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2021年04月01日 08:30 更新

妊婦にヨーグルトが良い4つの理由!おすすめの食べ方と種類、注意点【管理栄養士監修】

いろいろな健康効果があるといわれるヨーグルト。実は妊娠中にもおすすめしたい食品です。ここではヨーグルトをおすすめする4つの理由のほかに、試してほしい食べ方や食べるときの注意点などを紹介します。

妊婦にヨーグルトがおすすめの理由

体にいいイメージがあるヨーグルトは、妊婦さんにも次のようなメリットがあります。おいしく食べて健やかな妊婦ライフのお供にしたいですね。

不足しがちなカルシウムをとれる

朝食とヨーグルトのイメージ
Lazy dummy

妊婦に推奨されるカルシウム摂取量は、非妊娠時と変わらず1日約650mg[*1]。しかし厚生労働省の栄養に関する調査で、日本では男女とも年代を問わずカルシウムを推奨量まで摂れていないことがわかっています[*2]。妊婦さんも同様に不足しており、カルシウムは積極的に摂りたい栄養素です。

牛乳や乳製品は1回で食べる量に含まれるカルシウムの量が多いのが特徴。例えば全脂無糖タイプのヨーグルトには100gあたり約120mgのカルシウムが含まれています。低脂肪無糖タイプは約130mg、無脂肪無糖タイプは約140mg[*3]といずれも高い数値です。また、牛乳や乳製品はほかの食品と比べてカルシウムの吸収率が高いことがわかっています。

便秘解消に役立つ

妊娠中に悩まされることが多い便秘。その解消法のひとつが腸内の善玉菌を増やすことです。ヨーグルトを食べると「プロバイオティクス」と呼ばれる生きた善玉菌を摂ることができます。

善玉菌の中でも代表的な乳酸菌はヨーグルトのほかに乳酸菌飲料や納豆、漬物などにも含まれています。ビフィズス菌も乳酸菌の一種で、腸内で悪玉菌の繁殖を抑え、便通を改善する働きをします。乳酸菌にはさまざまな種類があり、菌の種類によってヨーグルトの味わいが異なります。

手軽にたんぱく質を摂れる

たんぱく質は筋肉や臓器を作るために必要な栄養素。成人女性の推奨量は1日あたり50gで、妊娠中はここに中期で+5g、後期で+25gすることが推奨されています(初期は付加なし)[*4]。

たんぱく質は動物性食品からも植物性食品からも摂ることができますが、動物性たんぱく質の方がたんぱく質を構成するアミノ酸のバランスがよいため、良質とされます。牛乳を原料とするヨーグルトはもちろん動物性です。つわりで食欲がないときにも、さっぱりとした口当たりのヨーグルトなら手軽に良質なたんぱく質を補うことができます。

胸焼けする後期つわり時でも胃に負担がかからない

妊娠後期は逆流性食道炎の症状に悩まされる妊婦さんも多いもの。ヨーグルトをはじめとする乳製品は消化しやすい食品です。逆流性食道炎になったときにもヨーグルトは食べやすくておすすめです。

妊婦におすすめのヨーグルトの食べ方・種類は?

妊娠中のヨーグルトの食べ方は次を参考にしてください。

糖質の少ないプレーンタイプがおすすめ

プレーンヨーグルトのイメージ
Lazy dummy

妊娠中は赤ちゃんの発育のために十分なエネルギーを確保することが大切。糖質は重要なエネルギー源ですが、主食以外からの糖質の摂りすぎには注意したいもの。加糖タイプの甘いヨーグルトには糖分が多く添加されています。妊婦さんには無糖のプレーンヨーグルトがおすすめです。

ジャムやヨーグルトソースと食べるのが一般的ですが、善玉菌の栄養となるオリゴ糖、オリゴ糖を多く含むハチミツやバナナ、食物繊維が多いきな粉などをかけて食べるのもいいでしょう。

手軽な飲むヨーグルトも人気

飲むヨーグルトも手軽で続けやすいので人気があります。糖分の摂りすぎに注意して上手に取り入れましょう。

毎日コツコツ続ける

ヨーグルトから摂った善玉菌はある程度はお腹の中に存在しますが、そのまま住み着くことはありません。整腸効果を求めるなら毎日続けて食べることがすすめられています。ヨーグルトによって菌の種類は異なり、どの菌が体にあっているかは人それぞれ。毎日ヨーグルトの種類を変えていろいろ食べるより、自分にあったものを見つけてそれを食べ続ける方がベターです[*5]。

妊娠中にヨーグルトを食べるときの注意点

妊娠中にヨーグルトを食べるときは次のことに注意してください。

食べ過ぎない

ヨーグルトを食べる女性のイメージ
Lazy dummy
加糖タイプのヨーグルトは糖分が多く含まれています。たくさん食べると糖質を摂り過ぎてしまうリスクがあります。妊娠中の乳製品の目安は1日あたり2つ分、妊娠後期は3つ分とされています[*6]。ほかの乳製品とのバランスも取って食べ過ぎないようにしましょう。

■乳製品の1つ分(1回の食事での摂取量)の目安
 ・1つ分=牛乳コップ半分=チーズ1かけ=スライスチーズ1枚=ヨーグルト1パック
 ・2つ分=牛乳瓶1本分

詳しい食べ方の目安はこちらを参照してください。
乳製品以外の食品についても、どれだけ食べるかの目安が示されています。
▶厚生労働省「妊産婦のための食事バランスガイド」

冷たいヨーグルトは控えめに

冷たいものを摂りすぎると下痢してしまうことがあります。お腹の具合心配なときは、冷蔵庫から出してすぐに食べるのではなく少し置いて常温に戻して食べたり、ホットヨーグルトにしたりと、工夫するとよいですね(乳酸菌は高温に弱いので温めすぎには注意を)。

妊娠中のヨーグルトに関するよくある疑問

妊娠中のヨーグルトについて、よくある疑問にお答えします。

アロエヨーグルトは妊婦には不向き?

アロエヨーグルトのイメージ
Lazy dummy

市販のアロエヨーグルトであれば心配ありません

確かにアロエには骨盤内の臓器を充血させる「アロイン」という成分が含まれていて、妊婦さんは食べるのを避けるべきとされています。しかし、この成分はアロエの外皮に多く含まれ、葉肉にはほとんど含まれていません。国内の各大手メーカーのアロエヨーグルトで使用されているのは外皮を除いた葉肉部分なので、その点は安心して食べられます。

ヨーグルトなどの乳製品を赤ちゃんのアレルギー予防のため控えるのは効果ある?

妊娠中に母親が特定の食物を除去しても、食物アレルギーを予防する効果はないとされています。

日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン2016には

食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されている上に母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない。

出典: https://www.jspaci.jp

と書かれています[*7]。赤ちゃんのアレルギーを心配して特定の食品を避けることはやめて、食事はバランスよく摂ることを心がけましょう。

まとめ

フルーツとヨーグルトのイメージ
Lazy dummy

ヨーグルトは妊娠中にもおすすめできる食品ですが、絶対に食べるべきということではなく、食べないことでデメリットがあるわけではありません。好きな人は安心して適量を食べてOKだし、苦手な人は無理に食べなくても大丈夫。また、どんなにおいしくても、つわりが落ち着いたら一つの食品に偏ることなく、バランスのよい食事を心がけてくださいね。

(文:佐藤華奈子/監修:川口由美子 先生)

※画像はイメージです

参考文献
[*1]厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 Ⅱ 各論 1 エネルギー・栄養素 ミネラル(微量ミネラル)
[*2]令和元年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養素等摂取状況調査の結果
[*3]文部科学省:日本食品標準成分表2020年版(八訂) 第2章(データ)
[*4]厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 Ⅱ 各論 1 エネルギー・栄養素 たんぱく質
[*5]厚生労働省:e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
[*6]厚生労働省:妊産婦のための食事バランスガイド
[*7]日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会:食物アレルギー診療ガイドライン2016ダイジェスト版 第4章 予知と予防l
  • 本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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