彼女たちが輝いて見える理由とは　Vol.2宝塚ホテル支配人 憧花ゆりのさん

お客さまのアテンドや従業員への指導や教育など、ホテルを円滑に運営するための業務に携わっています。あと、これは「宝塚大劇場」のオフィシャルホテルである宝塚ホテルの支配人ならではの業務ですが、宝塚歌劇団関連イベントの企画・実施をお手伝いすることが多いですね。「お茶会」と呼ばれるファンミーティングや、タカラジェンヌの退団時に行われる「フェアウェルパーティ」など、さまざまなイベントが目白押しですので、元タカラジェンヌの視点でアドバイスをしたりしています。

宝塚ホテルは宝塚大劇場のオフィシャルホテルとして「夢のつづき」をコンセプトに掲げており、多くのお客さまが宝塚歌劇団のファンですので、一般的なホテルとは一線を画しています。そんなお客さまにとって、まさに宝塚ホテルは特別な場所。だからこそ、求められるサービスレベルは非常に高いものがあります。「さすが宝塚ホテル」と言っていただかなければなりませんので、想像力を働かせてイメージや期待を裏切らないように心がけています。

お客さまのニーズを想像し、それに対してどう応えていくのかを考えるのは、タカラジェンヌもホテルの支配人も、もしかしたら他の仕事も同じなのではないでしょうか。例えばイベントの企画では、そうした想像から自分自身が楽しいと思えるものを表現したときに共感が集まるのを実感するので、タカラジェンヌ時代の役作りと共通しているように思いますね。

今年から新入社員研修を担当しましたが、挨拶・表情・身だしなみ・態度・言葉遣いの接遇5原則を大切にしています。ホテリエは真夏でもジャケットを着用するため、実は結構汗をかく仕事です。香水がNGなので、身だしなみの延長でニオイの面でもお客様にマイナスの印象を与えないように指導していますね。また何より、ホテルがお客さまにとっていかに特別な場所なのか、そのためにどういう振る舞いをすべきなのかという話を伝えています。

良いことも悪いことも責任が生じる立場ですので、大変な仕事ではありますが、お客さまが喜ぶ表情を嬉しそうに見守る従業員たちの姿に魅了されているのが大きいですね。タカラジェンヌのときもそうでしたが、私は人と協力して何かを作り上げ、誰かに喜んでもらう仕事が好きなのだと思います。寂しがり屋に思われそうなので、あまり認めたくはないですけど。

組長のときから相談に乗るのは“クセ”みたいなもので、苦にはならないんですよ。成長していく新入社員や若い従業員を見ると、嬉しくなっちゃいますね。

衣裳や小道具を展示するギャラリーのプロデュースは、支配人に就任したばかりの頃から続けています。展示内容が新しくなるたびに足を運んでくださるお客さまがたくさんいらっしゃって、ありがたいです。特に「タカラヅカデコレーション」という、煌びやかな照明に映える宝塚歌劇団の衣装独特の色合いと模様に着目した展示は、インスタグラムでも好評をいただきました。歌劇団在籍時代に実際に感じたことを記載するなど、試行錯誤を重ねる中で、ファンの方が望まれている展示を実現できるように工夫しています。

いえいえ、最初は不安と戸惑いばかりでした。「何の役に立てるのかな……」とか「ロビーに立って挨拶するだけの人になったらどうしよう」と、悩んでいましたから。けれど、宝塚歌劇展示ギャラリーのプロデュースを始めたり、宝塚大劇場の食事メニューを考案したりするうち、こういったことは私だからできる役割なんだと思うようになりました。

数年前、宝塚大劇場の公演中の作品を手がけるスタッフをお呼びして、ファンの方々との交流イベントをホテルで開催したのですが、宝塚大劇場とホテルをつなぐきっかけとなり、手応えを感じたんです。「宝塚大劇場とホテルとの橋渡し」が、私に課せられた使命と強く認識するようになりました。

私自身の理想像は描いていませんが、新入社員をはじめ、若い従業員が宝塚ホテルに相応しい人材として輝けるサポートをしていきたいと考えています。宝塚ホテルの伝統を次の世代に継承していくため、役に立ちたいですね。とにかく今は、2年後に迎えるホテルの100周年を控え、気合いが入っているところです。宝塚歌劇団はもちろん、従業員や地域の方々とも連携しながらイベントやプランを立案し、お客さまに長年の感謝を伝えられるよう、これから率先して盛り上げていきます。

髪の毛をまとめたり、爪を切ったり、華美すぎない化粧をしたり、当然のことながら身だしなみには常に気を配っていますよ。また、体臭がしないように食べ物には気を付け、新陳代謝を促進するために毎日30分間ウォーキングをしています。

ホテリエは年中長袖の上に、強い香りがNG。
「デオコ®」のような優しい香りの商品はありがたいです。