枠にとらわれない「ボーダーレスキャリ」。アドビ ソーシャルデザイナー武井史織さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:瑞姫
撮影:稲垣佑季
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部
コロナ禍で仕事のあり方は大きく変わり、何の仕事をするか、誰と仕事をするか以外に“どこで働くか”という選択肢が生まれ、都心から離れた場所でリモートワークをする人も多くなってきました。アドビ ソーシャルデザイナー& Adobe Creative Cloud コミュニティーマネジャーとして働く武井史織さんもその一人です。
武井さんは現在、山口県の瀬戸内海沿いにある自然豊かな場所で、一児の母として生活しながら、東京を行き来する二拠点生活を送っています。
なぜ二拠点生活という生活に行き着いたのか、山口県という場所を選んだ理由は?
話を進めていくと、真逆の環境を行き来することで対峙した苦労や発見は、常にさまざまな場所からアイデアを得て活かしていく武井さんの追い風になるような、刺激的な出会いであることが分かりました。
フリーランスでの活動から会社員へ転身
デトロイトでのメーカー勤務に始まり、その後はニューヨークや日本などに拠点を移しながらフリーで活動してきたんですが、日本に戻ってきたタイミングで、クリエイターコミュニティのイベント開催に運営側として関わる機会があったんです。
その関わりの中で自分自身の活動もかなり加速していって……。その活動を見ていた、Adobe Creative Cloud のコミュニティのグローバルチームの方に声をかけられて、入ったという流れです。
クリエイティビティというものを、もっと社会の良い方に活かせないかと考えて活動していた時に、ふと「これ、フリーでやるには地道にやると8年くらいはかかるな」と思ったんです。
アドビは“世界を変えるデジタル体験を”というミッションを掲げているので、きちんと連携したら今よりも自分が考えていた活動を加速できるんじゃないかと思ったことが理由ですね。
いろいろ悩みましたね。フリーの間は自由に過ごしてきたので、組織のルールの中で働くことが自分の性格に合うのかなとは思いました。けれど、ありがたいことに多種多様な文化のチームであったが故に、ルールといいますか、ベースになる部分は“お互いをリスペクトする”というところくらいだったんです。
あとは、最初に上司から「自分の会社、自分が経営者だと思って決断して」と言われて、その時に「あ、私ここだったらハマるかもしれない」と思ったんです。最終的に決断した決め手はその一言でした。
東京と山口での二拠点生活を決めたきっかけ
そうなんです。ただ、自分たちが生きる時代に新型コロナウイルスの流行で世界が大きく変わって、人との距離を保たなければいけない状況になったじゃないですか。そうなると、状況に応じて軌道修正をかけないといけない。
日本と海外との移動は物理的に難しくなったので、“日本で”と考えた時に、人との距離を気にせず、大自然の中で子育てができる、都会の良いところも、大自然の良いところも得ながら生活できたらすごく良いなと思って、“これは試してみる価値がある”と思ったんです。自分の生活を通しての実験ですよね。
自然の中での生活を通して発見したこと
もともとやりたいと思っている仕事が生活に密着しているので、“全く考えない”というのは難しいんですよ。海や山など、いろんなところへ行った時に出てくるアイデアを活用しながら生活しています。
自分の中にストレスが溜まったときは、瀬戸内が一望できるビューポイントがある山の方へザクザクと歩いていって、そこを眺める。すると、「あ、あの問題はこう解決すれば良いんだ」と、不思議と解決法が見えてくるんです。
そうですね。すごく合っていると思います。生物として弱っていたんだなっていうのは感じました。虫が出て「きゃー!」とか言ってられないので……たくましくなりましたね(笑)。
あと、私はプライベートで絵本も描いているんですが、今まで持っていなかった余白がどんどん出てくるので、今の環境は本当にインスピレーションの宝庫です。
※この記事は2023年01月31日に公開されたものです