【助産師監修】乳首が痛い!授乳が苦痛...痛みの原因とセルフケアを教えて!

【助産師監修】乳首が痛い!授乳が苦痛...痛みの原因とセルフケアを教えて!

授乳はママと赤ちゃんの絆を深めてくれますが、乳首(ちくび)が痛い!と母乳をあげられない――。そんな悩みを抱えているママもいるのでは? ひどい痛みは授乳をやめる原因になるだけに、早めの対策が必要。有効なセルフケアをご紹介しましょう。


乳首が痛い......原因は?

乳首が痛くても授乳させる女性
Lazy dummy

ママが赤ちゃんに母乳を飲ませる授乳という行為は、母と子の絆を深めるなど、とても大切な役割を持ちます。一方で、とくに一人目の出産では初めての授乳がうまくいかず、乳首がヒリヒリ、チクチクするといったトラブルが起こりやすいものです。

産後1週間に軽い乳頭痛を感じることは一般的なことで、授乳を続けていくことでママも赤ちゃんも慣れてきて、痛みは落ち着いていきます。ですが、なかには授乳の仕方が痛みの原因になっていることもあるようです。

そんな乳頭痛でも、ちょっとした工夫で痛みが和らいだり、痛くなるのを予防できたりするので、気になる方はチェックしてみましょう。

赤ちゃんがしっかり乳首に吸い付いていない

乳首の痛みで考えられる原因の一つに、授乳の「ポジショニング」と「ラッチオン」がうまくいっていないということが挙げられます。

ラッチオンとは、「乳房の含ませ方」を言います。赤ちゃんが大きく口を開けたタイミングに合わせて、ママが赤ちゃんの口に乳首をふくませてあげること。これによりスムーズに授乳を始めることができますが、ラッチオンのタイミングがずれて赤ちゃんが正しく乳房に吸い付けないと、乳首に余計な負担がかかって痛みが出ることがあります。とくに出産後すぐの授乳では、授乳に慣れておらず、不適切な抱き方・含ませ方によって、乳首のトラブルは起こりやすいともいわれています。

抱き方・含ませ方を見直し、赤ちゃんが深く乳輪まで吸着できるようになれば、痛みは徐々に解消されてきます。

乳首が痛くなる5つの要因

授乳のポジショニングやラッチオン以外の原因でも、乳首が痛くなることもあります。主な原因は以下の5つ。対策とともに紹介しましょう。

①哺乳瓶の乳首に慣れてしまった

哺乳瓶やおしゃぶりの乳首のサイズは、ママのものより小さいことが多いもの。そのため、赤ちゃんが哺乳瓶の乳首にくわえ慣れてしまうと、口の開きが小さくすぼめがちになり、ママの乳首を浅めにくわえるようになってしまいます。

②赤ちゃんが母乳を飲んでいるときに赤ちゃんを乳房から離している

赤ちゃんが乳首に吸い付いているときにママが無理にはずしてしまうと、乳首が引っ張られて傷が付き、痛みが出ることがあります。

この場合、赤ちゃんが自ら乳首の吸い付きをやめるのを待つか、あるいは授乳を終わらせたいときは、赤ちゃんの口のわきから差し込んだ指をくわえさせます。そうすることでスムーズに乳首をはずすことができます。

③搾乳の仕方が違っている、乳首を強くはさみすぎている

搾乳をするときは、乳首ではなく乳輪の周囲をつまんで押すのが正解。

もし、搾乳時に母乳が出にくいからと乳首を強くはさんでいるようなら、やり方が間違っているかもしれません。もう一度、適切な方法を助産師などに聞いてみるといいでしょう。

また、搾乳機を使っている場合は、サイズがあっていなかったり、圧が強すぎたりすると乳首が痛くなることがあるので、確認してみましょう。

④ブラジャーでこすれる

授乳中は、乳房のサイズがいつもより大きくなります。その上、母乳で乳房が張っているときの乳首はとてもデリケートなため、小さめのサイズのブラジャーを着けていると、こすれて痛みが出ることも。この時期は少し大きめのサイズを選ぶようにしましょう。

大きめの授乳ブラジャーなどでも痛みがとれないという場合は、素材をチェックしてみましょう。化繊は肌を刺激することがあるので、綿製に替えたほうがよいかもしれません。

⑤母乳パッドが湿っている

当然、母乳パッドが湿っていると乳首がこすれて痛みの原因に。こまめに替えるようにしたいものです。

乳首が痛くなる病気もある?

カンジダ症や感染症、白斑・レイノー現象といったことが原因で、乳首が痛くなることもあります。

乳頭痛が生じる代表的な病気

・カンジダ症

カンジダは常在菌の一つですが、真菌に分類され、最近とは異なる微生物です。乳腺炎にかかったときに抗菌薬を使うと、その後に発症することがあります。症状は、かゆみを伴うヒリヒリ感。刺すような、焼けるような痛みとも表現されます。乳首の赤みや皮膚の落屑(ポロポロとはがれ落ちる)、亀裂などの症状が出ることもあります。

感染が分かったら、ママと赤ちゃんの両方に抗真菌剤などを使った薬物治療が行われます。

・感染症

最も多いのは、黄色ブドウ球菌による感染です。乳頭の損傷から感染を起こすと、乳腺炎になることもあります。痛みのほか、腫れや熱感、赤み、発熱などの症状が現れます。

抗菌薬の内服で治療をしていきます。

・白斑

乳頭の先端に直径1mmくらいの大きさで白い斑点ができることがあります。授乳時にとても強い痛みを伴うことがあります。

・レイノー現象

授乳後に乳頭が真っ白に虚血した状態になり、乳頭や乳房に刺すような拍動痛を感じます。このとき、乳頭や乳房を温めることで症状は改善します。

このほかにも、アレルギー性の皮膚炎や湿疹などでも痛みが起こることがあります。いつまでたっても痛みが軽くならないときは、発疹やかゆみなど痛み以外にも症状があるときは、早めに、医師や助産師に相談しましょう。

乳首の形も関係するの?

乳首の形も痛みに影響することがあります。

例えば、乳首が平らだったり、へこんだりしている扁平乳頭や陥没乳頭では、適切な吸着ができていても、乳頭痛が起きることがあります。陥没している乳首の部分が授乳によって初めて突出すると、乳頭部位が弱くダメージを受けやすく、痛みを感じやすいです。

また、乳輪の部分が硬いと、赤ちゃんは深く乳首に吸い付くことができず、先端だけを吸いがちに。それで乳首に負担がかかり、痛みが出やすくなるようです。

乳首が痛くなったら確認したいポイント

ここまで乳首が痛くなる原因について触れてきましたが、痛みの原因が何かをしらないと、適切な対策をとることはできません。

そこで、乳頭痛があるときに確認したいポイントを挙げてみました。

正しい授乳のポジショニングを再確認

赤ちゃんが乳首をしっかりくわえて、母乳を飲んでくれるためには、正しい授乳のポジショニングが大事になります。

最もベーシックな姿勢「横抱き(クレードル)」は、ママが上体を起こして座り、飲ませる乳房と同じ側の二の腕に赤ちゃんの頭を乗せて、腕と手で背中とお尻を支えるという授乳姿勢です。
赤ちゃんの首の後ろがママの肘の内側に乗るようにすると母乳を飲ませやすいので、赤ちゃんのお腹とママのお腹ができるだけ近くなるよう、ぐいっと寄せるようにします。

このほかにも、ポジショニングはいくつかあります。ママと赤ちゃんにとって最も適したポジショニングを見出せるといいですね。ポジショニングの方法については、以下をご覧ください。

【助産師解説】写真で学ぶ授乳姿勢!パターン別授乳姿勢と4つのポイント

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/3509

授乳姿勢が正しくないと赤ちゃんがうまく飲めないだけでなく、乳腺炎などのリスクも高くなります。主な6つのポジショニングとNGパターン、正しい姿勢をとれているかを確認できる4つのチェックポイントをお伝えします。

「噛まれてイタイ!」もポジショニングを見直す

赤ちゃんが成長して歯が生えてくると、授乳中に乳首を噛まれることもあります。

赤ちゃんがしっかりと母乳を飲めているときは、乳首は赤ちゃんの口の奥深くにあるので、本来なら噛まれることはありません。ですので、乳首を噛まれて痛いという場合は、ポジショニングが適切でない可能性があるので、そこを確認することが大事になります。

また、乳首を噛まれると、ママはビックリして赤ちゃんを乳房から無理に引き離そうとします。ですが、そうすることでかえって強く噛まれてしまうということもあります。

噛まれた乳首を外したいと思ったら、引き離すのではなく、むしろ逆に赤ちゃんの頭をママの体のほうに引き寄せてあげてみて。たいていは噛むのをやめてくれます。

赤ちゃんの「おっぱい欲しいサイン」に気づく

母乳で乳房が張っていると乳首が痛くなりやすく、そういうときは、どうしてもママの都合で授乳をしてしまいがち。ですが、そういうときの赤ちゃんは、母乳をしっかり飲んでくれないものです。

逆に、赤ちゃんの「おっぱいが欲しいサイン」に合わせて授乳すれば、赤ちゃんはしっかり母乳を飲んでくれます。痛みを予防するという意味でも、このサインに気づいて、このタイミングで授乳することが大事です。

痛みがあるときの乳首ケア

乳頭痛が治まらないと、少しだけ授乳をやめて、乳首を休ませたい! そう思うママもいるかもしれません。しかし、授乳をいったんお休みすると、赤ちゃんが授乳を途中でやめてしまう率が高くなるという報告もあり、なるべくなら授乳を続けたいところ。

痛みがガマンできないときは、次の方法を試してみましょう。

傷があったらラノリンや搾乳を塗る

乳首に傷ができたときは、保湿成分であるラノリンを塗ってみましょう。ラノリンはドラッグストアなどで市販されていますし、インターネットでも購入可能です。ただし、ウールにアレルギーがあるママは原則、使えないので要注意です。

このほか、乳頭痛が強い場合は、乳腺外科や産婦人科で診察を受け、授乳中も使える軟膏を処方してもらって、それを塗ってもよいでしょう。

搾乳した母乳を乳首に塗るのも有効です。他のクリームや軟膏に比べ、アレルギーのリスクが少なく、様々な抗体や皮膚の細胞の成長や損傷修復をする細胞が含まれており、最も安全性が高いです。

ハイドロジェルドレッシング

傷を修復する湿潤療法で使用される医療用創傷被覆材であるハイドロジェルドレッシングが乳頭の損傷に使用され始めています。軟膏やクリームを塗らなくても湿潤状態を維持でき、乳頭の形に順応性があります。取り外しや装着も簡単で使いやすいですが、コストが高め。使用する場合は、感染予防のため、ドレッシング材を清潔に扱ってください。

ブレストシェルを使う

乳頭に傷があると、ブラジャーやパッドに当たって痛みを感じることもあります。そんな時は、乳頭よりも大きく穴のあいているブレストシェルなどを使い、傷が直接触れないようにすると良いでしょう。

白い斑点やむくみを伴うときのケアは?

乳首に白い斑点ができたり、乳房全体が腫れてむくんだり……。乳首の痛みに加え、ほかに症状があるときは、どんな病気や原因が考えられるのでしょうか、見ていきましょう。

白い斑点(白斑)+痛みの場合

乳首の先端部分に1ミリぐらいの白い(黄色い)斑点ができて、その周辺に痛みが出ることがあります。白い斑点は水疱や上皮の増殖、脂肪などで、母乳の出入り口(乳管口)をおおっている状態です。

このような場合、以下のケアを試してみましょう。

① 温湿布で温めたり、温浴をしたりして斑点をふやかして柔らかくする。
② 白斑部位から母乳をしごくように押し出してみる。
③ オリーブオイルを浸したコットンで皮膚を柔らかくしてから、厚くなった皮膚をはがす。




しこりや熱感+痛みの場合

母乳の通り道である乳管に、母乳やカルシウム、脂肪のような物質などがつまることがあります。これを「乳管閉塞」といい、痛みのほかにしこりや熱感などを伴うこともあります。この場合も、抱き方・含ませ方の見直しが有効です。

むくみ+痛みの場合

母乳の分泌が増えたり、授乳の回数が減ったりすると、乳房に母乳が溜まるようになり、むくんできます。乳首の痛みを伴うこともあります。

そのまま放置すると、赤ちゃんが母乳を飲みとりづらく、母乳が滞って、「うっ滞性乳腺炎」になるおそれがあるので、悪化する前に対策をとることが大事。次のようなケアがお勧めです。

①親指と人差し指で乳首をやさしくつかみ、1分程度軽く圧迫させる。 痛みがあったら圧迫を弱める。
②しばらく続けてむくみが取れてきたら、授乳や搾乳で母乳を出す。

【助産師解説】産後のむくみ、どうやって解消する?原因と対策<ママ体験談>

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妊娠中だけじゃなく、産後にもむくみがあるなんて……。実は産後のむくみは、多くのママの悩みのタネなのです。そこで、産後のむくみの原因と対策を助産師さんが解説。先輩ママたちの工夫も参考になりますよ。

まとめ

赤ちゃんに母乳をあげたいのに、乳首が痛い――。ママとしてこんなつらいことはないでしょう。ただ、乳首の痛みは授乳のポジショニングやラッチオンの確認や改善、早期のセルフケアなどで改善することが少なくありません。「痛いから授乳はお休みしたい」気持ちは分かりますが、できる限り乳頭を傷つけないよう予防して、授乳を続けていきたいものです。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京で「すみれ出張助産院」を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文:山内リカ、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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