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原因と対策は? 大人のあせもの治し方

福永麻紀

子供のころ、たくさん汗をかいた日に「あせも」ができた経験はありませんか? このあせもですが、どうやら大人になってもできることがあるのだとか……。肌見せファッションを楽しみたい夏には、大敵とも言えるあせも。その治し方とは? そこで今回は「大人のあせもができる原因とケア方法」について、北青山Dクリニックの皮膚科医・福永麻紀先生に解説してもらいました。

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そもそも「あせも」とは? 症状と見分け方

あせもには、具体的にどんな症状があるの? 発疹ができたとき、それが“あせもなのか”を見分けるポイントも知りたいですよね。まずは、症状と見分け方について、教えてもらいました。

あせもは、大きく3つのタイプに分かれます。それぞれの症状や見分け方は以下の通りです。

(1) 水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)

水晶様汗疹は皮膚の浅い部分(表皮の角層)に汗がたまることによってできるあせものこと。この場合はかゆみがなく、症状もほとんどありません。透明もしくは肌色の見た目をしており、外径1mmの水滴のような粒(小水疱)が多発して見られます。

(2) 紅色汗疹(こうしょくかんしん)

紅色汗疹は、皮膚の真ん中あたり(表皮有棘層)に汗がたまったもの。こちらはかゆみや刺激感があり、赤く小さなブツブツに見えるのが特徴です。水晶様汗疹とまったくの別物というわけではなく、放置した水晶様汗疹が紅色汗疹に進行してしまうことが。一方で、発見された段階から紅色汗疹であるケースもあります。

(3) 深在性汗疹(しんざいせいかんしん)

深在性汗疹の場合は、皮膚の深い部分(表皮と真皮の境い目)に汗がたまってできます。これは、熱帯地方などの特殊な地域でしか見られないもの。私たち日本人が目にすることはほぼない、と考えてください。

あせもとほかの湿疹の見分け方に迷う人もいるかと思いますが、ポイントは汗をかきやすい部分にできているかどうか。あせもができやすい部位については後述するので、それを踏まえてチェックしてみてください。とはいえ、自己判断に頼りすぎず、不安に思ったときは医師に相談してみるのもいいでしょう。

あせもの原因とは?

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では、あせもはなぜできてしまうのでしょうか? ここでは、その原因について探っていきましょう。

大人のあせもができる原因

あせもは子供にできるケースが多いというだけで、大人にできる場合もあります。両者に違いはなく、その原因は「汗管(かんかん)」と呼ばれる汗の管が詰まり、皮膚の下に汗がたまってしまうから。

夏にできることはもちろん多いですが、大量発汗を伴えば季節問わず見られます。冬でも厚着をしすぎていたり、暖房が利きすぎていたりする環境では汗をかきやすく、あせもができることがあります。

大人のあせもができやすい部位

あせもか別の湿疹かを見分けるためにも、それができやすい部位を知っておくことが大切。あせもはどんな部分によく見られるのでしょうか。福永先生に聞きました。

あせもができやすい部位の例は以下の通りです。

・首
・肘や膝の裏
・ブラジャーの締め付け部分

肘や膝の関節部分は汗がたまりやすく、あせもが発生しやすい部位。また、女性のブラジャーも通気性がよい状態とは言えないため、あせもが見られることがあるでしょう。

肌見せの季節の敵! あせもの治し方

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もしもあせもができてしまった場合、どんな対処をすればいいの? セルフケアや病院での処置について教えてもらいました。

あせもができたときのセルフケア方法

症状がほとんど見られない「水晶様汗疹」であれば、汗を石けんやシャワーで洗い流すよう心がけましょう。その後、通気性のよい状態を維持するだけで自然と治っているケースも多いです。

かゆみが出てきてしまった場合も、基本は汗をこまめに洗い流すこと。また、掻かないことが重要です。とはいえ、多くの場合はそれだけでは治らないはず。セルフケアだけでなく、医療機関でステロイド剤を処方してもらうとよいでしょう。

病院で行われる治療って?

前述の通り、基本的にはステロイドの外用薬が処方されます。医療機関によって異なりますが、肌をさらっとさせるようなローションを置いている病院も。紅色汗疹が見られる場合は、できるだけ医療機関を受診することをおすすめします。

あせもは痕になるの?

あせもが痕になることはほとんどありません。ただ、紅色汗疹は見た目や症状が「ニキビ」と似ているため、勘違いしている人も。あせもをニキビと勘違いし、適切な対処をしないと経過が長引いてしまうことがあります。その結果、悪化して長引くと、まれではありますが痕になる可能性もあるでしょう。

日常でできるあせも対策

あせもを予防するには、どんなことを心がければいいのでしょうか。最後に、予防策を教えてもらいました。

日常では「通気性をよくすること」が対策になります。そのためにも、以下の行動を意識してみましょう。

・汗拭きシートを使う
・通気性のよい服装をする
・空調で温度調節をする
・汗をかいたらシャワーを浴びる
・お風呂に入らないまま寝ない

あせもの根本的な原因は汗をかくこと。そして、それを放置してしまうことです。まずは汗をかく環境を避け、大量にかいた場合は汗拭きシートやシャワーでしっかりケアをしていきましょう。

まとめ

うっかり汗をたくさんかいてしまったとき、面倒だからと言ってそのまま放置してはいませんか? 「あせもは子供にできるものでしょ」と高を括っていると、大人にもできることがあるもの。夏のおしゃれを楽しむためにも、予防策と治し方を覚えておきたいですね。

(取材協力:福永麻紀、文:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2017年06月30日に公開されたものです

福永麻紀

慶応義塾大学医学部卒業後、同大学皮膚科学教室に入局。浦和市立病院皮膚科、練馬総合病院皮膚科を経て、現在は北青山Dクリニックフォーラムに在籍し、皮膚科治療を中心に診療をしている。下肢静脈りゅうの中でもレッグベインと呼ばれる細かい網目状の血管に対するレーザー治療を中心に、ニキビ治療、肌荒れ、脱毛などの相談も男女問わず行っている。患者さんの要望をよく聞き、それぞれに寄り添った診療を心がけている。

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