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モー娘。に入れなくても今が楽しい。ゆりやんレトリィバァ27歳のリアル

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部が「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載【Lifeview(ライフビュー)】。

ゆりやんレトリィバァさん、横澤夏子さん、ブルゾンちえみさん。
近年スポットライトを浴びている女性芸人は、そろいもそろって1990年生まれという不思議な共通点がある。彼女たちは私と同い年、27歳。仕事や結婚など少しずつ悩みが生まれるこの年齢だけど、テレビの中で輝く彼女たちを見ていると、ちょっとだけ勇気をもらえることもある。

「No.1女性芸人」の称号を手に入れた27歳

世はまさに“女性芸人・黄金期”。ちょっと前まではテレビで活躍する女性芸人は少数派で、見た目をいじられるような芸風も多く、いち視聴者としてあまりにかわいそうだと目を背けたくなることも多々あった。だけど近年は多くの女性芸人が自由な芸風を繰り広げ、コントや漫才で“自分らしさ”を堂々と表現しているように見える。

その中でもひときわ異彩を放っているのが、ゆりやんレトリィバァさん。2015年のR-1グランプリで決勝進出を果たしたが優勝ならず、その悔しさをバネにして2017年の女性芸人No.1グランプリ「THE W」では念願の優勝を手にした。グランプリの決め手となったのは、ドラえもんのキャラクターになりきって、世の中のモヤッとする出来事を風刺するように斬り込むコントだった。

特に私含め多くの女性たちの心に痛々しく響いたのが、「やらなきゃいけないことがあるのに、知人の社長さんとの会食に行ってお酌するのがめんどくさい」というネタ。こういう葛藤は、まさに“働く女性あるある”だと思う。

「単独ライブに向けて、翌日までにネタを3本も考えなきゃいけないことがあったんですよ。それなのに、先輩の知り合いの社長さんとご飯に行かなきゃいけなくなって。一緒に行く先輩が『俺やることあるのに~』と文句を言っていたのに対して、『な~んだ、そんなことか、僕なんか……』(ドラえもんボイス)という返しが浮かんで、このネタにつながりました。基本、私は自分がいちばん大変だと思っているので(笑)」

インタビュー現場で会ったゆりやんさんは、スタッフ全員に笑顔で挨拶をしたり、撮影で求められたポーズには体を張って全力で応えたりと、心配になるくらい謙虚だった。だけど同年代の私には気を許したのか、こんな愚痴だって吐いてくれた。

ほかにも、「今日は深夜2時まで働いて、明日の朝9時からプールで泳ぐ仕事。ワキ毛もスネ毛も剃ってないのに」とか「この前、夜の街で酔っ払いのおじさんたちに絡まれてつらかった」という話までしてくれた。まるで気心の知れた女友だちのように。

暮らしの変化は「同世代の女性が当たり前にやっていることをやる」

「THE W」で女性芸人のトップに君臨したあとの、ゆりやんさん自身の変化について聞いてみた。仕事もファンも激増しただろうし、自信に満ちあふれているにちがいない(もし私だったらめちゃくちゃ天狗になる)。しかし彼女の言葉はやっぱり謙虚だった。

「大阪でひとりで暮らしながら、毎朝起きて東京行って泊まって大阪帰っての繰り返し。ありがたいことですよねぇ。街でファンの子たちに声をかけてもらうのもいまだに実感ないんですけど、地元の奈良に帰ったとき、昔から顔なじみのご近所さんにも握手を求められたりして。『え~そんなうれしいけど、普通の子やで~』って思っちゃいます(笑)」

さらに話を掘り下げてみると、暮らしぶりにも変化が表れたらしい。

「前まではベッドだけで生活していたようなものでした。ベッドの上に食べ物とテレビのリモコン置いて、転がってトイレ行って~とか(笑)。でも最近は引っ越したのもあって、そういう生活やめようと思って。ベランダに観葉植物を置いてみたり、自炊してみたり。同世代の女性たちが当たり前にやっていることを、私もやってみたくなったんです」

仕事がうまくいくことで、私生活も充実してきたゆりやんさん。その暮らしは意外にも私たちと似通ったものだった。それでもやっぱり「プライベートよりも仕事のほうが楽しいですね」なんて言うから驚きだ。次こそ手に入れたいR-1グランプリ優勝と、単独ライブ。お笑いの仕事では、この2つの軸を大切にしていきたいと語る。

「まわりには『もうTHE Wで優勝したんやからR-1はいいやん』と言われることもあります。でも芸人としてネタを極めたいので、次こそ絶対にR-1で優勝したいですね。あとはどんなに忙しくなっても、単独ライブも大事にしたいです」

声だけで演技する難しさ。映画『ヴァレリアン』の吹き替えに挑戦

ゆりやんさんの仕事は、お笑いだけにとどまらない。CDデビュー、バラエティ、ドラマ出演など、幅広く挑戦を続けている。その中でも特に思い入れがあるのが、映画の吹き替え。昔から映画が大好きだった彼女にとって、声の演技でハリウッド映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』への出演が決まったときは、まさに夢が叶った瞬間だった。

「私自身、吹き替えの映画を観ると『えっ何これ!? 全然イメージしてた声とちがうし、内容入ってこーへんわ』と感じることもあったので、プレッシャーはありましたね。でも昔からの夢やったので、思い入れもあるし。何より大好きなリアーナさんの顔から自分の声が出るなんて。観てくださる方の違和感にならないようがんばろうと思いました」

役は、世界的シンガーソングライター・リアーナ演じる「バブル」。見た目もセクシーな彼女に声を当てるのは、苦労も多かったという。

「自分の声が高くて特徴的なのと、関西弁が出てしまうので……。演出家さんにもアドバイスいただきながら、声を低めに出すようにしたら、ちょっとだけ改善されました。あとは声に抑揚をつけるのも大変でしたね。コントなら表情や動きでどうにかできるんですけど、声だけの演技ってこんなに難しいんやなって」

それでも本作の試写会で耳にした彼女の声は、バブルのイメージそのままだった。観ているうちに、ゆりやんさんが演じていることを忘れてしまうほど。またひとつ夢を叶えた彼女に「映画が大好きだった子どものころの自分に、声をかけてあげるとしたら?」と聞くと、過去を懐かしむようにふんわり笑った。

「モー娘。には入れないけど、やりたいことを思い続けていればやらせてもらえるようになるよって言いたいですね。でも気は抜かず、サボらず、健康に気をつけてとも言いたい。あと、どこかのタイミングで血尿は出るけど心配はないよって(笑)」

最後にジョークを交えて、現場の笑いを誘った。ハリウッド映画吹き替え声優の顔から、芸人の顔に一変した瞬間だった。そして2018年の目標を聞くと、今度はひとりの女友だちのような顔に戻った。

「お恥ずかしながら、私まだ誰ともお付き合いしたことがなくて……。今年こそは好きな人と付き合いたいです。『ゆりやん 好きな人』で検索するといろいろ情報が出てくると思うけど、もしかしたらそれとはちがう人かも。彼はロングヘアが好きらしいので、エクステつけようかな。伸ばしてたら今年間に合わないし。私がいきなりエクステつけはじめたら、そういうことやって思ってください(笑)」

それを聞いた私も思わず、「いいじゃん、エクステつけなよ!」と女友だちのように応援してあげたくなった。仕事も恋愛もがんばり続ける27歳。文字にしてみると、同世代の女性たちと何も変わらない。そういえば私も昔はモー娘。に入りたかったなぁ、なんて思い返しながら、最後に彼女と大声で笑い合った。

(編集・文:高橋ちさと/マイナビウーマン編集部、撮影:洞澤佐智子)

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

2018年3月30日 全国ロードショー
監督・脚本:リュック・ベッソン
出演:デイン・デハーン、カーラ・デルヴィーニュ、クライヴ・オーウェン、リアーナ、イーサン・ホーク、クリス・ウー、ジョン・グッドマン、ハービー・ハンコック、ルトガー・ハウアー
日本語吹替え版声優:日野聡(ヴァレリアン)、沢城みゆき(ローレリーヌ)、大塚明夫(フィリット司令官)、関俊彦(オクト=バー将軍)、咲野俊介(客引きジョリー)、石川界人(ネザ軍曹)、富田耕生(国防長官)、楠見尚己(アイゴン・サイラス)、ゆりやんレトリィバァ(バブル)、THE ALFEE(ドーガン=ダギーズ)ほか
公式サイト:http://valerian.jp/
(C)2017 VALERIAN S.A.S. ? TF1 FILMS PRODUCTION

※この記事は2018年03月14日に公開されたものです

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