育児 育児
2021年01月13日 14:42 更新

【医師監修】赤ちゃんの動物園デビューはいつから? 免疫力UPは本当?

赤ちゃんがお出かけに慣れてきたら、そろそろ動物園にも行ってみたいと考えるファミリーも多いでしょう。そこで動物園デビューはいつからできるのか、免疫力に関する噂や赤ちゃんと動物園に行くメリット、注意点とあわせて紹介します。

赤ちゃんが動物園デビューできる時期は?

生後1ヶ月を過ぎて健診で問題がない場合、近所へのお出かけに慣れた後なら、いつ行っても基本的にOKです。とはいえ、赤ちゃんも一緒に楽しむことを考えれば、いろんなことに興味が出てくる生後半年くらいからがよさそうです。早くても首がすわってからの方が楽しみやすいでしょう。ただ動物園は屋外にいる時間が長いので、後述の「赤ちゃんと動物園を楽しむために」を参考に準備をしてください。

赤ちゃんと動物園に行くメリット

ベビーカーに乗っている赤ちゃん
Lazy dummy

動物園はレジャーのためのお出かけ先ですが、赤ちゃんと行くメリットもあります。せっかくのお出かけの機会なので、その点も意識しながら楽しんでみてはいかがでしょうか。

五感に刺激を与えられる

動物園では動物を見ることはもちろん、鳴き声や臭いも感じることができる場所です。園内には植物も多く自然豊かなため、四季に触れることもできます。五感に刺激を与えられる環境が整っているといえるでしょう。

言葉を促す働きかけができる

赤ちゃんが興味を持っているものについて、大人が話してあげることが言葉の発達を促すことにつながります。動物園に行ったら赤ちゃんが何に興味を持って見ているか探して、それについて話してみましょう。「ゾウさんだよ、大きいね。歩いてくるね。」「おサルさんだね、たくさんいるね。遊んでいるね。」など短く正確な言葉がいいでしょう。赤ちゃんが真剣に見ているものが飼育員さんやほかのお客さん、看板など動物でないこともあります。そんなときも、赤ちゃんに寄り添って話してあげましょう。一緒に動物を見ながら、実況中継のように話しかけるのもいいですね。[*1]

家族のリフレッシュになる

大人にとっても非日常の場所で、動物を見て楽しむことができます。家族の思い出作りにもなりますね。もちろん動物園はいつでも行くことができますが、歩き出す年齢になると、その後を追いかけたりと慌ただしくなることも。赤ちゃんの時にゆっくりまわっておくと、また一味違った思い出となるでしょう。

赤ちゃんのときに動物園に行くと免疫力があがる?

動物園でママと一緒に動物をみている赤ちゃん
Lazy dummy

巷では「赤ちゃんを動物園に連れて行くと免疫力があがるらしい」という噂もあるようです。

その元となっているのは、農場などで動物と触れ合って育った子供たちの喘息やアレルギー発症率が低かったという研究報告と考えられます。また、乳幼児期の感染や非衛生的な環境がその後のアレルギーの発症を低下させるという「衛生仮説」[*2]も相まって、動物がいる環境でさまざまな菌に触れることで免疫力があがると思われているようです。

動物園に行くことはアレルギー発症に関係する?

赤ちゃんのうちに動物園に行くことでアレルギーの発症を抑えることはできるのでしょうか。

海外の研究で、農場で育った子供は都会の子供と比べて小児喘息、花粉症、アレルギーになる確率が低いこと[*3]、都会の子供でもよく農場に遊びに行く子はアレルギーの発症率が下がること[*4]、1歳までに犬や農場の動物と触れ合った子供は喘息の発症率が低いこと[*5]が報告されていますが、動物と早くから触れ合うこととアレルギー発症との関連は明確ではなく、これらとは逆の結果となった報告もあります。また、いずれも動物との接触があることや、動物の糞に多く含まれる物質と接触することが要因とされており、動物園の環境とは必ずしも一致しません。

赤ちゃんの時に数回動物園に行ったからといって「アレルギーを起こしにくくなる」とは言い切れないのです。「アレルギー対策に赤ちゃんのうちに行かなくては!」と焦る必要はないでしょう。

また、すでにアレルギーがある場合に、軽減する効果もないと考えられます。場合によっては却って悪化させてしまうことも。アレルギーがあって心配な場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。

「免疫力UP=アレルギー予防」ではない

そもそも免疫とは、細菌やウイルス、寄生虫など体に侵入して悪さをするものから身を守るための仕組みのことです。本来であれば体に侵入した異物に対して免疫細胞が反応し、異物を壊して体外へ排出する働きをします。

ところが、この免疫システムにエラーが起こることで、害のないものに対して作られないはずの抗体が作られ、過剰に反応してしまうことがあります。そのために炎症を起こし、くしゃみや発疹といった症状や時に呼吸困難まで起こしてしまうのがアレルギーです。[*6]。

つまり、アレルギーとは免疫が過剰反応・過剰攻撃をしてしまうことなので、「アレルギー予防」と「免疫力をあげる」ことはイコールではないのです。

赤ちゃんと動物園を楽しむために

動物園で飼育されているサルの親子
Lazy dummy

赤ちゃんと動物園に行く際に気をつけたいポイントをみていきましょう。

授乳場所、おむつ交換場所などの下調べを

各動物園のホームページで休園日や入園料金、駐車料金などを確認すると同時に、マップもみておきましょう。園内が広い場合、移動が大変になるので休憩場所やおむつ替えスペース、授乳室(使う場合はコインロッカー、ベビーカーが借りられる場所)は事前にチェックを。滞在時間も考えて、計画的にまわるようにしましょう。

滞在時間は短めに

赤ちゃんに負担をかけないように、滞在時間は短めにしましょう。お出かけに慣れたばかりの低月齢の頃なら30分~1時間程度、十分に慣れた頃でも移動時間なども考えて1~2時間程度に留めるのがいいでしょう。

赤ちゃん用品は忘れないよう準備

外出するときの赤ちゃん用品のイメージ画像
Lazy dummy

<出先で調達しにくいものは持参>
ミルク、離乳食、おやつ、飲み物、おむつ、お尻拭き、おむつ用ごみ袋、着替え、靴といった赤ちゃん用品は、現地で手に入れるのは難しいので忘れずに持っていきましょう。授乳室は数が限られていて混み合うことがあるので、授乳ケープがあると便利です。ミルクの場合は、お湯がもらえる場所が限られているので、事前に確認するかミルク用のお湯を持参するといいでしょう。

<紫外線、虫刺され、暑さ・寒さへの対策>
夏はつばの広い帽子を被る、ベビーカーの日よけを利用する、肌を日光にさらさない服を着るなどして、日差し対策を。また、虫除けグッズを持参して虫刺され対策も忘れないようにしましょう。冬は帽子や靴下、手袋、お出かけ用の毛布も持参して防寒対策を万全にしましょう。

<万が一の受診のために>
また、もしもの場合に備えて医療機関で受診する際に必要な書類(母子健康手帳、健康保険証、乳児医療証、あればお薬手帳)があると安心です。

<移動中のぐずり対策も>
お気に入りのおもちゃや絵本もあると、移動中のぐずり対策になります。

季節よりも天候を優先して

気候がよく過ごしやすいのは春と秋ですが、その分、平日でも遠足などで混雑していることも。それ以外の季節を狙うのであれば時間帯を工夫し、夏なら涼しい午前中、冬は日中の暖かい時間に行くように計画しましょう。また、その日の天候・気温に注意が必要です。夏でも日差しが強くない日、冬でも天気がよく比較的暖かい日を選んでくださいね。

赤ちゃんの体調に注意

赤ちゃんの体調を優先して、少しでも体調が優れないようであれば無理をせず別の日にしましょう。暑い日は日陰を選びながら移動するようにし、こまめに水分補給を。帰ってきた後もしばらく体調の変化に注意してあげましょう。

ふれあいは保護者の判断で

手洗いをする子供
Lazy dummy

動物園には、動物に直接触れるふれあい広場がある場合も。せっかくなのでさまざまな体験をしてほしい気持ちもありますね。過剰に心配する必要はないのですが、やはり動物から移る感染症もあります。キスのような濃厚接触や、糞便に触ることから感染します。免疫力の面から、5歳以下の子どもは注意が必要で、場合によってはふれあわない方がいいともいわれています[*7]。赤ちゃんの健康状態から慎重に判断しましょう。

ふれあいをする場合は、必ず付き添って、動物を触った手をそのまま口に入れない、動物の糞に触らないように注意してください。ふれあいの後は石鹸も使ってしっかり手洗いを。また、赤ちゃんのおもちゃなどを動物がなめることもないように、動物と触れるエリアに荷物を持ちこまないようにしましょう。施設の注意事項を確認し、ルールを守って楽しんでください。

まとめ

動物園にいっているママと子供
Lazy dummy

動物園は親子で楽しめる人気のお出かけスポット。免疫力が高まるという噂もありますが、あまり信憑性はないようなので、一緒に楽しむ目的で行くのが一番。お散歩感覚でのんびり過ごせるので、いろんなものに関心を示し始めた頃なら、赤ちゃんとのお出かけにも適しているでしょう。自然に触れ、好奇心と探求心も刺激できる場所なので、小さいころからたくさん連れて行ってくださいね。

(文:佐藤華奈子/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

PICK UP -PR-

関連記事 RELATED ARTICLE

新着記事 LATEST ARTICLE

PICK UP -PR-