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舌が荒れて痛いときの原因と対処法

長澤彩

口の中や舌の痛みが発生したときの対処法について、歯科医・長澤彩先生が解説します。

「舌がピリピリして痛い」「舌が赤くなってる」……など、口の中や舌の痛みに悩んでいませんか? 今回は舌が荒れて痛い原因や対処法について、歯科医・長澤彩先生の解説を紹介します。

舌

舌が荒れる原因&対処法

長澤先生によると、舌が荒れる原因にはさまざまあり、対処法もそれによって異なるといいます。そこで原因別に対処法も一緒に紹介します。

口を抑える女性

(1)外的要因

外傷、やけどによるもの

自分で自分の舌を噛んでしまったり、熱いものを飲み食いして口内をやけどすると、舌が赤く腫れて痛みを生じます。

<対処法>

舌を噛んでしまった場合、もし出血していないようなら、特に対処する必要はありません。口内は唾液があるため傷の治りが早いからです。食事の際は痛いかもしれませんが、数日ほどで治ります。

出血がひどい場合は、血が出る部分を清潔なガーゼなどを使って指で圧迫しましょう。しっかり圧迫すれば20~30分程度で出血は止まります。出血がおさまらない場合は、縫合の必要がありますので、口腔外科を受診しましょう。

やけどの場合は、まず水や氷でしっかり冷やすことが大切です。十分冷やした後は、感染を起こさないよう、口内を清潔に。うがい薬でうがいをしましょう。感染を起こした場合は抗生物質による治療が必要になりますので口腔外科を受診しましょう。

義歯や入れ歯など刺激によるもの

義歯や入れ歯などが合わない場合、舌粘膜への刺激となって舌が赤く変色したり出血する場合があります。

<対処法>

歯科医院で舌粘膜にあたる入れ歯の鋭利な部分を削るなど調整してもらいましょう。また、寝ている間は入れ歯を外し、舌に接触させないことも予防になります。

口の中の汚れにより

口の中は不潔になりやすい場所です。歯磨きや手入れを怠ると、舌の表面に食べカスや口の中の細菌がたまり「舌苔(ぜったい)」として舌に付着します。この「舌苔」を放置すると、舌が荒れやすくなるうえ、炎症を起こした際に悪化しやすくなります。

<対処法>

舌苔や歯垢は、うがいや口をゆすいだ程度では取り除けません。そこで毎日しっかり歯磨きを行い、口の中を清潔に保ちましょう。また、1日1回を上限に、舌ブラシを使って「舌磨き」を行うとベターです。

亜鉛の欠乏

舌の見た目に異変はないのに味覚障害がある場合、亜鉛不足による味覚障害を起こしている可能性があります。過度なダイエットや偏食が原因で起こりやすい病気です。

<対処法>

牡蠣(かき)、鶏肉、豚肉、レバー、卵、チーズなど、亜鉛を含む食品を意識して摂りましょう。ビタミンCも一緒に摂れば、効率的に吸収できます。食事からの摂取が難しい場合は、サプリで補うのもいいでしょう。

ガルバニー電流

口の中に2種類以上の金属の詰め物をしている場合、唾液を介して微弱な電流が流れるときがあります。これを「ガルバニー電流」といい、人によってはこの電流によりアレルギーを起こし、舌炎(ぜつえん)を発症することもあります

<対処法>

歯科医院で原因となる金属を除去し、電流が起こらないプラスチックやセラミック素材の詰め物に代えてもらいましょう。

(2)疾患

ここからは疾患が原因の症状となります。セルフケアが難しく、それぞれ歯科医や口腔外科など、専門の機関への受診が必要になります。詳細は各対処法をチェックしましょう。

アフタ性口内炎

栄養状態の不良、ストレスや寝不足といった生活習慣の乱れにより、免疫力がダウンするとできやすくなります。女性の場合は、ホルモンバランスが乱れやすい生理前や妊娠期に発症しやすくなります。アフタ性口内炎のほとんどが、ビタミンB1、ビタミンB2の不足が原因です。

<対処法>

口内が汚いと口内炎の治癒が遅くなるため、口内は清潔に。うがい薬で軽くうがいをしてから、患部に口内炎の軟こうを塗布しましょう。症状が改善しない場合は、口腔外科を受診し、ステロイド剤やビタミン剤を処方してもらいましょう。

カンジダ性口内炎

カビが原因の炎症です。菌自体は常在菌として口の中におり、健康だと数は一定です。疲労などによる免疫力の低下や唾液の減少、抗生剤の長期間服用で口腔内の細菌数のバランスが乱れたとき、菌が異常増殖して発症します。口腔カンジダ症の特徴としては、喉の奥に白いできもの(白苔)ができたり、皮膚表面が発赤(紅斑)して、舌が痛むことがあります。

<対処法>

治療としては抗真菌剤でうがいするほか、同剤を直接塗る・服用する場合があります。口腔外科で検査を受け処方してもらいましょう。

また、口の中を歯磨きや歯科医院でのクリーニングで清潔に保つことも大切です。

舌痛(ぜっつう)症

舌に限定した原因不明の痛みが続く場合は舌痛(ぜっつう)症です。舌以外の箇所にも症状がでる口腔灼熱症とのちがいは「舌だけ」が痛むことです。

<対処法>

まずは原因を調べる必要があるため、速やかに口腔外科を受診しましょう。検査で異常が見つからない場合は、精神的なものからきている可能性もあるため、心療内科の受診をおすすめします。

口腔灼熱症候群(こうくうしゃくねつしょうこうぐん)

口の中の灼熱感や異常感覚が、1日に2時間以上にわたって続き、3カ月を超えて痛みをくり返す症状を言います。検査などの診察では正常とされるのが特徴です。原因は現在でも不明とされています。

<対処法>

基本的に舌痛症と同じ治療方法になります。検査により原因が明らかになった場合は、それに対処した治療を行います。心因的な問題からくる場合は、抗うつ薬や抗精神薬の投与となります。

舌咽(ぜついん)神経痛

舌咽神経とは、舌の奥にある味覚や舌の運動をつかさどる神経です。血管が腫れたり、腫瘍ができたり、けい椎の歪みで舌咽神経を圧迫することで飲んだり食べた時に舌の奥に激しい痛みを感じます。

<対処法>

口腔外科を受診し、原因に合った治療をすることが一番です。日常でできる予防としては姿勢を正しく保つこと・ストレスをためないことが挙げられます。

ドライマウス

常に口の中が乾いている状態を「ドライマウス」と言います。原因はさまざまで、薬剤の副作用・老化・ストレス・噛む力の低下などにより、唾液が減ることで起こります。

<対処法>

病院では唾液腺を刺激する改善薬を処方します。薬の副作用が原因の場合は、薬の見直しによって症状の改善を図ります。

扁平苔癬(へんぺいたいせん)

舌にレース状の白斑ができるのが特徴です。触れると痛んだり、食べ物がしみたりします。また、口の中が荒れたり、出血したり、味覚障害を引き起こすこともあります。口腔扁平苔癬の原因は、はっきりとわかっていませんが、ストレス、遺伝的なものなどがかかわっていると考えられています。

<対処法>

病院(口腔外科)の治療として、うがい薬やステロイド薬、抗生物質入りの軟こうを使用します。病変の範囲が小さい場合には、切除したりレーザーによる治療が行われたりする場合もあります。また、痛みなど自覚症状がない場合は、治療を行わずに、経過観察をしていく場合もあります。

白板症(はくばんしょう)

舌表面が盛り上がって白っぽくなり、こすっても取れないのが特徴です。白板症の原因はハッキリとわかっていませんが、喫煙・合わない義歯の刺激などが考えられています。白板症は放っておいても治らず、がん化する可能性がある疾患なので、気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。

<対処法>

病院(口腔外科)にてレーザー治療や凍結切除を行います。

ヘルペス性歯肉口内炎

水ぶくれや潰瘍が舌にできます。一番の原因として、ヘルペスウイルスの感染が考えられます。

<対処法>

病院(口腔外科)にて抗ウイルス薬を用いた治療が行われます。ストレスで再発しやすいのでストレスをためないことも大切です。

(3)アレルギー

金属アレルギー

金属アレルギーにより、歯の詰め物が原因で舌の一部が赤くなったり白くなったりして炎症が起きる場合があります。症状はすぐに出るケースもあれば、時間がたってから出るケースもあります。

<対処法>

病院(口腔外科)または歯科医で、原因となる金属を除去してもらいましょう。詰め物はプラスチックやセラミック素材の物に代えてもらいましょう。

口腔アレルギー症候群

口腔アレルギー症候群とは、ナッツやフルーツなどの食べ物を食べたあと15分以内に、唇の腫れや舌の痛みやかゆみ、ときに舌の腫れを起こす病気です。花粉症やラテックスアレルギーの方に多く発症します。

<対処法>

じんましんが出たら抗ヒスタミン薬、呼吸症状のある時にはエピネフリンを投与など、症状に応じた治療を行います。口腔外科を受診しましょう。

次ページ:舌が荒れないための予防法

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