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2021年01月09日 15:32 更新

【医師取材】水疱瘡(みずぼうそう)の予防接種。受ける時期・回数・副反応は?

水疱瘡(みずぼうそう)=水痘(すいとう)の予防接種は、2014年の10月から、定期接種になりました。ここでは、定期接種で受けられる対象年齢や、予防接種の効果や副反応、大人になってからでも予防接種を受けたほうがいいのか、紹介していきます。

水疱瘡の予防接種は必要!?

みずぼうそうの予防接種をしてご機嫌のママと赤ちゃん
Lazy dummy

※画像はイメージです

水疱瘡は重症化してしまうケースも

水痘(いわゆる水疱瘡)は、水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって起こる病気です。発症すると、発熱とともに、赤い小さな発疹が全身に広がっていきます。発疹は、やがてかゆみを伴う水ぶくれに変化し、かさぶたとなります。すべての発疹がかさぶたになって回復するまでは、7~10日間ほどかかります。

水痘は、9歳以下の子供の発症が90%以上と言われています。多くは順調に治りますが、稀に重症化して、熱性けいれん、皮膚の細菌感染症、肺炎・気管支炎や脳炎などの合併症が起こることがあるので注意が必要です。また、白血病、悪性腫瘍や自己免疫疾患の治療で免疫抑制薬を使っている子供が水痘にかかると、多臓器不全などに至ることもあります。

任意接種から定期接種に

水痘には、予防接種(ワクチン)があります。この予防接種は、かつては希望する人だけが自己負担で受ける「任意接種」でしたが、2014年の10月から「定期接種」になりました。定期接種とは、国や自治体が、ぜひ受けるように強く勧めている予防接種のことです。対象となる期間内であれば、無料で受けられます。詳しくは、お住いの地域の役所のホームページを見たり、市区町村から配布される書類を確認したりしましょう。

水痘ワクチンの定期接種の対象になるは、1~2歳(1歳の誕生日の前日から3歳の誕生日の前日まで)の子供です。

予防接種の効果とは

ワクチンを1回接種した後、数年以内に軽症の水痘を発症するケースが10~20%くらいあると言われています。しかし重症化するリスクは、かなり低くなります。また、ワクチンを2回接種した場合は、その発症をほぼ予防できると考えられています。

水疱瘡の予防接種を受ける時期や回数について

2回接種が標準

水疱瘡の予防接種は、2回接種が標準的な受け方です。また、2回目の接種は、初回接種から3ヶ月以上間隔を開ける必要があります。ただし、標準的には半年~1年間隔を開けます。

【標準的な接種スケジュール】
生後12~15ヶ月までに1回目を受け、その後半年~1年経過してから2回目を接種します。公費の接種は3歳未満(36ヶ月未満)が対象です

予防接種後の副反応は!?

ワクチンの中身とは

水疱瘡のワクチンは、水痘帯状疱疹ウイルスの毒性を弱めた生ワクチンで、これを接種することで、水疱瘡に自然にかかったときと同じように、ウイルスに対する免疫が獲得されます。

軽度の副反応

水疱瘡のワクチンは、副反応がほとんどないワクチンですが、ワクチンを注射した場所に、赤みや腫れ、硬いしこりなどが現れることがあります。また、発熱や発疹などが現れたりすることがあります。ただし、これらの症状は一過性で、数日中に治まることがほとんどです。

重度の副反応

稀に報告される重い副反応には、「アナフィラキシー様症状」や「急性血小板減少性紫斑病」などがあります。アナフィラキシー様症状とは、全身の発疹や呼吸困難などの重いアレルギー反応のことです。また、急性血小板減少性紫斑病は、血液に含まれる血小板という血球が減少し、あざなどの皮膚などに出血斑ができたり鼻出血が止まらなかったりするなどの症状が現れる病気です。

赤ちゃん、子供だけじゃない! 大人も予防接種を受けたほうが良い理由

大人のほうが重症化する率が高い?

水痘というと、赤ちゃんや子供の病気だと考えてしまいがちです。しかし、水痘にかかったことがなく、予防接種を受けていない場合は、免疫がないので、大人でも発症することがあります。しかも大人の場合は、水痘の症状そのものが重症化しやすいだけでなく、合併症として、「肺炎(水痘肺炎)」を発症しやすい傾向があります。水痘肺炎は、高熱や呼吸困難などの症状が現れ、命にかかわることもある病気です。

妊婦さんは注意

妊婦さんが妊娠後期に水痘にかかると、赤ちゃんが「新生児水痘」になる場合があります(生後10日以降に発病)。また、生後10日以内に発病した際は「先天性水痘」と言われ、死亡する確率も20%程度あると考えられています。

過去に予防接種・感染したことがなければ接種を

過去に水痘になったことがなく、予防接種を受けていないのであれば、大人でも、水痘ワクチンを接種しておいたほうが良いでしょう。ただし、妊娠中は予防接種を受けることができないので、妊娠を希望している女性は、妊娠前にあらかじめ予防接種を済ませる必要があります。

免疫があるかどうかを調べることはできないの?

水痘にかかったことがあるかどうか、予防接種を受けたことがあるかどうかがわからないという場合は、抗体検査を受ければ、免疫の有無を確認できます。ただし、検査の費用や検査方法は自費診療になりますので医療機関によって異なります。事前に確認しておくと良いでしょう。大体4,000~6,000円ほどで、検査結果が出るまでに2〜3日程度はかかります(医療機関や検査方法によっても異なります)。

まとめ

水痘のウイルスは、感染力が非常に強く、空気感染するため、家の中で誰か1人が発症すれば、免疫のない他の家族も、かなり高い確率で感染してしまいます。子供でも、重症化する可能性がないとは言い切れないので、しっかりと予防接種を受けさせましょう。また、過去に水痘になったことがなく、予防接種を受けていないのであれば、大人でも予防接種を受けておきましょう。

※この記事は 医療校閲・医師の再監修を経た上で、マイナビ子育て編集部が加筆・修正し掲載しました(2018.07.30)

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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