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2023年09月23日 07:07 更新

妊娠糖尿病、産後はどんなことに気をつければいい?|産婦人科専門医解説

妊娠中に起きやすい合併症のひとつ「妊娠糖尿病」。およそ1割の妊婦さんに見られる珍しくないものですが、産後は問題なく過ごせるのでしょうか? 今回は妊娠中の肥満なども研究されている愛媛大学医学部附属病院院長の杉山隆教授に「妊娠糖尿病の産後」について解説いただきました。

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出典: https://woman.mynavi.jp

■今回の解決ドクター:杉山 隆 先生(愛媛大学医学部附属病院院長/産婦人科医)

妊娠糖尿病に……出産後はどうなる?

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Q 妊娠糖尿病と診断されました。この状態は子供を産んでも続くのでしょうか?
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妊婦

産後は改善することが多い

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖代謝異常のことで、妊娠中の明らかな糖尿病は含まれません。

妊婦さん全体の10%と高い頻度でみられますが、産後は改善することが多いです。

妊娠糖尿病のリスクには、肥満や家族歴、加齢、運動不足、脂質代謝異常、ステロイドの使用、妊娠糖尿病の既往、妊娠中の過体重、妊婦さん本人の胎児・新生児期の低栄養状態などがあります。

妊娠糖尿病経験者、出産後のリスクは?

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Q 妊娠糖尿病が改善したら、もう糖尿病の心配はないのでしょうか?
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妊娠糖尿病経験者は、将来の糖尿病リスクが7.4倍

妊娠糖尿病を経験すると、そうでない人に比べ、将来、糖尿病になる可能性が7.4倍という報告があり、特に40歳前での発症リスクが高くなります。

その他にも、妊娠糖尿病を経験した女性の4割弱が産後2年以内に糖尿病を発症し、4割強が耐糖能異常(血糖値を正常にコントロールできない状態)になったという報告や、妊娠糖尿病を経験した女性の約4割が、産後7~8年で糖尿病になったという報告があります。

産後にフォローアップを受けることが大切

産後の受診

妊娠糖尿病を経験した女性は、将来、糖尿病になりやすいので、産後にフォローアップを受けることが大切です。産後6〜12週に「75gブドウ糖負荷試験」を受けて、血糖が正常に戻っているかを確認しましょう。

また、産後の生活の中で、糖尿病の予防に取り組むことが大切です。特に、妊娠前や産後に肥満体型の方で、かつ産後も耐糖能異常が続く場合は、生活指導を受けることが大切です。肥満の方は産後に減量することが大切ですが、糖尿病の予防目的で、母乳育児を勧められることもあります。

杉山先生からのアドバイス

妊娠糖尿病の程度は個人差があるので、本人に合わせて経過観察を行う必要があります。
出産後は赤ちゃんに重点が置かれがちですが、ママの健康維持も重要です。妊娠糖尿病を経験した方は、産後に血糖値が正常に戻っているかを知るために、検査を受けましょう(特に、次回の妊娠を希望している方)。肥満の方や、妊婦健診で糖代謝異常が指摘された方は、産後の生活指導を受けることが大切です。

(文:杉山 隆 先生、協力:株式会社メディコレ、構成:マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

参考文献
厚生労働省「妊娠前からはじめよう!健やかなからだづくりと食生活BOOK」


※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

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