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【第2回ビジネスマナー講座】二重敬語と間違えやすい敬語の使い方

松本繁美(マナーアドバイザー)

ビジネスシーンでは、言葉使いがその人の印象を大きく左右します。特に敬語は“なんとなく”使っていると、意外と間違っていることが多いもの。きちんとした敬語を身につけるだけで、印象アップにつながります! マナーアドバイザーの松本繁美先生と一緒に、正しい敬語の使い方をマスターしましょう♪

頭ではわかっているつもりでも、いざ仕事で使うとなると、なかなかスムーズに出てこないのが敬語。「私がご連絡させていただきました。」とうっかり二重敬語を使ってしまったり、「お客様が申し上げたんですが。」と相手に謙譲語を使ってしまったり……。とっさに口から出た敬語が、間違っていたということはよくありますよね。中でも多くの人がつまずきやすいのが「二重敬語」。「ビジネスマナー講座」第2回では、二重敬語や間違えやすいフレーズについて確認しましょう。

<よくある二重敬語のパターン>

二重敬語とは、すでに敬語になっている言葉に同じ種類の敬語を重ねて使ってしまうこと。例えば「サンプルをご覧になられましたか?」という言葉使いは、「ご覧になる」という尊敬語に「られる」という尊敬語をつけているので、二重敬語になります。この場合は、「サンプルをご覧になりましたか?」が正しい言葉使いです。

※「お(ご)~になる」+「れる」「られる」=二重敬語

× おっしゃられたように、
○ おっしゃったように、

× お客様がお見えになられました。
○ お客様がお見えになりました。

× お召し上がりになられますか?
○ お召しあがりになりますか?

× ご連絡させていただきました。
○ ご連絡いたしました。

<定番フレーズで敬語の使い方を練習しよう>

それでは、例文を使って正しい敬語の使い方を練習しましょう。以下の例文では、ビジネスシーンでよく登場するフレーズを使っています。問題に挑戦したあとは、ぜひ声に出して練習してみてください。

上司へ、書類を見たかどうか確認する

①書類をご覧になりましたか?
②書類を拝見されましたか?
③書類を見ましたか?

⇒①が正解です。②の「拝見」は謙譲語、③は丁寧語なので、上司には尊敬語を使いましょう。

上司へ、資料を読むかどうか聞く

①資料をお読みになられますか?
②資料をお読みになりますか?
③資料をお読みされますか?

⇒②が正解です。①は二重敬語なので間違い。③「される」は「する」の尊敬語ですが「お読み~」には続きません。

訪問先でお茶をすすめられて

①ご遠慮なくちょうだいいたします。
②召し上がらせていただきます。
③遠慮なくちょうだいいたします。

⇒③が正解です。①の「ご遠慮なく」と②の「召し上がる」は尊敬語です。

昼食が済んだか聞かれて

①もう、ちょうだいさせていただきました。
②昼食は食べさせていただきました。
③すでに昼食はいただきました。

⇒③が正解です。①と②は二重敬語です。

お客様が来たことを上司に報告

①マイナビの田中さんがまいりました。
②マイナビの田中さんがいらっしゃいました。
③マイナビの田中さんがお見えになられました。

⇒②が正解です。①は謙譲語、③は二重敬語で「お見えになりました」なら正解です。

社外の人に対して、部長の説明のあとに補足する

①山田部長がご説明いたしました通り、
②山田部長が説明されました通り、
③山田がご説明いたしました通り、

⇒③が正解です。外部へは自社の人間の動作に謙譲語を使うため、役職名はつけません。②は「~された」というように、部長に対して尊敬語を使っているので間違いです。

約束のないお客様が来たとき

①なんのご用件でしょうか?
②どのようなご用件でしょうか?
③ご用件はなんですか?

⇒②が正解です。①「なんの」と③「なんですか」は尊敬語ではありません。

お客様を待たせるとき

①少々お待ちいただけますか。
②ちょっとお待ちください。
③ちょっと待ってもらっていいですか。

⇒①が正解。「ちょっと」は「少々」と置き換えましょう。②は「~ください。」という命令形なので望ましくありません。③は「待ってもらって」が尊敬語ではありません。

飲み物をたずねる

①コーヒーと紅茶、どちらにいたしましょうか?
②コーヒーと紅茶、どちらになさいますか?
③おコーヒーとお紅茶、どちらになさいますか?

⇒②が正解。「いたす」は謙譲語なので、相手が選ぶ場合には尊敬語の「なさる」を使います。また、外来語には「お」をつけません。

<間違いやすい敬語使い>

「ご苦労さま」は目上の人が目下の人をねぎらう言葉。ビジネスシーンでは、上司や同僚に対しては「お疲れさま」と言います。また、どんな言葉にも頭に「お」や「ご」をつけてしまうケースにも要注意。「お」や「ご」は原則として相手の状態や動作に対してつけるもの。先ほど紹介したように、コーヒーなどの外来語にもつけません。

<今回のまとめ>

第2回では、二重敬語と間違えやすい敬語の使い方についてご紹介しました。慣れないうちは、丁寧に話そうとしてつい二重敬語を使ってしまいがちですが、相手にまわりくどい印象を与えるので気をつけましょう。また、「ご苦労さま」や「お疲れさま」は日常的によく使う言葉。間違えて使うと失礼にあたるので、こちらも覚えておきたいですね。次回は、知っていると印象アップにつながる「クッション言葉」についてご紹介します。

(松本繁美)

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※この記事は2016年08月16日に公開されたものです

松本繁美(マナーアドバイザー)

1994年に研修会社エル・ステーションLTD.を設立。マナーをはじめとして各種企業研修、講演会のプロデュースを手がける。専門学校の客員講師、雑誌や新聞のマナー記事の監修、TV番組のコメンテーターとしても活躍中。テーブルマナー、冠婚葬祭、ビジネスマナーなど、今どきのマナーのデザインで定評がある。

著書、監修 「ビジネスマナー講座」「冠婚葬祭暮らしのマナー大百科」(日本文芸社)、「大人のマナー基本はこれだけ」(講談社)、「贈るとお返しのマナー」「日常の食卓マナー」「はじめてのテーブルマナー」(主婦の友社)、「女性のためのマナーブック」(大泉書店)など多数

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