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2022年04月18日 15:37 更新

【小児科医監修】そば(蕎麦)は何歳から食べられる?時期の目安と初めての時の3つの注意点

子どもに食べさせたいけれど、アレルギーが心配という食品の一つがそば(蕎麦)です。アレルギーの重い症状が出ることもあるので、いつから食べさせたらいいのか迷う人もいるでしょう。今回は、そばを食べさせていい時期や注意点などをまとめました。

そばはいつから与えていい?

1歳すぎの赤ちゃんの食事風景

そばは栄養豊富ながらアレルギーの心配もある食品なので、いつごろから与えていいのか気になるところです。目安の時期について見てみましょう。

決まっていないが目安は1歳を過ぎてから

子どもにそばをいつから食べさせていいか、はっきりした基準はありません。離乳食も終わりいろいろな食材が食べられるようになったら、食べさせてみてもいいでしょう。具体的には、1歳過ぎ~1歳半ごろになってからがよいと思われます。

そばのアレルギーには注意が必要

そば粉

特定の食べ物を食べたり触れたりしたことで、アレルギー反応が起こるのが食物アレルギーです。 本来は体に害を及ぼさないはずの食べ物を、体が異物と勘違いして免疫反応が過敏に働いてしまうことで起こります。そばはアレルギー反応を引き起こす原因(アレルゲン)となることがあるので、子どもに初めて食べさせるときには注意が必要です。

なお、食品の中でもそばは落花生とともに重篤な症状になることが多く、患者数が多い5品目(乳・卵・小麦・えび・かに)と合わせて、必ず表示する「特定原材料」に指定されています。

そばのメリット! 子どもにも嬉しい栄養素が豊富

そばは調理が楽なだけでなく、栄養価が高くて子どもの体の成長にも必要な栄養素がいろいろ含まれています。

アレルギーがないのであれば日ごろの食事に取り入れたいですね。

もりそば

1. 良質なタンパク質

体内では作ることができない「必須アミノ酸」を豊富に含む良質なタンパク質は、体の筋肉や臓器、皮膚や毛髪など体を作るもとになります。

2. ビタミンB1、B2

ビタミン類も体内ではほとんど作ることができない栄養素です。ビタミンB1は疲労回復を促したりイライラをしずめる働きがあり、ビタミンB2には皮膚や粘膜の状態を整え、健やかに保つのを助ける働きがあります。

3. ルチン

抗酸化物質のルチンは、穀類の中ではそばだけに含まれる栄養素です。抗酸化物質は、動脈硬化や免疫機能の低下、老化、がんなどの予防にも役立つと言われています。

4. 食物繊維

便通を整えたり、脂質や糖、ナトリウムなどを吸着して体外に排出するなどの働きがあります。ご飯100g※に含まれる食物繊維は1.5gですが、ゆでそば100gに含まれる食物繊維は2.9gと2倍近く含まれています [*1]。

※ご飯:うるち米の精白米を炊いたもの

5. マグネシウム、鉄分

どちらも私たちの体に必要なミネラルです。マグネシウムは骨を形成したり体内のさまざまな代謝を助ける働きがあり、鉄分は不足すると貧血を引き起こします。

そばを食べさせるときのポイント・注意点

では、初めてそばを食べさせる際の注意点も確認しておきましょう。

① 最初はごく少量だけにする

最初はごく少量からにします。その後、反応や症状が出ないかしばらく様子を見てみましょう。できれば、まずは短く切った1本から試すとよいですね。

② 子どもの体調がよいときにする

元気がいい1歳児

かぜをひいていたり、病み上がりなどであまり体調がよくないと、アレルギーを起こしやすい可能性があります。初めてそばを食べさせるのは子どもが体調のよいときにしましょう。

③日中、食後2〜3時間様子を見られるときにする

初めてそばを食べさせたあとは、食後しばらく様子を見ることが大切です。万一、湿疹やかゆみなどのアレルギー反応と思われる様子が見られたときには、すぐに小児科へ行きましょう。何かあったらすぐ受診できるよう、小児科の診察時間内に食べさせるのがおすすめ。できれば、午前中に食べさせるとよいでしょう。

知っておきたいそばアレルギーの症状・対処法

最後にいざという時のために覚えておいてほしい知識についてお伝えしましょう。
実際にそばアレルギー(蕎麦アレルギー)を起こした場合はどのような状態が現れるのでしょうか。症状や対処法について解説します。

そばアレルギーの症状

病院の待合

食物アレルギーはじんましんなどの皮膚症状が見られることが多いですが、そばアレルギーの場合は呼吸器の症状が多く見られるのが特徴です。

食物アレルギーの症状とは

一般に、食物アレルギーで多いのは皮膚症状です。そのほか吐き気や下痢などの消化器症状、せきが出たり声がかれるなど呼吸器の症状などもあり、時にはアナフィラキシーによる全身性の症状が起こることもあります。

症状は、食べたアレルゲンの量や子どもの年齢によっても出方が違い、授乳期の赤ちゃんには赤い発疹や湿疹が出ることが多いのです。離乳後期から幼児期にかけては、じんましんや湿疹などの皮膚症状に加えて、目の粘膜が赤くなったり鼻水が出る、下痢をする、などの症状が見られるようになります。さらに、重度のアレルギー反応として、皮膚、消化器、呼吸器の症状が、複数同時にかつ急激に出現する状態のアナフィラキシーが起こることもあります。

そばアレルギーの症状が現れる時間

そばアレルギーの場合、そばを食べてからアレルギーの症状が出るまでの時間は遅くとも2時間以内と速やかに反応が出ることが多いです。

食物アレルギーの症状が現れる時間とは

食物アレルギーの反応は、大きく2つに分けられます。

1つめは「即時型アレルギー反応」といい、アレルゲンとなる食べ物を食べた直後から、2時間以内くらいにアレルギー反応によるさまざまな症状が見られます。食物アレルギーの多くはこのタイプで、そばアレルギーも即時型がほとんどです。

もう1つは、「遅発型」や「遅延型」のアレルギー反応です。この場合はアレルゲンとなる食品を食べた直後は特に何の症状もないのですが、数時間以上たってから症状が見られます。

そばアレルギーかな?と思ったら

そばアレルギーになる割合自体はあまり高くないです。しかし、そばは鶏卵や乳製品、小麦に次いでアナフィラキシーを起こしやすい食品というデータもあり[*2]、そばアレルギーがある人がそばを食べると、激しい症状が出ることがあります。

そばアレルギーの症状は、湿疹などの皮膚症状より空気の通り道である気道に現れやすいのです。そばを食べた後でアレルギー反応と思われる症状が見られたら、できるだけ早めに小児科を受診しましょう。医師は症状に合わせた処置を行い、適切な薬を処方してくれます。

なお、声がかすれる、呼吸が苦しそうなど呼吸器の症状が見られるときは、アレルギー反応により気道がむくんで空気が通りにくくなり呼吸困難を起こす危険があります。ほかにも、激しいせきこみが続いたり顔面蒼白になるなど、アナフィラキシーが疑われる時は、救急車を呼ぶなどして大至急病院へ行きましょう

まとめ

遊ぶ子供

子どもは麺類が好きなので、栄養価が高く手軽に食べさせられるそばは食事に取り入れたい食品の一つですね。ただ、アレルギーを起こすこともあり、症状が出ると重くなるケースもあります。そばをいつから食べさせていいのかについて明確な答えはありませんが、1歳を過ぎてからをひとつの目安に考えていいでしょう。そして、初めて食べさせるときは、時間帯や量などに配慮して、様子を見ながらにしましょう。

(文:村田弥生/監修:丘逸宏 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[*2] Akiyama H et al: Japan food allergen labeling regulation - history and evaluation. Adv Food Nutr Res, 62: 139-171, 2011

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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