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「保育園落ちた日本死ね!」から9ヶ月……小池都政で“待機児童”は減るのか?

8月2日、初の女性都知事として就任した小池百合子氏。過去に「クールビズ」を発案するなど、その行動力と発信力が期待されていますね。実際に就任直後から「築地・豊洲市場の移転問題」や「東京オリンピックの費用見直し」などバシバシ切り込んでいます。そんな小池知事の下、東京都はどのように変革していくのでしょうか?

今回は、『ギャル男でもわかる政治の話』の著書であり、歯に衣着せぬ物言いと分かりやすい政治解説で定評のあるおときた俊さんに、働く女性が注目すべき、「東京都の今後」についてお伺いしました。

ママたち注目! 小池都政による「子育て政策」の注目ポイントとは

●ズバリ! 小池都政で待機児童は減っていく!

編集部:「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログが話題となるなど、東京都における「待機児童問題」は深刻です。小池知事のもと、どのように改善されるのでしょうか?

おときたさん:小池知事がやろうとしていることの一つは「量的拡大」です。今、一番の問題となっているのは保育所に入れないこと。理想は、民間が運営する認可保育園が充分あることですが、今は小規模保育などいろんな形態の受け皿がある。短期的に数を増やそうとおもったら、そちらの方が量的拡大をしていきやすい。そこで小池知事は「空き家の活用」を行い、保育園に入れない子どもを限りなくゼロにしようと動いています。

とはいえ保育園という「箱」だけ用意してもダメなので、そこで働く保育士の待遇改善も同時に行おうべく「保育士に対する住宅補助」を実施予定です。また、来年以降は安月給が叫ばれる、保育士の給与面の改善も図っていくようです。

編集部:保育士の給与を引き上げるのは大切だと思うのですが、都の財源から考えて実現可能なのでしょうか? 都民に別のカタチで負担がかかってしまったりしないのでしょうか?

おときたさん:ようはどこの予算を配分するかの話ですよ。今、東京都は財源的には豊かと言われています。実際オリンピックにあれだけのお金をバーンと出せちゃっています。いろんな財源の組み換えで充分にそうしたお金は捻出できると思います。

編集部:なるほど! では、都民の暮らしに必要なサービスの運営予算が削られるのではなく、ムダを削減して予算を捻出するということですね!

おときたさん:何をムダと言うかにもよりますが……。ある程度予算の組み換えを行い、調整するはずだと思いますよ。

●子どもを生むのが心配……「児童手当」は引き下がる?

編集部:子育て家庭を経済的に支援する「児童手当」ですが、今後年金と同様に支給額の引き下げは起こるのでしょうか?

おときたさん:引き下がることはまずないと思います。というのも、引き下げることは今の「子育て支援」の流れから逆行することになるからです。

編集部:では、今後の行方としては安定的に支給されていく?

おときたさん:今の金額であればそうですね。現政権も「児童手当」を増やす方向で話し会いをしており、実際にひとり親に支給され得る「児童扶養手当」については第二子増額が決まりました。増えることはあっても、「減る」ことは考えられないと思います。

編集部:それが聞けてよかったです。これから子どもを産む世代として安心しました。

●残業なんてありえない時代が到来?

編集部:「ワークライフバランス」についてはどうでしょうか? 電通の女性社員が自殺するなど、世界から見ても日本は依然として残業の多い国ですが……。

おときたさん:都庁の職員が20時に帰宅するのを始めましたよね。この取り組み、一般企業ではなく、都庁の職員が行うだけなので「意味ないじゃん」って思う人も多いとは思います。しかし、そもそも日本の今の仕組みは「官僚制度」がやったことを真似して出来ているのをご存知ですか?

「年功序列」といった制度は、霞ヶ関が最初に始め、それを大企業が真似して同じようなスキームを作ったんですよ。そうして国全体に派生していくのがわが国の会社員システムなわけです。

だから霞ヶ関とか都庁といった「象徴的な官僚組織」がそういうことを始めると、民間に普及していくことが期待されます。そういう意味ではすごく意味がある取り組みだと思います。都庁の20時定時が徹底されれば、いずれ民間企業にも浸透していくと思います。

編集部:それは都庁もやってるから民間もやらなければ、みたいな感じでしょうか?

おときたさん:そういった面もありますが、物理的な面でもです。官公庁相手に仕事している民間企業の場合、仕事相手が20時に帰ってしまうなら、自然に20時までに仕事せざるをえなくなりますよね? そうすると、そこの取引先も20時までに仕事を終わらせなければならない……。こういう風に連鎖していくことで、民間企業は20時までに仕事を終らせるクセがついていくと思います。そういう意味で、この取り組みは非常に期待ができますね。

編集部:日本の社会システムに合った取り組みだったんですね。今後、もっと早い時間の帰宅が定着し、アフターファイブやアフターシックスを楽しめる人が日本に増えるといいなぁと思います。ワーキングマザーの雇用改善はどうでしょうか? 小池知事の政策の下、どのように改善されていくと思いますか?

おときたさん:ひとつあるのはテレワークです。こうした多様な働き方を都庁職員から始めていくことで、専門スキルがあるけども会社で働けない人たち、ママさんや障害者の雇用機会の増加に繋がるかと思います。

編集部:PCを使う仕事の場合、オフィス外での勤務はセキュリティの面で心配がありますが、その辺は大丈夫なのでしょうか?

おときたさん:セキュリティとは言いますが、極論を言えば「程度や気持ちの問題」です。銀行決済だってネットでできる時代に、テレワークが危険というのはナンセンスであり感覚論でしかないと思います。

ただ、テレワークに補助金を出せるかというとそれは難しいので、商慣習として広まるべきだと思います。こちらの件に関しても、都庁から働きかけをしていくことが大事かなと思います。

編集部:ということは、今後都庁からそういう働き方が始まっていく可能性があるのですか?

おときたさん:そうですね。都庁保育園も始まりましたし、政治的に勢いのある小池知事がやることで、働く女性を支援していく流れが定着し、民間企業もキャッチアップして行くと思います。

編集部:女性は特に、出産のタイミングで一旦職場から離れてしまうので、テレワークが広がったらうれしいですね。最後に、男性リーダーとちがって小池政治に期待できるポイントは何でしょうか?

おときたさん:そうですね。まず政治に置いて「属性」はとても重要で、男性が発しているか女性が発しているかで人々から得られる共感や支持は変わってきます。その前提の上で、今東京都が抱えている「待機児童問題」や「ワーキングマザー問題」に対する「発信力」は、小池知事が「女性」ということでかなり強いと思います。お子さんはいないですが、これらの問題への当事者意識が高いので、働く女性やママたちからの強力な支持が得られるでしょう。そして、そうした追い風をうけて、子育て問題や女性の働き方が大きく改善されていくのではないかと思います。

編集部:なんだか希望がわいてきました。今後、東京がどう変わるのか楽しみです。政治家としてはもちろんですが、同じ女性としても、小池知事の今後の活躍に目が離せません!

(取材・文/マイナビウーマン編集部 梅津千晶)

『ギャル男でもわかる政治の話』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

定価 :1512円(税込)

定価 :1512円(税込)

お話を伺ったのはこの方!

おときた駿 (おときた しゅん)

早稲田大学卒業。2013年6月、東京都議会議員選挙に地元北区から立候補、初当選。みんなの党、日本を元気にする会を経て現在は、無所属の都議会議員。

※この記事は2016年11月21日に公開されたものです

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