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2022年07月31日 17:10 更新

授乳中は必ず赤ちゃんの目を見て語りかけないといけないの?『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』#1

3歳児神話や母性愛神話のような古い価値観に基づく情報ではなく、最新の科学的知見に基づいた育児情報を知りたい人へ。漫画コウノドリの取材協力医師であり、Twitterで最新の医療情報を発信する「ふらいと先生」こと今西洋介先生の書籍『ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)の試し読み連載をお届けします。

授乳中は必ず赤ちゃんの目を見て語りかけないといけないの?

いいえ

つねに赤ちゃんだけに集中しなくとも愛着形成はできます。大事なのはスキンシップ!

新生児は細胞が未発達なので、視力も0.03〜0.05程度しかありません。つまり見るという意識が少なく、「ある程度見えているけど、見えてない」状態です。目を見つめながらの授乳はもちろん大丈夫ですが、母乳育児の場合、姿勢がお母さんの負担になることもあるでしょう。「絶対に見つめなければいけない」ものではありません。授乳中は目を閉じている赤ちゃんもいます。

さらに、授乳しながら上の子の様子を見たり、スマホで連絡をとったり調べ物をしたり気分転換したりといったことも、あって当たり前です。授乳中、全身全霊を傾けて赤ちゃんを気にかける必要はありません。要は、程度問題です。ほかのことをしながらも、赤ちゃんの様子も観察し、ときおり目を見て話しかけるというのが望ましいと思います。

授乳が愛着形成に必要であることは知られています。抱っこもせず、ミルクや搾乳した母乳が入った哺乳びんを与えて赤ちゃんがひとりで飲んでいても、愛着は形成されにくいと考えられます。大事なのは、スキンシップです。話しかけるのもいいと思います。重要なのは、これらはお母さんでなくともできるということです。

NICU(小児集中治療室)に入院している赤ちゃんたちは、看護師が3時間ごとに授乳していますが、愛着形成に問題が生じることはとくにありません。おうちでお父さんが搾乳した母乳やミルクをあげる場合も同じです。

(答えた人 今西 洋介 新生児科医・小児科医)

(今西洋介・監修『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)

書籍『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』について

新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます
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(2022/7/8 時点)

ネットの掲示板やSNSで見かけたあの育児情報。
ママ&パパの親や近所の方など上の世代からの育児アドバイス。
育児界隈にはいつだって、「これってほんと?」と思うような情報があふれています。

その情報は正しいのか、いったい何が本当なのか……。
根拠のない育児情報にふりまわされて悩むのはもう終わりにしましょう!

Twitterフォロワー10万人強、正確な医療知識の発信に奮闘する”ふらいと先生”こと今西洋介先生待望の書籍が登場しました。
本書は、巷で言われる育児のうわさ・神話・迷信に対して、今西洋介先生をはじめとした医療、教育、社会福祉等の専門家たちが、最新の知見に基づいて科学的に答えていく本です。

・赤ちゃんは親を選んで生まれてくる
・産めば自動的に母性が湧き上がる
・帝王切開で生まれた子は体が弱い
・お父さんの出番は3歳から
・離乳食は手づくりがいちばん …

思えば、多くのうわさ・神話・迷信は、お母さんだけに育児の負担や責任を押しつけるもの。
本書の心強いのは、そのひとつひとつを「これってほんと?」と問い直し、専門家が「はい」「いいえ」と明朗回答、その理由もくわしく説明してくれることです。
苦しむお母さんを救いたい、と社会への問題提起を続ける今西洋介先生の思いが伝わります。

最新の科学的知見に基づいて育児をしたいママ&パパはもちろん、育児情報をアップデートしたい祖父母など、赤ちゃんや子どもに関わるすべての人におすすめの1冊です。

今西洋介先生(ふらいと先生)のプロフィール

新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ『コウノドリ』の取材協力医師。作中の今橋先生のモデルでもある。NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会課題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。3姉妹の父親。趣味はNBA観戦。

Twitter:@doctor_nw

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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