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【元・貧困女子FPのお金アドバイス】第4回 福利厚生の活用法

石川福美(トータルファイナンシャルアドバイザー)

元・貧困女子のFP石川福美先生が、「貧困」を経験したからわかったお金の話をします。「貧困」は意外と身近にある!? マネー知識をつけて、しっかり対策しましょう。

元・貧困女子の石川福美が、「貧困」を経験したからわかったお金の話をします。第4回は福利厚生の活用法」です。

連載第1回で「福利厚生の内容は会社によって異なる」とお話しました。でも、「そもそも自分が今勤めている会社に、どんな福利厚生があるのか、よく知らない」という人も多いのではないでしょうか。休暇制度やスポーツジムの利用料補助など、アラサー女子にとって関心が高い項目については知っていても、それ以外は興味がないという人も少なくありません。
でも、それではもったいない! 福利厚生は社員が使える権利であり、賢く活用すればお金の面でも大きなメリットを得られます。福利厚生について知ることは、実は自分のライフプランやマネープランを考える上でも、とても重要なのです。
今回は、そんな福利厚生の確認ポイントと活用法をお教えします。

福利厚生を知らなかったために損をしてきた私

そんな私も、現在の会社に就職してフィナンシャルプランナーとして働くようになるまで、福利厚生についてまったく意識したことがありませんでした。
今から思えば、新卒で正社員として就職した会社にも、きっといろいろな福利厚生があったはずですが、当時はその内容を知ろうとはしませんでした。その後、「9時17時で働ける仕事がしたい」という理由から事務職の派遣社員になり、20代半ばで病気になった時に、ようやく正社員と派遣社員では使える福利厚生に違いがあることを知りました。ただ、その時もあくまで制度の差に気づいただけで、それが自分のマネープランにどう影響するのかまでは理解していなかったのです。
たとえば、会社によっては福利厚生として「団体保険」を用意していることがあります。これは社員やその家族が加入できる保険で、民間の生命保険よりも掛け金がかなり割安なのが魅力。もし自分の会社にこの制度があれば、民間の生命保険に入らなくても、必要な保障を十分まかなえるかもしれません。団体保険では足りない部分を民間の生命保険でカバーするにしても、最小限の出費でリスクに備えることができます。
私は病気への不安からあらゆる民間の保険に加入して、毎月の保険料が5万円を超えた時期がありましたが、もし自分の会社に団体保険があれば、そんな無駄な出費をせずに済んだでしょう。福利厚生制度の内容を知れば、自分の大切なお金をどのように有効活用すべきかを正しく判断できるようになるのです。

福利厚生のチェックポイントと活用法

では、自分の会社の福利厚生について知るには、どうすればいいのでしょうか。まずやるべきなのは、「就業規則」を読むことです。これはどの会社でも、必ず書面やイントラネットで社員に公開しているので、目を通してみましょう。そこには、さまざまな福利厚生に関する項目が含まれているはずです。次のような項目を、特にチェックしておきましょう。

●「弔慰金」に関する制度

まず「弔慰金」に関する制度。会社によっては「慶弔見舞金」などの項目に含まれている場合もあります。弔慰金は、従業員やそのご家族がお亡くなりになった時に、会社からご遺族へ支払われるお金です。若い人はあまり気にとどめることのない項目かもしれませんが、大手企業になると年収の2倍から4倍、金額にして2000万円以上の弔慰金が支払われるケースもあります。会社の弔慰金制度が手厚ければ、民間の保険で高額な死亡保険に入る必要はないかもしれないのです。

●「退職金」に関する制度

老後までのライフプランを考えるには、「退職金」の項目も確認が必要です。退職金制度は大きく分けて二種類あり、勤続年数や役職によって将来もらえる金額が決まっている「確定給付型」と、毎月お金を積み立てて運用し、その結果によって将来もらえる金額が変わる「確定拠出型」があります。この両方の制度を用意している会社もあれば、どちらか一方の会社もあります。また、退職時に一括で退職金を支払うのではなく、現役のうちに月々の給与やボーナスに上乗せして支払う「前払い制度」の会社もあります。そして残念ながら、退職金制度がないという会社も……!
このように、ひと口に「退職金」といっても、その内容は多種多様。よって勤める会社がちがえば、老後に必要な蓄え方もちがってきます。しかも、現在の就業規則はあくまで今の時点でのものであり、今後は公的な年金と同様、退職金の支給額も年々減っていくと予想されます。今の会社で定年まで勤め上げるつもりであれば、自分が退職時にいくらもらえるのかをある程度把握した上で、早いうちから老後に備えて賢く準備をはじめなくてはいけません。

人生の中で貯金ができる時間は驚くほど短い

「今から準備をはじめるといっても、まだ老後までには時間があるのだから、そんなに焦る必要はないんじゃない?」

アラサー女子のみなさんは、そう思うかもしれませんね。でも実は、人生の中で老後の資金準備ができる期間は、驚くほど短いのです。お金を貯める余裕があるのは、「独身時代から結婚して子どもが生まれるまで」と「子どもが独立してから自分が退職するまで」の2つの時期だけ。結婚して子どもを持つなら、長くても合計で10数年ほどしかありません。子どもが生まれたら、家族が増えた分の生活費や教育費がかかりますし、家やマンションを購入すれば住宅ローンの支払いも加わります。入ったらすぐに出て行くお金が増え、どこの家庭も貯金に回す余裕がないのが現状です。
ですから未婚アラサー女子は、今こそお金を貯める貴重なチャンス。「老後までの時間=お金の準備ができる時間」ではないことを理解した上で、今のうちに貯金を増やす心がけをしてほしいと思います。

元・貧困女子FPがアラサー未婚女子に伝えたいこと

病気になって無職を経験し、最大で300万円の借金を背負った経験のある元・貧困女子の私が今言えることは、「今の時代は、何もしないことが最大のリスクになる」ということ。「まだ若いから何とかなる」と考え、病気も老後の生活も他人事のように思って何の備えもせずにいると、私のように想定外の危機的状況に陥るかもしれないのです。みなさんは私と同じ失敗をしないよう、連載全4回でお伝えしたようなお金の備えを早めにはじめて、前向きな人生を歩んでほしいと願っています。

(石川福美/クレア・ライフ・パートナーズ)

※画像はイメージです

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※この記事は2016年12月06日に公開されたものです

石川福美(トータルファイナンシャルアドバイザー)

トータルファイナンシャルアドバイザー。高級フレンチレストラン勤務や派遣社員を経て、2014年に(株)クレア・ライフ・パートナーズ入社。派遣社員時代に体調を崩して働けなくなり、経済的に困窮したのをきっかけに、お金や社会保障制度について知ることの重要性を実感。現在はその経験をもとに、お客さまに寄り添うコンサルタントとして、お金や将来への漠然とした不安を取り除くためのアドバイスを行っている。

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