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2023年10月28日 13:16 更新

4年ぶりの開催! 第三十四回「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」授賞式にて、受賞作品が決定

根強い人気を誇る「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」。毎年受賞作品を楽しみにしている、というファンも多いのではないでしょうか? 今回はコロナ禍に突入して以降、オンライン開催が続いていた授賞式が満を辞して4年ぶりにオフラインでの開催が決定! ご縁あって参加させていただいた授賞式当日の様子をお届けします。

伊藤園「お〜いお茶」のペットボトルに印字される「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」の受賞作品達。一度は見たことがある人がほとんどなのではないでしょうか。そんな「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」の第三十四回目のコンテストの応募総数は1,921,404句、その中から文部科学大臣賞をはじめ、入賞2,000作品が決定! 各部門の大賞作品の発表と授賞式が先日、帝国ホテルにて行われました。

コロナ禍の影響で、リアルの場での授賞式は4年ぶりとのこと。そのため会場はたくさんの人が集まっており、授賞式に対する期待や熱量を感じました。

各分野のプロフェッショナルがさまざまな着眼点から審査

今回審査員を務めたのは、浅井愼平氏(写真家)・いとうせいこう氏(作家・クリエイター)・村治佳織氏(ギタリスト)・ 吉行和子氏(女優)・夏井いつき氏(俳人)・ 安西篤氏(俳人)・金田一秀穂氏(日本語学者)・宮部みゆき氏(作家)。また英語俳句の部門はアーサー・ビナード氏(詩人)・星野恒彦氏(俳人)が審査員を務め、いろいろな側面から俳句を評価することを目的として、さまざまな分野のプロフェッショナルが会場に集いました。

今回の授賞式で表彰されるのは、「文部科学大臣賞」「金子兜太賞」のほか、「小学生の部(幼児含む)」「中学生の部」「高校生の部」「一般の部A(40歳未満)」「一般の部B(40歳以上)」「英語俳句の部」「新俳句フォトの部」の各部門の大賞受賞作品たち。

「文部科学大臣賞」受賞 小林航さん 8歳

初日の出とても小さい駅で見た

緊張を感じさせない堂々とした佇まいに、会場から感心の声が湧き上がりました。
緊張を感じさせない堂々とした佇まいに、会場から感心の声が湧き上がりました。

最高位の「文部科学大臣賞」を受賞したのは大阪府大阪市在住の小林航さん(8歳)。受賞作品は「初日の出 とても小さい 駅で見た」。お正月に出かけたときに見た初日の出の様子を詠んだ句です。

自身も俳句に精通する文部科学大臣の盛山正仁氏は、「とても大きく、眩しく輝く初日の出と、『とても小さい』という言葉の対比が鮮麗な印象となった」と寸評。また審査員を務めた俳人の夏井いつき氏からは、「『とても』『見た』など、語句としては平凡な語彙を使っているのに、とても瑞々しい。こういった句に出会うと、私たち俳人は『負けた!』と思います」との選評の言葉も届きました。

小林航さんには賞状と賞金50万円、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額などが贈られました。
小林航さんには賞状と賞金50万円、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額などが贈られました。
「まさか自分の句が選ばれるなんて思ってなかったので、とても嬉しいです」と話す小林さん。
「まさか自分の句が選ばれるなんて思ってなかったので、とても嬉しいです」と話す小林さん。

「金子兜太賞」受賞 篠原孝太さん 16歳

UFOに会いたし湖の大焚火

「金子兜太賞」を受賞したのは愛媛県松山市在住の篠原孝太さん(16歳)。受賞作品は「UFOに会いたし湖の大焚火」。家族とキャンプに出かけた際、焚き火を目に留めた時の心情を詠んだとのこと。篠原孝太さんには賞状と賞金20万円、受賞作品掲載「お~いお茶」1ケース、受賞作品掲載額などが贈られました。

家族でのキャンプの思い出を表現したとのこと。
家族でのキャンプの思い出を表現したとのこと。

「文部科学大臣賞」「金子兜太賞」に続いて各部門の受賞作品も発表されました。受賞した7つの作品をご紹介します。

「小学生の部(幼児含む)」大賞/沙 宗馬さん 12歳

「山ゆりの二百のラッパもう鳴るか」

応募総数483,111句の中から受賞。
応募総数483,111句の中から受賞。

夏休み、山に囲まれた自然豊かな祖母の家に遊びに行ったときに、たくさんのやまゆりの花を見たんだそう。「トランペットのような形に見えた」というたくさんのやまゆりが、今にも鳴り出しそうなその情景を表現したとのことです。

「中学生の部」大賞/椎木 徹真さん 13歳

「テレワーク父の背中と牡丹雪」

応募総数487,964句の中から受賞。
応募総数487,964句の中から受賞。

コロナ禍中、新たな新常識となったテレワーク。父親が初めてテレワーク業務となった冬休みのとある日、窓の外に見えたひらひらと舞う牡丹雪を表現した本作品。父の頼もしく強い背中と、牡丹雪の切なさの対比が印象的でした。

「高校生の部」大賞/中島 広太さん 15歳

「冬に飽き潮の匂いを嗅ぎに来た」

応募総数789,006句の中から受賞。
応募総数789,006句の中から受賞。

嫌なことが続いてしまった冬。この時期を抜けた前向きな気持ちになりたいという思いから、冬を通り過ぎ夏を感じさせる海の香りに触れに来た瞬間を詠んだとのこと。

「一般の部A(40歳未満)」大賞/臼倉 智美さん 32歳

「ぽんかんに種ことばにはしない夢」

応募総数42,565句の中から受賞。
応募総数42,565句の中から受賞。

「ぽんかんに種があるように、自身にもそっと育てたい夢がある。そんな強くしたたかな想いをうまく表現した作品だ」と安西篤氏。

「一般の部B(40歳以上)」大賞/平野ケプラー晶子さん 58歳

「真つ直ぐで幸せさうな聖樹買ふ」

応募総数83,109句の中から受賞。
応募総数83,109句の中から受賞。

「一般の部B(40歳未満)」大賞受賞作品は、なんとドイツからの応募! ドイツはクリスマスを迎えるときに、生のモミの木を買うんだそう。「真っ直ぐで幸せそうな木」を選ぶ時、その一瞬一瞬と、巡り会えた際の幸運を華やかに表現しています。

「英語俳句の部」大賞/後藤 あんさん 16歳

「cold night flood light vending machine」

(直訳)寒い夜 街頭ひとつ 自販機ひとつ

応募総数29,991句の中から受賞。
応募総数29,991句の中から受賞。

「cold nightとflood nightで韻を踏み、敢えて『vending machine』という言葉を使うことで、無機質さをイメージさせて、冬の寒さを表現しました」とのこと。

「新俳句フォトの部」大賞/岩崎 眞宜さん

「日々は光霞の中に書き留めて」

写真家の浅井慎平氏は「俳句と写真の重なりに無理がなく、日々の複雑が見事に作品に集約され、説得力があった」と評価。

応募総数5,658句の中から受賞。
応募総数5,658句の中から受賞。

授賞式の締めくくりはいとうせいこう氏による総評。

「今回の受賞作品は、平易な言葉を使いながらも『こうは言わない』という練り込み方が素晴らしかった」と、いとう氏。「それぞれの句が集まって、ひとつの世界を表しているような感覚になり、とても豊かな気持ちになりましたし、『お〜いお茶 新俳句大賞』というひとつの流派が完成したような感覚さえした」とコメントしました。また、「今回の受賞作品以外にも、どれも見習うべき点が多く、勉強にさえなった」と評し、授賞式は幕を閉じました。

大賞受賞者の作品はもちろん、佳作入選作品までの上位7,000句が、伊藤園「お〜いお茶」のペットボトルにランダムで掲載されるとのこと。コンビニやスーパーで何気なく手を伸ばしたペットボトルの裏に、今回の大賞作品が掲載されているかもしれません。見つけると、なんだかラッキーな気持ちになるかもしれませんね。ぜひみなさんも、探してみてください。

(取材・文=マイナビ子育て編集部)

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