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2024年01月16日 06:30 更新

人は見かけによらない?だだをこねる子どもに困る母親を助けたのは意外な人物!「飴だま」のあらすじをご紹介

親子で楽しみたい物語をご紹介している本連載「親子のためのものがたり」。今回は新美南吉の「飴だま」を取り上げます。とても短いお話ですが、予想外の展開が待っていますよ。子どもにおすすめなのはもちろん、大人も楽しめる内容です。親のなかには同様の体験を思い出して感動する人も多いかもしれませんね。

「飴だま」を子どもに聞かせよう!

「飴だま」を書いた新美南吉は「ごんぎつね」や「手袋を買いに」でおなじみの児童文学作家です。結核により29歳という若さで夭逝しました。今回ご紹介する「飴だま」は民話的に描かれた幼年期向けの短いお話となっています。「人は見かけによらない」ということを伝える、心温まる物語です。

「飴玉」のあらすじ

大人ほど人の外見や雰囲気で警戒心を持つもの。しかし子どもは無邪気なもので、母親ばかりが不安でハラハラしてしまう……。現代にも通ずるようなお話を読んでみましょう。

渡し舟に乗り合わせた親子と侍

あめ玉

暖かい春のある日、渡し舟に小さな子ども二人をつれた母親が乗りました。舟が出ようとすると「ちょっとまってくれ」と侍が走ってきて舟に飛び乗ってきます。

侍は舟の真ん中に座るとやがて居眠りを始めました。黒いひげを生やした強そうな侍がこっくりこっくりするので、子どもたちはそれを見て笑っています。しかし侍が怒るのを心配したお母さんに「だまっておいで」と言われ、子どもたちはだまりました。

しばらくすると一人の子どもが「かあちゃん、飴だまちょうだい」と手を出しました。もう一人の子どもも「かあちゃん、あたしにも」と言います。お母さんはふところから、紙のふくろを出しますが、飴だまはもう一つしかありませんでした。

二人の子どもに両方からせがまれ、お母さんは困ってしまいました。「いい子たちだから待っておいで、向こうへついたら買ってあげるからね」と言ってきかせても、子どもたちは「ちょうだいよお」と言ってききません。

\ココがポイント/
✅親子と強そうな侍が同じ渡し舟に乗り合わせた
✅子どもたちが飴玉を欲しがるが一つしかない

駄々をこねる子どもたちに侍がしたこと

飴玉

その様子を、居眠りしていたはずの侍が見ていました。お母さんは驚きます。居眠りの邪魔をされて怒っているのにちがいない、と思いました。

お母さんは「おとなしくしておいで」と子どもたちをなだめますが、子どもたちはききません。侍が刀を抜いて親子の前にやってきます。子どもたちが切り殺されると思ったお母さんは真っ青になって、子どもたちをかばいました。

「飴だまを出せ」と侍が言うのでお母さんが差し出すと、侍はそれを舟のへりにのせ、刀で二つに割りました。そして、「そおれ」と二人の子どもに分けてやりました。

それから侍はまたもとのところに戻り、眠りはじめました。

(おわり)

\ココがポイント/
✅侍が刀を抜いて親子に近づいてくるので、母親は切り殺されると思った
✅しかし侍は刀で飴玉を二つに割り、子どもたちに分けると、また眠り始めた

子どもと「飴だま」を楽しむには?

強面の侍が優しい振る舞いを見せるというお話でした。こうした「思いもよらぬ優しさに助けられた」話は、現代でも子育て中のママの体験談などで聞かれますよね。
子どもに感想を聞くなら、
・強そうなお侍さんが舟に乗ってきたら怖い?
・お侍さんのことをどう思った?
・お侍さんが飴を割ってくれたら「ありがとう」を言えるかな?

などとたずねてみるとよいかもしれません。

また、侍がやってくるところは子どもが「どうなるの?」とドキドキする場面だと思います。侍の意外な行動に対する子どもの驚きを、うまく語りで引き出してあげると楽しいでしょう。

まとめ

黒ひげの強そうな侍が実は優しい心の持ち主でよかったですよね。人を見た目だけで判断してはいけないよと、子どもに教えるのにぴったりな作品といえるでしょう。とても短く、あらすじも覚えやすいので、ぜひお子さんにお話ししてあげてください。

(文:千羽智美)

※画像はイメージです

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