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通勤時間が嫌いだった美容師さんが、職場からどんどん離れたところに住む理由

働く独身女性の中には、ワンルームに暮らす人も多いはず。部屋の数が多くて、広いマンションに住みたいし、年収が上がれば引っ越したい。何LDKって自慢してくる子もいる。広くないし、賃貸だとやれることも限られるワンルームだけど、ミニマムな良さがある。そういえばビートたけしさんが引退したら六畳一間に戻りたいって言ってたな。働く女性のミニマムライフ、覗いてみようか。

大型商業施設と5路線が行き交う北千住駅。雑多なようなまとまっているような、不思議な感覚に襲われるその駅から少し歩くと、閑静な住宅街がある。
近くには活気づく商店街や、昔からあるであろうお肉屋さんや魚屋さん、銭湯、散髪屋があって、昭和のよき時代にタイムスリップしたような不思議な気分になる。ここにひとり暮らしをする女性とは、いったいどんな人なのだろう。

あずみちゃん:美容師。1989年、長野県生まれ。
間取り:1K
広さ:6畳
居住歴:6カ月

マンションに着くと癒し系の笑顔で「こんにちは」とあずみちゃんが出てきた。彼女は現在、田町で美容師として働いている28歳。おしゃれで話題も豊富な美容師さんの素性、住んでいる部屋が気になる。

彼女の部屋にお邪魔すると、全体を白や淡い色でまとめられた空間が。壁には外国人モデルの、写真が飾られている。職業ならではのスタイリング剤も並んでいる。ほぅ、これが美容師さんのお部屋か!

「美容師はお客様の髪の毛を切る職業だけど、撮影をすることもあるの。壁に飾ってある写真は雑誌や、アパレルショップに置いてあるリーフレットの切り抜きだよ。こういうスタイリングにしたい!  と思っても時間が経つと忘れちゃうから、取っておくようにしてるの。記憶に焼きついたら写真は入れ替えるよ」

雑誌だけじゃなく、アパレルショップにある冊子も参考になるんだ! 今までそれに目を向けたことなかったなぁ。今度見てみよう。壁が白いせいか、飾られている写真が映える部屋だなぁ。

「壁や床が白を基調としていて、明るい空間に見えることが、部屋探しの条件のひとつだったの。床も全面カーペットにはしたくなくて余白が見えていてもおしゃれな空間になるようなフローリングがよかったんだよね」

と話す彼女の背後は、実は暗めの壁なのだ。これは気にならなかったの?

「こんなふうにだら~んってもたれるの(笑)」

「そうなの(笑)。でもいつもこっち(暗めの壁)を背にしてテレビを見たり、ご飯食べたりしてるからあまり気にならないかな」

そういう問題?? とつっこみたくなるけど、これが彼女のかわいいところ。まぁたしかに自分の見えている部分がよければ、結果全てよしなのかもしれない。ところで、北千住には半年前に引っ越してきたのだとか。

「以前は中目黒に住んで、恵比寿で働いてたの。働きはじめのころは通勤時間に充てるくらいなら休みたいと思っていたけど、北千住に住んで思ったのは、そうじゃないほうが意外と楽だったってこと。近くに住む人たちと仲よくなって、お客さんになってくれることがある。とってもうれしいことだけど、職場周辺に住むと生活圏がそこだけになって、仕事とプライベートの境目は? って考えるように」

いつでも帰れるからとサロンに長居したり、友だちと遅くまで遊んだりしていた彼女。今は田町と北千住を行き来する生活をしていて、新築マンションに住んでいるが、以前は同じくらいの家賃でも築年数の古いところに住んでいた。ライフスタイルへの考えが変わり北千住に引っ越すと、その数カ月後、恵比寿から田町へ転勤となる。

「考え方の変化や引っ越し、転勤のタイミングがうまいように合った気がする。通勤時間が嫌いだったけど、最近ではもっと遠くてもいいと思ってるんだ(笑)。なんかね……北千住駅に着くと、北千住の私になる。そういうオフになれる感覚を味わったとき、このほうがいいなって自然と思えるようになった」

仕事が忙しくなったり、金銭的に余裕が出てきたりして職場の近くに住む人も多い。でも、プライベートと仕事にメリハリをつける彼女のライフスタイルは、リフレッシュしながら生きていくための知恵なのかもしれない。そういえば、美容師さんって休日はカレンダーでいう平日。お休みの日は何してるの?

「通勤中は本を読むよ」

「私の場合、火曜と第3月曜が定休日でそれ以外に有給休暇を取って休んでるよ。月に6日くらいかな。お酒が好きなので飲みに行ったり、友だちと買い物したり……。大抵の人は平日に仕事だと思うから、比較的空いていて並ぶってことはあんまりない。休みが少ないと感じるかもしれないけど、これまでずっとそうだったから慣れているというか、普通って感じ。朝の通勤ラッシュがなかったり、出かけると空いていることを考えると結構いいもの!」

なるほど、たしかにそれはうれしいかも。誰だってぎゅんぎゅんに詰められた電車からは解放されたい(切実)。仕事が終わったあとの部屋での過ごし方は?

「仕事が終わるとご飯を作って、テレビを見てる。時間を決めて読書もするよ。あと湯船はできるだけ毎日入ってるかな」

「香りにはこだわっていて、入浴剤は柑橘系でリフレッシュするよ。ほかにもアロマオイルや芳香剤を使って、リラックスできる部屋づくりをしてるよ」

毎日!? 私なんか長らく入ってなくて、体の冷えを感じてますよ……。

「前住んでたところがユニットバスだったのであんまり湯船に入らなかったんだけど、引っ越してからはほぼ毎日入るようにしてる。疲れが取れるし、ぐっすり眠れるからね~。入浴剤はクナイプをずっと使ってるよ。香りがよくて、たっぷり入っているところが好き(笑)。お風呂は音楽を聴きながら40分くらい入って、デトックスしてます」

室内には数々のスタイリング剤が。さすが美容師さん! 「最近はオーガニック系が主流になっているよ」

長野から上京し、23区内に住むためには家賃が高いのは仕方ないと思っていた。でも今の彼女はちがう。お給料の範囲内で好きな洋服を買って、好きなことを楽しんで、貯金も少しずつできて。それでも家賃を払えるような、無理のないライフスタイルを築いていくことが大事なんだと実感した。

「北千住の私」。

ほかのどの言葉よりも強く力が込められていた。
次はどこに住むのだろう。彼女ならきっとどこへ行っても大丈夫な気がする。自分らしさをライフステージや地域に見出すことができるはずだから。

(取材・文:藤田かおり、写真:出川光/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2018年02月21日に公開されたものです

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