ファッションは素材と共に。おしゃれの可能性が拡がる素材『ロイカ』

普段、私たちが身に着けている衣服には様々な“素材”が使われています。“素材”によって肌ざわりや着心地、シルエットに違いが生まれ、多様性をもたらしてくれています。つまり、“素材”がファッションの可能性を拡げるといっても過言ではありません。今回は注目素材『ロイカ』のコーディネーターの方をお迎えして、その魅力に迫ります。

快適な着心地とフィット感の両立を追求して生まれた「ロイカ」

――まず『ロイカ』を開発するにあたり、ファッションにおける“素材”の役割について、どのようにお考えでしょうか？

「デザインやシルエットと同様に、素材も非常に重要な要素だと思っています。同じデザインでもそのデザインに合った素材を選ばないと、美しいシルエットは表現できません。着てみて、動きの中で感じる着心地のよさや、動きやすさ、シルエットの美しさにより、その衣服の実力が発揮されるというもの。素材をどう選ぶかで、洋服の価値や完成度、消費者の満足度が大きく変わるのです。 そういったファッションの本質を追求しているブランドは、素材のポジショニングが高いと言えます」。

――具体的に『ロイカ』とはどのような素材なのでしょうか？　誕生した経緯とともに教えてください。

「『ロイカ』とは、旭化成が開発したプレミアムストレッチファイバーです。生地に数％入るだけで、着心地のよさや動きやすさ、シルエットが大きく変わるほど、存在感のある素材です。日本を中心に、海外を含めて5カ国で生産されており、安定した品質のよさがお客様より高い支持を得ています。また原料から一貫した生産をしているため、伸縮性に加え、様々な機能を持つ糸も多く生産しています。業界をリードしながら、市場を作ってきたストレッチ素材の代表ブランドと言えるでしょう。
誕生は1971年、『旭化成スパンデックス』の名で生産をスタートさせました。もともとは1950年代後半、海外でポリウレタン繊維が生まれ、ガードルやシェイパーなどのファンデーション用途に使用されるようになったのがきっかけです。その新しさと将来性を感じ、1965年頃から日本で研究・開発を重ね、満を持してのデビュー。当時、ポリウレタン繊維はファンデーション用の太いものを中心に生産されていましたが、旭化成は、いち早く細いポリウレタン繊維の開発に注力し、インナーのショーツに使用して販売を開始したのが始まりです」。

肌に一番密着するアイテムだからこそ、様々な機能性が必要とされる

――『ロイカ』は身近なファッションアイテムに使われているということですが、実際にどんな商品に使われているのでしょうか？

「身近なところでいうと、アツギさんのストッキング“アスティーグ”ですね。“肌”や“圧”など、商品コンセプト別に『ロイカ』の機能糸を使い分けていただいています。そのほか、インナーやスポーツウェア、水着、デニム、パンツなど、身体にフィットするストレッチ性に優れたアイテムに数多く採用されています。またファッションだけでなく、生活の中で触れる様々な用途やアイテムに使われているんですよ」。

――各メーカーから『ロイカ』が求められている理由をどう捉えていますか？

「まず品質のよさに高い評価をいただいています。次に、お客様がお困りのことやご要望をベースに、新機能を持つ糸を開発してきたことが挙げられます。個々のニーズに合わせ、その用途やアイテムに適した糸をご提案できることも『ロイカ』の強みだと思います。
また糸の販売だけにとどまらず、技術的なフォローやトレンド情報の発信などのソフト面のサポート、製品の着用評価など、お客様に寄り添ったビジネス展開をしていることも大きいと思います」。

“サスティナブル”な物づくりを。世界水準で高めていく『ロイカ』の可能性

――ストレッチ素材の代名詞ともいえる『ロイカ』ですが、今後の展望について教えてください。

「今までにない新しい機能糸の開発はもちろんのこと、ファッションだけでなく、まだ『ロイカ』が参入していない分野や用途の開拓にも力を入れています。 もう一つは、世界的に大きな流れとなっている“サスティナブル”な物づくりの強化ですね。もともと『ロイカ』は、“サスティナブル”という言葉が叫ばれるようになる前から、環境に配慮した取り組みを行ってきました。現在は、世界的にも認められているサスティナブル認証を取得した2タイプの糸を展開しています。今後の物づくりの基本姿勢として、さらに強化していくつもりです」。