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2023年12月04日 07:07 更新

“共有・共感”が育児の苦しみを“楽しみ”に変えた「ママ友」|皆様、本日も家事育児お疲れ様です。#4

5人の男の子を育てながら毎日家事育児に大奮闘する竹田こもちこんぶさんのお家は、毎日がネタの宝庫。“子育ての大変さ”にフォーカスされがちな今、“子育ての魅力”を伝えたい!と、日常に転がる子育ての魅力と面白エピソードを詰め込んだ書籍、『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』(KADOKAWA)からお届けします。

ママ友

▲幼稚園からの帰り道(写真:竹田こもちこんぶさん提供)
▲幼稚園からの帰り道(写真:竹田こもちこんぶさん提供)

「ママ友」という言葉は一体いつ誰が考えたのだろう。

少なくとも私が長男を妊娠していた10年前からあったし、テレビなどでその言葉が語られる時は大抵悪いイメージを抱かせる内容がほとんどだった。表面上は仲良くしていても、裏では悪口を言いあうようなそんな女の醜い人間関係を指すような印象があり、いずれ自分も関わっていくのかと思うと怖くて仕方がなかった記憶がある。

 かつ35年間生きてきて友達と呼べる人がなんと2人しかいなかった産前の私は、正真正銘の人付き合いが苦手野郎。しかし心の奥底では人とつながりたいという本音もあったし、まだ対人能力が白紙の我が子に、初めから人が苦手な母の性質を塗りつけてしまうのはもったいない気がしていた。

 かつて芸能の世界を目指し夢破れ母になった私は、それまで費やしてきた莫大なエネルギーを方向転換し、友達作りに注ぐことを決意する。相手はママ友という強大な負のイメージをまとっており大怪我する恐れもあった。しかし、「あの時の挫折以上に今の私を深く穴に落とすものはない」、とある意味負に対する免疫力が向上していたせいもあり、割とスムーズに行動に移せたというわけだ。

 私は予防接種に行った小児科の待合室でたまたま隣に座っていたお母さんや、各地の子育て支援センターに行ってはお母さんたちに声をかけたり連絡先を聞いたりして、日々ナンパを繰り返した。そうして別段傷つくこともなく、かといって親密な仲になるわけでもない、当たり障りのないコミュニケーションを繰り返していた私だったが、ついに長男が2歳の時に今のママ友に巡り会う。

 その子育て支援センターは息子が通うことになる幼稚園の施設内に設けられていたため、自然とよく行くようになりメンバーも知った顔になってきた。ある日、誰かのひと声でLINEグループを作ることになった。ママ友LINEグループと言えば悪口、仲間外れ、マウンティングと、午前中のネタ切れワイドショーの格好の餌食になりそうな嫌な言葉が連想されるだろう。でも、実際はまったくそんなことはなく「今日もお疲れ」に集約される程度の母たちの何気ない言葉のやりとりをしていた。そのグループの中で、ある日誰かがふと漏らした愚痴が我々に痛快な刺激を与えた。

 その日は日曜日だった。携帯の通知音で画面を見ると、

「朝から私がご飯の支度と子どもの世話に追われているのに、旦那がソファーに寝転がって携帯いじっていて腹立つ!!」

 次の瞬間、それまで遠慮がちだったトークルームが堰を切ったように流れ出した。
「ある!」
「あるある!!」
「わかるーーーーーー!」
「あれ、めっちゃムカつくよねー!」
「私たちだって休日がほしいんですけどぉぉぉぉぉ(怒)」

 トークルーム上が未だかつてない盛り上がりを見せ、あるある業火大炎上

 私はこの時、育児のストレスが一瞬で吹き飛んだ気がした。それは紛れもなく自分だけじゃないという安心感と、仲間がいるというつながりを確かに感じられたからなのだろう。子育てでは愚痴という名の共有・共感に救われることが少なくない。どんなに旦那が優しくて協力的で私に寄り添うことができても、立場が違う以上「あるあるー! わかる〜!!」までは追いついてこられないのだ。私はそこに常に物足りなさを感じていた。同じ境地で手を取りあえるのは、やっぱり紛れもなく時同じくして育児に奮闘する母たちなのだ。

 そのことに気がついて以来、私は必要以上に旦那にイライラしなくなったし、育児仲間に挨拶がわりに育児の愚痴をガンガン漏らすようになった。するとママ友たちも「子どもが汚しまくった絨毯を洗濯機にぶち込んだら壊れた。終わったー」「うちはソファーで息子がうんこ漏らしまくって死にそー」「朝から怒鳴りまくっていて自分が嫌になる」「ご飯全然食べなくてイライラする」と、誰かの返事を期待するでもない、けれど、誰かに聞いてほしい子育てのぼやきがこぼれ出した。

 こうして、ママ友の存在は私の育児の苦しみを楽しみに変えていった。子どもがいなけりゃ交わることのないような、趣味嗜好も年齢も違う女たちが子育てというパワーワードで同志になる。さらに私のような人付き合いが苦手な人間が子どもを介して人と交わりその素晴らしさを知るに至ったのだ。

 いつだったか、友達の元職場のお花見に私も紛れ込んだことがあって、その時に同席した女性が「ママ友ってさ、遊びに行ったおうちの粗を探して、裏で別のママ友にその家の悪口言ったりするんでしょう?」と話しかけてきた。いや、メディアに踊らされんなや。確かにあうあわないはあるし、時にはめんどくさいこともあるだろう。でもそれはママ友に限った話ではなく、人間関係全般において言えること。「ママ友なんかいなくてもいい」そういう考え方を否定はしないが私は違う。

ママ友なくして我が育児成り立たず。

 今日も私はママ友にラインする。悩みを、愚痴、くだらない話を。そうして子育ての荒波を乗り越えていくのだ。

Lazy dummy

つかこの「ママ友」という言葉の放つ印象が良いイメージに変わる時代が来るといいなぁ。その言葉の悪い響きを利用してネタにしてSNSや漫画で煽るのもやめてほしいなぁ。お母さんという存在に出会えば出会うほど、知れば知るほどやっぱりみんな素敵だなと思うから。

(著:竹田こもちこんぶ『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』(‎ KADOKAWA)より再編集/マイナビ子育て編集部)

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書籍『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』について

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\全ての母に捧げる応援歌/

「子育てから抜け出して自由になりたかった私よ、ひたすら育ててごらんなさい。いずれその我儘も粗相もずるさも泣き顔も、全て愛しく思えるから」
(『 皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』本文より)

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4児のママ(現在は5児のママ)として毎日家事育児に大奮闘する竹田こもちこんぶさんのお家は、ネタの宝庫! 
「道草をしまくる三男」
「抱っこ紐をしていないのに揺れてしまう抱っこ紐シンドローム」
「コロナ禍に乳幼児のいる家族全員が濃厚接触者になったら…」

など、子育て世代から共感しかない子育てあるあるが満載です。

また、ネタ動画の中でたびたび登場する自宅の全貌、間取りなどをフルカラーで本邦初公開! 賑やかすぎる竹田家の様子を撮りおろし写真をたっぷり見れちゃいます。

笑って泣けて、子育ての参考にもなる超お得な1冊です!

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