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2017年08月11日 08:00 更新

解熱剤を使う? 子供が風邪の時、判断の仕方【ママ女医と娘の○○な日常 vol.6】

子供が風邪で熱を出すと心配ですよね。「解熱剤をもらってきたけど……あまり薬は飲ませたくないし、でも、熱が高くて心配だし……」そんな風に悩んだことはありませんか? 今回は「解熱剤の上手な使い方」のコツについてお話します。

風邪をひくとなぜ熱が出るの?

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ウイルスなど病気の元(病原体)が体に入ってくると、ウイルスをやっつけるために、免疫細胞がさまざまな物質(サイトカイン)を出します。このサイトカインに反応して、体は発熱物質を作ります。すると熱が上がります。

解熱剤は、発熱物質を作るのを抑える働きがありますが、ウイルスをやっつけたりする作用はありません。つまり、解熱剤が効いている間は、発熱物質が少なくなるので熱が下がりますが、薬の効果が切れてくると、また発熱物質が多くなり、熱があがってしまいます。

体が病原体といっぱい戦っているうちは、どうしても熱が上がってしまうものなんですね。(もちろん、熱が下がっていても治ったという意味ではありません)

熱は下げた方がいいの?

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熱が上がるのは悪いことではなく、むしろ免疫の働きを活発にしたり、病原体が増えるのを抑えたりすると考えられています。なので、熱が高くても子供が元気で機嫌がいいようであれば、無理に熱を下げる必要はありません。

では、なぜ解熱剤が処方されるのでしょうか?

先ほども説明しましたが、風邪を治すのは、体が頑張って病原体をやっつけるしかありません。一方で、熱が出ると食欲がなくなってあまりご飯が食べられなかったり、寝苦しくて寝ることが出来なかった…という辛い経験はありませんか?

十分な休息や栄養がとれないと、体も十分に頑張ることができません。つまり、熱が高くて「食事や水分がとれない」「ゆっくり眠ることができない」……そんな時には、体をサポートするために解熱剤が処方されるんですね。

また、解熱剤には痛みを止める作用があります。例えば喉の痛みで食事がとれない、痛みがあって眠れない…。このような時も解熱剤(痛みをとる目的で使う時には、鎮痛剤と言った方が正確ですね)を使うと、楽に過ごせるように働きかけてくれます。

解熱剤を使うタイミング・判断の仕方

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まとめると、

・熱が高くて食欲が無い・眠れない
・痛みがあって食欲が無い・眠れない

こういう場合には、解熱剤を上手に使うことで、しっかり栄養をとって、十分に体を休めることができるでしょう。

風邪の病原体と戦うために、子供の体をサポートするという意図で解熱剤を使うのは、私は悪いこととは思いません。うまく活用してください。使用上の注意は、処方時に書かれています。「○℃以上の発熱」「○時間以上あけて」「一日○回まで」といった注意点はきちんと守るようにしましょう。

気をつけてほしい注意点

ここで気をつけて欲しいのは市販薬との兼ね合いです。例えば、市販の風邪薬(総合感冒薬)を飲ませていたけれど、熱が高いから解熱剤を使おうかな…と考えるケースもありますよね。

小児によく使われるのは「アセトアミノフェン」という解熱剤です。このアセトアミノフェン、市販の風邪薬にもよく含まれています。「風邪薬と解熱剤は別だから」と思って飲ませると、過量投与になってしまう可能性があります。一緒に使うのには注意が必要です。

また総合感冒薬は、その時の症状には無駄な薬も入っていることがあります。熱がないのに解熱剤が入っていたり、咳が出ていないのに咳止めが入っている、などということですね。無駄な薬は使わないにこしたことはありません。その時々にあった処方をかかりつけの病院で処方してもらうのが確実です。

いろんな症状に効く総合感冒薬ではなく、「鼻風邪に」「喉風邪に」などと、目的をしぼった市販薬を使う方が、個人的にはおすすめです。

ただ、自分で成分を調べて、解熱剤と一緒に使うのは難しいですよね。解熱剤を処方された時には、ぜひ「家で市販薬を使っているけれど、一緒に使っていいでしょうか?」と薬剤師さんに聞いてみましょう。薬名を伝えると、適切なアドバイスをもらえるかと思います(受診した場合には、市販薬をあまり使う必要はないと思いますが……)。

家でできる、子供のケア

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我が家の娘3歳、幼稚園に行き始めて思う存分風邪をもらってきました……。5月は実に10日間、風邪でお休みしました。しかも鼻風邪から中耳炎まで起こしてしまい、高熱と耳の痛みでかわいそうなことになりました。

私自身、解熱剤を使うタイミングはとても悩みます。やはり、必要のない薬は飲ませないに越したことはないです。けれど、上記の目安を参考にすると、夜中に熱で泣いてぐずぐずになっている時、「あ、今解熱剤の使いどころだな」と適切に判断してあげることができます。

そして、「これでお熱が下がって、よく眠れるよ」と説明をしてから坐薬を入れてあげると、オムツをはかせている途中から寝息が聞こえてきたりもしました。実際はまだ効き始めてもいない時間なんですけれどね。そうやって薬の効果を説明してあげると、不思議な事に薬の効果があがります。いわゆるプラセボ効果の一つですね。

言葉の「薬」も大切

親になって、自分の言葉の力に驚かされます。

子供にとっては保護者の方の優しい声かけ自体も、とても大切な「薬」なんです。せっかく薬を使うのであれば、十分に効いてほしいところ。よかったら、簡単にで構いませんから、お薬がどうして必要なのか、使ったらどんな効果があるのか、ちょっと語りかけてあげてみてくださいね。

まだまだ暑い日が続きます。夏風邪と一緒に、RSウイルスも流行の兆しをみせてきました。どうぞ手洗い予防をしっかりして、元気に夏を乗り切ってください。

(HAL)

※記事内の画像はすべてイメージです

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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