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2023年06月14日 16:24 更新

藤紫(ふじむらさき)とは?~日本の伝統色 Japanese Traditional Colors~

【藤紫(ふじむらさき)】とは、明るく青味がかった紫色のことです。日本の伝統色である【藤紫】にどのような由来があって、どのように愛されてきたのか、子どもにそのまま教えてあげられるよう、やさしい言葉で解説します。海外の方に英語で説明できるよう、英語での解説も紹介しています。

【藤紫】とは?

藤の花

藤紫とは、明るく青味がかった紫色です。

色の名前       藤  紫      
読み方 ふじむらさき fujimurasaki
英語 vivid bluish purple
WEBカラーコード #8f82bc
CMYK C=50/M=50/Y=0/K=0
RGB R=143/G=130/B=188
※色は環境等により見え方が異なります。各種カラーコードは絶対のものではなく、あくまで参考値です。

【藤紫】の意味と由来は?

【藤紫】は、藤の花を思わせるような明るく青味を感じさせる紫色の色名です。藤の花はマメ科つる性落葉樹で、春に房のような美しい花を咲かせます。そんな藤の花の色から生まれた【藤色(ふじいろ)】は古い時代からある色でしたが、この藤色を化学染料を用いてさらに明るく鮮やかにした色が【藤紫】と名付けられました。

「藤」も「紫」もとくに女性に人気のあった色でしたが、染色の名が世の中に広まったのは江戸時代後期からと言われています。

また、【藤紫】という色名が定着したのは、明治時代になってからのこと。明治文化を代表する色名のひとつで、夏目漱石(なつめそうせき)が正岡子規(まさおかしき)に送ったとされる俳句や樋口一葉(ひぐちいちよう)の作品に登場するヒロインなど、文学作品に多く【藤紫】が使われています。さらに、鏑木清方(かぶらぎきよかた)や上村松園(うえむらしょうえん)といった日本を代表する日本画家の美人画には、【藤紫】の着物を着た女性が描かれています。

【藤紫】に合う色は?


藤 紫
 ふじ むらさき 


紫式部
 むらさきしきぶ 

【藤紫】に合う色のひとつに【紫式部(むらさきしきぶ)】があります。【紫式部】は、山野に自生する紫式部という植物の実を思わせる赤味のある渋い紫色です。【藤紫】とは同系色で、華やかな組み合わせになります。

また、逆にあざやかな【藤紫】を引き立てる色として、桜の花弁を思わせる薄い紅色の【桜色(さくらいろ)】や柳の葉を思わせる明るい黄緑色の【柳色(やなぎいろ)】などと組み合わせると、落ち着いたなかにもやわらかく温かな雰囲気を作り出す配色になります。【藤紫】のあざやかさを引き立たせつつ、派手過ぎない組み合わせです。

A traditional Japanese color "藤紫 fujimurasaki" is...

A traditional Japanese color "藤紫 Fuji-murasaki -means wisteria-purple-" is the name of a bright, bluish purple color reminiscent of wisteria flowers.

"藤 Fuji - means wisteria-" is a deciduous vine in the Fabaceae family that produces beautiful clusters of flowers in spring. A traditional Japanese color "藤 Fuji" has been used since ancient times as a color for wisteria flowers, but the name "藤紫 Fuji-murasaki" was given to a brighter and more vivid version of this color using chemical dyes. Both "藤 Fuji -wisteria-" and "紫 murasaki -purple-" were especially popular among women, but it is said that the name "藤紫 Fuji-murasaki" was not widely used until the late Edo period.

Also, it was not until the Meiji period that the color name "藤紫 Fuji-murasaki" took root. It is one of the representative color names of Meiji culture, and "藤紫 Fuji-murasaki" is used in many literary works, such as the haiku that 夏目漱石(Soseki Natsume) is said to have sent to 正岡子規(Shiki Masaoka), and the heroine in the works of 樋口一葉(Ichiyo Higuchi). Furthermore, women wearing "藤紫 Fuji-murasaki" kimonos are depicted in the beauty paintings of leading Japanese painters such as 鏑木清方(Kaburagi Kiyokata) and 上村松園(Uemura Shoen).

まとめ

【藤紫】は、古くからあった「藤色」を新しい染色技術によってさらに明るく華やかな色にしたものです。紫は、古い時代から高貴な色として常に人々を魅了してきた色でしたが、【藤紫】はとくに明治時代から大正時代にかけて女性に愛されたと言われています。大正浪漫の女性たちの間では、【藤紫】は「大正藤(たいしょうふじ)」とも呼ばれていました。

(マイナビ子育て編集部)

参考文献
・『色名がわかる辞典』(講談社)
・『366日 日本の美しい色』(三才ブックス)
・『くらしを彩る 日本の伝統色事典』(マイナビ)

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