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2023年12月05日 08:15 更新

“抑えきれない欲望”が溢れ出し、舞台へ「私の後ろにはこの子がいる!」|竹田こもちこんぶさんインタビュー<前編>

今年9月に生まれた赤ちゃんを含め、5人の男の子を育てながらフリーで活動しているお笑い芸人竹田こもちこんぶさん。子育ての不自由さを逆手にとったあるあるネタをSNSで配信していらっしゃいます。今回は『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』を出版されたこもちこんぶさんに「お笑いのこと」「パパのこと」についてお話を伺いました。

息子と一緒に出たR-1グランプリ「私の後ろには、この子がいるんだぞ!」

▲生まれたばかりの五男と竹田こもちこんぶさん(写真:竹田さん提供)

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――9月2日に第5子となる五男が誕生されたとのこと。ご出産、おめでとうございます!
2014年に35歳で長男を出産されたあと、2017年には次男、2019年に三男、2021年に四男、そして今年と、元気な男の子の子育てに奮闘されていますが、お母さんになる前と子どもが生まれた後、お笑いに関して変化はありましたか?

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働いている女性だと、産休・育休を取る人が多いかと思いますが、私の場合は生活費をアルバイトで稼ぎながら舞台に立っていたので、結婚して出産となったときは、舞台を諦めてお母さんなるっていう道を選ばざるを得ない状況でした。そうじゃないと、生活が成り立たないってわけで。

舞台は、またいつか時間ができたとき、趣味としてやろうと。形としては、一旦諦めるっていう形でお母さんになりました。

「諦められない」という未練で立ったR-1の舞台

そんな中、「諦められない」というただの未練だけでR-1グランプリ(以下、R-1)に出ました。「どうしても抑えきれない欲望」みたいなものが漏れちゃったんです。

「1年に1回、ほんの1日だけだったら許されるだろう、自分でもできるだろう」ということで、子育てしながらでもできるというもの、それがR-1だったんですね。

でも、実際やるとなると子どもがいなかった以前とは環境が違うので、同じようにネタを作ってライブでネタを試して大会に臨む……っていうプロセスは踏めない。そのとき思いついたのが、いっそのこと子育て中の自分の“負の立場”を逆手にとって、武器にするというものでした。

▲息子を抱っこして出たR-1予選会場のトイレにて(写真:竹田さん提供)

息子を抱っこして子育てネタ、それは私にしかできないこと

本当は、R-1の予選に出るときも、当日息子を誰かに預けて一人で出ることはできたんです。でも、当日預けられたとしても普段は四六時中息子といるので、ネタを作る暇もなければ練習する暇もない。結果、中途半端なネタになり勝算はない。ならばいっそ、私にしかできないことをしようと、息子を抱っこして子育てネタをやったんです。もう、やけくそですね 笑。

これって、選挙活動で子ども抱っこして街頭演説するようなものですよね。「私の後ろには、この子がいるんだぞ!」ということを知ってもらわないと、っていう気持ち。そうして、そのR-1の後から継続してお笑いのネタを作り始めました。

最初こそ、昔話のコントなど子育てとは関係ないネタをやっていたんですが、早々にネタ切れになって。日々子育てしかしてないから、それ以外の発想がおりてこないんです。その結果、子育てネタがメインになりました。

子育ての経験が、挫折した私を復活させた

▲五男のうつぶせ練習を応援する兄弟(写真:竹田さん提供)

そして、いいネタができたのでR-1だけにとどめるのが惜しくなり、Instagramに投稿し始め、その後友だちからTikTokを勧められて……と、SNSでネタをどんどん発信するようになっていきました。子育てネタは私の心の叫びでもあるので、魂がこもっちゃってるせいか子育て中の人たちに通じるものがあったのかもしれません。そして、ついにはKADOKAWAさんで本を書かせていただくまでに(『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』詳細は後述)。

子どもがいなかったら、私はおそらく皆さんの目に触れることもなかったでしょう。それを思うと、子育ては私の人生に大きな影響を与えました。子育ての経験が、表現者として挫折した私を、もう一度復活させたんです。

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『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』を試し読み!
R-1グランプリ出場の舞台裏エピソード『竹田こもちこんぶ誕生』は>>こちら<<から

少し遅れて意識が追いついた!? 夫からの「タバコ吸いません」LINE

▲パパと子どもたち(写真:竹田さん提供)

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――出産し、子育てすることで大きく変化した竹田さんですが、ご夫婦で子育てについての意識の違いはありますか?
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初めこそ、九分九厘私が家事・育児をしていました。というのも、私が専業主婦だったので、「家のことは自分がやるものだ」という思い込みがありました。

当たり前のように私が家事・育児をして、夫はたまにちょっとあやす程度だったのが、子どもが1人増え、2人、3人……とどんどん増えていくと、もう物理的に人手が足りなくなってきます。そうするとパパが介入せざるを得ない状況がたくさん出てきて。うちの場合「やらざるを得なくなった」というのが正直なところです。

夫を見ていて思うのは、子育てしっかりやって「お父さん」になっていくってこと。お母さんだってはじめから「お母さん」なわけじゃなくて、日々育児をする中でどんどん「お母さん」になっていきます。だから、お父さんも本当の「お父さん」になるには、子どもと一緒に遊ぶだけじゃない、育児の積み重ねが必要ですよね。

「お母さんからの又聞き」じゃない、直接見て聞く大事さ

▲五男をお風呂に入れるパパ(写真:竹田さん提供)

つい最近の話ですが、「今日から家ではタバコを吸いません」っていう決意ラインが夫から来たんです。

というのも、咳をしていた三男を、妊婦健診の予定があった私の代わりに夫が病院に連れて行ったら、喘息の疑いがあると。それで、お医者さんに「家族でタバコを吸われている方はいますか」と聞かれたようです。それまでの夫は自室でタバコを吸っていたので、少なくとも家では禁煙! という宣言でした。

これっておそらく、私が辞めろと言ってもあまり効果がなかったと思います。子どもが苦しんでるのを目の当たりにして、自分で病院に連れて行って、お医者さんから直接話を聞いたからこそで。お母さんからの又聞きではなく、通院や乳幼児健診はもちろん、保育参観などに自分で行って、子どもがどういう状態なのか、直接見たり聞いたりすることで、お父さんも「お父さん」なっていくんでしょうね。

そもそも、母親は妊娠で酒もタバコもやめる時期があるので、早い段階で「子どものために何かを我慢していく」っていう過程を踏んでますけど、男の人はそういう体の変化はないですからね。というわけで、私よりだいぶ遅れましたが 笑、子どものための我慢ができる「お父さん」に成長しました。

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『皆様、本日も家事育児お疲れ様です。』を試し読み!
感無量…パパの成長エピソード『パパ帰った?』は>>こちら<<から

(文・構成:マイナビ子育て編集部)

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