「汗の日」にWeb市民公開講座を開催! 汗の悩みを解決する一番の方法とは?
蒸し暑い夏は、毎日が汗との戦い。汗がとまらない、汗が出ない……など、「汗」に悩んでいる人も多いはず。でも実際は誰に相談すればいいのかわからなかったり、相談しづらかったりしますよね。去る8月28(日)、「汗の日」を記念してオンラインにて『たかが汗? されど汗! Web市民公開講座~今知りたい汗のこと~』(主催:第30回日本発汗学会総会)が開催されました。汗に対する正しい情報を伝えることで、汗で悩んでいる人が少しでも前向きに生活できるよう疾患啓発に取り組む科研製薬株式会社が協賛した講座ですが、なんと視聴者数が500人超え! みんなの関心事であり、同じように汗に悩んでいることがうかがえます。見逃してしまった方も、これを読めば「汗」問題の解決策が見つかるかもしれません!
今回、講演してくださった方たちはコチラ
汗が出ない“無汗症”とは?早めの受診が症状改善への近道
第30回日本発汗学会総会主催で、オンラインで開催されたWeb市民公開講座の内容をご紹介します。
私たち人間は、発汗することで体温調節をしています。100mlの汗をかくことで体温が1℃上昇するのを防ぐそうです。かいた汗の気化熱によって体温を下げるのですが、その汗が出ない病気を無汗症と言います。埼玉医科大学 脳神経内科 教授・日本発汗学会 理事長 中里 良彦 先生が無汗症について詳しく解説してくれました。

原因がわからない全身性の無汗症(特発性後天性全身性無汗症=AIGA)は、ホットヨガのインストラクターや宅配便のドライバーなど、暑い環境下でよく汗をかく人が発症しやすいそうです。10~30代の男性に多く、女性は全世代で汗かきの人がなりやすいとのこと。ある日突然発症するそうなので、他人事ではありません。

指定難病と聞くと、治療法がないのかと心配になりますが、治療できるとのことなので希望が持てますね。一人で悩まずに、病院の医師に相談しましょう。
保険適用の治療法あり!ワキ汗の悩みは勇気を出して皮膚科へ
暑くなる時期に気になるのがワキ汗。人目が気になり恥ずかしい思いをしたり、着る洋服を選んだり、憂鬱な気分になったり……。学業や仕事への影響も大きく、日常生活において支障をきたすことも多い。愛知医科大学皮膚科学講座 特任教授 大嶋 雄一郎 先生の講演では、多汗症はニキビやアトピー性皮膚炎といった他の皮膚疾患よりも生活の質(QOL)が障害されているというデータが紹介されました。

先生
病院を受診せずに、一人で悩まれている方がたくさんいるようです。重症の原発性腋窩多汗症患者さんへのアンケート調査でも、8割以上の方が市販の制汗剤やワキ汗パッドなどでセルフケアをしていて、病院を受診したのは1割だけ。治療に対する認識としては、約6割の人が治療したい、治療できると知りながらも恥ずかしさがあり、病院を受診できていないということが明らかになっています。

先生
原発性腋窩多汗症の塗り薬が保険適用になったとのことなので、治療が気軽になったはず。ワキ汗の症状を詳しく先生に伝えれば、必ずしもワキを見せる必要もないそうなので、まずは皮膚科の先生に相談してみましょう!
実はみんな悩んでいる!今こそ知りたい「汗」のこと
多汗症の専門医である池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長 藤本 智子 先生と、ご自身も多汗症で悩む患者のひとりでありNPO法人多汗症サポートグループ 代表理事としても活躍する黒澤 希さんのトークセッションでは、「あなたの悩みは誰かの悩み」をテーマに、それぞれの立場でお話が繰り広げられました。
――まず多汗症になり、日常生活において困ったこと、悩みごととは?


――病院を受診する際の困りごとには、どのようなことがあるのでしょうか?


――日々をポジティブに過ごすための工夫はされていますか?


患者さんとしての黒澤さんのお話は共感する部分が多く、藤本先生のアドバイスは受診への後押しになってくれたと思います。
次に、今まで聞くことができなかった「汗」にまつわるリアルな質問が患者さんから寄せられたので、Q&A形式で紹介します。
- 多汗症は遺伝するのでしょうか?
横関先生
- 軽症の方は、遺伝の可能性は低いです。ただ汗がしたたり落ちるなどの重症の一部の方は、遺伝する可能性があり、遺伝子も解明されています。
- 汗に質の違いってありますか? 汗でブツブツができたり、痒くなるのは多汗症の症状でしょうか?
室田先生
- 汗の成分は、体の部位、生活習慣、季節、性別などによって変化すると言われています。夏は体を冷やすため、さらさらした汗になります。たくさん汗をかくと、皮膚がふやけてしまうことも。汗の出口が詰まってしまうと、皮膚の中で汗が溜まったり炎症を起こしたりして、あせもや汗疱ができてしまいます。汗をかいたら、おしぼり等で拭くようにしましょう。
- 生まれつき脳神経に損傷があり、多汗症の他に体温調節異常があります。汗と脳神経の異常、体温調節異常、多汗に伴う脱水の関係について教えてください。
中里先生
- 脳の病気によって、体温が低くても汗が出やすくなっている(閾値が低くなっている)可能性が考えられます。たくさんの汗が出やすくなると脱水になる可能性が高まりますので、こまめな水分補給と体温を保つということが大切です。
- ワキ以外の多汗症も治療ができるのでしょうか?
大嶋先生
- ワキ以外でも、手、足の裏、頭部、顔面の汗で受診される患者さんがいらっしゃいます。塗り薬や注射、手術などの治療法があるので、まずは皮膚科の先生に相談してみてください。
- 汗とメンタルには関連があるのでしょうか?
藤本先生
- 多汗症の人は、自分でコントロールできない汗のことで緊張し、その緊張が次の汗を起こすというサイクルが日常的にあり、不安や前向きになれないうつ状態になることがあります。ある論文によると、多汗症の方はメンタル負担が大きいけれど、治療により汗を自分でコントロールできる状態に戻すことでメンタルも改善するとあります。もし汗のことで悩んでいるのであれば、まずは汗の治療をすることをおすすめします。
汗は出なくても(無汗症)、出過ぎても(多汗症)困るということが詳しく解説されました。汗の悩みは誰にも相談できず悩まれている方が多いそうです。しっかりと治療できる病気だからこそ、まずは皮膚科を受診するという一歩を踏み出す勇気が、必要なのかもしれません。そうすることで、一人で悩まずに済む明るい未来が待っているはずです!
提供:科研製薬株式会社