お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

【妊娠出産のウソ&ホント】トイレでいきみすぎると赤ちゃんが出ちゃうってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

ヨダヒロコ/六識

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

以前、この連載の中で「お産のときに便も一緒に出てしまう頻度は高い」との話がありました。そうなると気になるのは、「妊娠中にトイレで便をする際、いきみすぎると赤ちゃんが出てきてしまうのでは?」ということ。もしそうなら、トイレに行くのが不安になりますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回はそんなトイレでのいきみにまつわるウソ&ホントに迫りました! 産婦人科医の尾西芳子先生に解説してもらいましょう。

本日の「ソボクな疑問」

Q.トイレでいきみすぎると赤ちゃんが出ちゃうってホント?

istock-182809259<読者の声>

・妊娠初期にトイレでいきむと出てくるのではないかと不安。(28歳/医薬品・化粧品/販売職・サービス系)
・排便のいきみと出産のいきみはどうちがうのか知りたい。(30歳/その他/販売職・サービス系)
・母が出産のときに便なのか赤ちゃんなのかわからなかったといっていたから、トイレで変な力が加わったら産まれるかもしれないと思った。(30歳/団体・公益法人・官公庁/秘書・アシスタント職)
・陣痛がきていなければ、赤ちゃんが出てくることはないと思っていますが、ちがうのでしょうか。(25歳/その他/技術職)

尾西先生のアンサーは!?

ウソ答えは……
ウソです!

トイレでいきむだけで赤ちゃんが出てきてしまったら大変です。基本的に、“正常に”妊娠生活を送っている限りは、トイレでいきみすぎても赤ちゃんが出てくることはありません。

ただ、直腸や肛門は産道のすぐうしろにあり、出産時に赤ちゃんの頭が下がってくると直腸や肛門も圧迫されるため、排便したい感じがすることはよくあります。排便感はしゃっくりなどと同じく“反射”で、自分で止められませんから、自然といきんでしまい、その流れで分娩が進むことも。

また、出産のいきみと便意は同じ感覚なので、赤ちゃんが下りてきているのを便意と勘違いしていることも多々あります。それに、たとえ便が出てしまったとしても2~3cmくらいのうさぎのウンチ程度ですし、私たちは慣れているので、気にする必要はありませんよ。

とはいえ、これらはあくまで臨月の妊婦の話ですから、妊娠初期はもとより、長い妊娠期間中に起こることではないので、ご安心ください。ただし、冒頭で「“正常”に妊娠生活を送っている限り」といったとおり、例外はあります。それは、普段は固く閉じている子宮の入り口が緩んでしまう「切迫早産」の状態になっている人です。

切迫早産は、ひどい人であれば、下から診察すると、まだ妊娠8カ月にもかかわらず赤ちゃんが入っている袋=「胎ほう」が出かかっていることが……。そういう状態だと、トイレでいきむことで赤ちゃんが出てきてしまう危険性もあります。そのため、切迫早産の診断が出た方は絶対安静で入院することになります。

なお、妊娠中は便秘になりやすく、毎回トイレで強くいきんでいると、おなかが張ったり、それこそ切迫早産の原因になったりする可能性もあります。そうならないためにも、ヨーグルトやみそといった発酵食品を摂ったり、運動をしたりするなどして、普段から便秘解消には努めておきたいところ。それでも出ないようなら、妊娠中も安全に使える薬があるので、医師に相談するようにしましょう。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※一部画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.05.24)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2017年03月04日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

この著者の記事一覧 
ヨダヒロコ/六識

女性向けライフスタイル情報誌&Webサイトの編集者を経て、 2013年に制作プロダクション「六識」をスタート。「働く女性が笑顔でいられる生き方を応援したい」という想いで、グルメや美容、マネー、恋愛・結婚をテーマにした記事の構成~執筆を行う。2児の母として、時短グッズの情報収集に余念がない。仕事・家事・育児に追われる日々の中、月に一度のネイルが癒しに。

この著者の記事一覧 

SHARE