一方で、まだまだ小さいんだから教育とか考えなくていいのかも…と思うことも。赤ちゃん〜幼児の時期、どんなアプローチが必要なのでしょうか。

10年以上の保育園・幼稚園での現場経験を持ち、国際モンテッソーリ協会0-6歳ディプロマもある北川真理子さん。2023年に男の子を出産された3児の母でもある北川さんは、『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』(日本文芸社)など、子どもの育ちに役立つ本を多数書かれています。

インタビュー連載(全3回)の初回となる本記事では、北川さんに「乳幼児期に大事なこと」についてお伺いしました。

Lazy dummy

お話をしてくださった方
北川 真理子 さん
(国際モンテッソーリ協会0〜3歳/3〜6歳ディプロマ、元幼稚園教諭・保育士)

モンテッソーリ教育の基本!「敏感期」って?

―― おうちモンテッソーリを始めるにあたって、知っておきたいことはありますか?

北川真理子さん(以下、北川) 遊びやおもちゃに関しては、敏感期(びんかんき)が重要になります。敏感期というのは、0~6歳の間だけの特別な時期。何かひとつのことに夢中になって、それに熱中してあっという間に習得してしまう時期を指します。何かに熱中することは、もっと上の年齢でも、大人になってからでもあることですが、それをずっとスムーズに習得してしまうことが大きな特徴です。

たとえば、大人が外国語を習得しようと思ったら、どんなに集中しても覚えるまでに時間がかかりますし、ネイティブスピーカーのレベルになるのは難しいものです。ところが敏感期に夢中になって他言語を練習すれば、2~3年ほどでネイティブスピーカーと同じように話せるほど習得できてしまうんです。

―― 確かに乳幼児期は何でも吸収が速いですね。この時期に特に伸ばしたいことはありますか?

北川 0~6歳の間は運動の敏感期で、運動をあっという間に習得します。この時期の子どもは、とにかく体を動かしたいんです。脳神経がつながって複雑な動きができるようになってくるので、自分で体を動かしてみてその動きを習得しようとするんですね。このとき、さまざまな動きを体験するのがいいと思います。自転車に乗る、泳ぐといった運動だけでなく、ピアノを弾くことも指の運動ですし、しゃべることも運動のひとつです。

北川 発達に大切な運動を大きく分けると「全身の動き」と「指先の動き」の2つになります。

全身の動きには、ボールを投げる、ラケットで打つ、走る、のぼる、滑り台を滑るなど、色々な動きがあります。指先の動きは、最終的に文字を書くこと・おはしでご飯を食べることにつながっていくので、学習の基礎にもなります。これができていないと、このあと言語の敏感期に入ってひらがなや漢字や数字に興味を持っても「書きたいのにうまく書けないから嫌だ」と嫌いになって挫折してしまう原因になります。小さいときに指先を動かすことを楽しむことが、将来学習を楽しめるようになることにつながるんです。

指先を動かす遊びは、書籍で「指先を鍛えるあそび」として紹介した「ストロー落とし」「ルーピング」「リングとおし」のような遊びです。

『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』より

―― 全身だけでなく、指先を使う遊びもしっかり経験しておくことが大切なのですね。

北川 そうですね。運動のほかにも、感覚、言語、数、秩序などの敏感期があります。数の概念も難しいものですが、敏感期なら数えることや暗算もすぐにできるようになりますよ。

現代の生活は指先が育ちにくい?

―― 小さいうちに指先を動かして楽しむことは、学習の基礎になるとのことでした。生活のなかでも積極的に指先を使っていくのが良さそうですね。

北川 昔は外で遊んでいれば、自然に指先を育てることができる環境でした。実をつまんで採ることや、草木の根っこを取り除くことなどが指先を育てることにつながります。現代は自然豊かな場所での外遊びも減りましたし、何でも自動になって、指先を育てる機会が減っています。わたしが幼稚園教諭になった15年ほど前の時点で、指先があまり育っていないことを実感することがありました。手洗いの際に、プッシュ式のソープに慣れ過ぎて、石鹸で手を洗うことができないんです。石鹸はこうやってこすって泡立てるんだよ、と教えると、子どもたちは「わーっ」と驚いていました。蛇口をひねって水を出すことができない子もいますね。今の住宅はひねるタイプではなくなっているので。

―― 今の子どもたちは筆圧が弱く、鉛筆をしっかり握って書くことができなくなっているとも聞きました。暮らしが便利になった一方で、子どもの指先が育ちにくくなっているのですね。

『ゆる~く楽しく続く!おうちモンテッソーリの知育あそびアイデア帖』より

北川 本当にそうなんです。書籍で指先を育てる遊びを色々と紹介しましたが、そのほかに、同じものをそろえることも指先を育てるあそびにつながります。例えば豆を数種類混ぜてから、「あずきとあずき」「ダイズとダイズ」という風に分類するんです。同一であわせることが思考も育てて、今後の学習の基礎になります。書籍にも同一性を意識して思考と組み合わせたものが入っています。

―― ひもとおしでも、赤と白を交互に、など自分で規則性を作って並べる子もいますね。

北川 それは本当に不思議なことで、先生が教えなくても子どもが自らやるんですね。子どもは教えられていないのに、もともと人間に備わっている秩序性、ものごとを秩序立てて考えることを発揮するんです。知性は自然と生まれてくるんですね。そうはいっても、環境がないと生まれないものです。例えばたくさんの色があるビーズがあれば、子どもが自分で色別に並べる遊びを始められますが、ビーズがなければその遊びをすることはありません。大人が環境を用意することが大切なんです。

―― 大人が環境を用意することが必要なのですね。モンテッソーリ教育では、家事に参加させることも遊びのポイントとのことでした。

北川 そうですね。

―― 次回は、家庭での過ごし方として家事をやることや子どもに選択させることについてうかがいます(2024年2月20日朝7時ごろ配信)。

(解説:北川真理子、文:佐藤華奈子、取材:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

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