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【カラダのお悩み】めまい、耳鳴り、立ちくらみ。「メニエール病」の症状と原因、対処法5つ

山本櫻子/ナナネール!

西端 慎一

身体の不調は老化への第一歩! 専門家監修のもと、不調のメカニズムを解明し、健康的なキレイ女子になるための解決方法をお届けします♪

近ごろ、よく耳にするようになった「メニエール病」という病。たまに起こる耳鳴りやめまいに不安を覚えたことはありませんか? 自覚症状としては大変つらいものですが、人に伝えづらく我慢してしまう人もいるかもしれません。気になる症状とメニエール病について、西端耳鼻咽喉科の西端慎一先生にお話を伺ってきました。

◆今回のお悩み


起き上がるときや頭を上げるときなど、めまいや立ちくらみがひどい。耳鳴りもして吐きそうになる。ときどき外からの声は聞こえるのに自分の発する声が聞こえなくなる。どこが悪いのかわからない。(31歳/金融・証券/事務系専門職)

◆「メニエール病」の症状と原因とは?

・耳鳴り、めまいのメカニズムとは?

めまいや耳鳴りを引き起こす原因でもっとも多いのは「内リンパ水腫」という状態です。耳の奥にある内耳には水で満たされたかたつむり状の蝸牛(かぎゅう)という器官がありますが、内リンパ水腫ではこの蝸牛の水圧が高まり腫れてしまいます。蝸牛を満たす水は、代謝により吸収と生産が繰り返され、常に一定の水量を保っていますが、さまざまな要因で吸収率が悪くなる、または過剰に生産されてしまうということが起こって水がたまり、水風船を膨らませたような状態になってしまうのです。内耳は聴覚や体の平衡感覚をつかさどっているため、この不調がめまいや立ちくらみ、耳鳴りといった症状につながります。

・メニエール病ってどんな病気?

メニエール病とは、めまいや立ちくらみ、耳鳴りなどの症状が反復する病気です。

女性に多いと言われるメニエール病ですが、実際は男性の発症率と比べて女性のほうが少し多い程度だといいます。また、以前は耳鳴りやめまいによって受診する人は殆どメニエール病と診断されていましたが、正確な診断基準ができた現在はメニエール病と診断される人はかなり少なくなっています。現在はメニエール病よりも「良性発作性頭位めまい症」と診断されることがもっとも多いです。

同じ症状が二回以上起こらなければメニエール病の診断はできないため、初めて起こった症状でメニエール病と診断されることはありません。したがって、初診では「メニエール病の疑い」にとどまり経過観察となります。そして、めまいや立ちくらみなどの症状は一回で終わる、もしくは軽い状態で自然治癒することもよくあります。

病院に行くまでもないと感じる軽度の場合や、一度きりですぐ治る症状であれば、そこまで敏感になる必要はないかもしれません。でも、症状が半日以上続いたり、何度も同じ症状を繰り返したりするようなら注意が必要です。

メニエール病の原因はまだはっきりとわかっていませんが、ストレスや過労、睡眠不足などによる自律神経失調症が引き金になると考えられています。性格面では大らかな人より几帳面、完璧主義者のほうが発症しやすく、職種では中間管理職などストレスを抱え込みやすい立場の人が発症する傾向にあります。初期症状はふわふわするような立ちくらみや、一時的に低音の聞こえが悪くなる難聴の症状が挙げられます。

・めまいや立ちくらみには重大な病気が潜む可能性も

めまいや立ちくらみの症状と同時にろれつがまわらなくなる、横になっても症状が悪化するケースでは脳梗塞など重大な病気の可能性があります。このような場合はすぐに救急車を呼びましょう。また、メニエール病の症状を放置すると内耳機能が壊れて難聴になることがあります。難聴を長期間放置すると、元どおりになることはありません。症状を適切に見極めることが肝心です。自分で判断できない場合は迷わず病院へ行きましょう。

・メニエール病と診断された場合の、仕事との向き合い方は?

メニエール病は仕事によるストレスが原因で発症することが多いとされています。もし、メニエール病になってしまったら、治療を進める上で職場環境を見直す必要が出てくることもあります。主治医と相談の上、残業を減らしてもらうなどの対策をとりましょう。休暇をとる場合は、職場復帰のハードルが高くなるケースもあるようなので、よく考えて決めたほうがよいでしょう。

◆あなたの「メニエール病危険度」を10個のチェックリストで確認しよう!

 

【チェック項目】

1.起き上がるときやバスルームでめまいや立ちくらみがひんぱんに起こる。
2.慢性的な睡眠不足、または睡眠の質が悪いと感じる。
3.悩みごとについてずっと考えてしまう癖がある。
4.キーンという耳鳴りがたまに起こる。
5.トイレに行きたくないので、飲料を我慢することがよくある。
6.ストレスが溜まっていると思う。
7.特別な理由がなくめまいや立ちくらみが起こり嘔気・嘔吐が伴う。
8.寝て起きても症状が続いている。
9.難聴、耳鳴り、耳閉鎖感が半日以上続く。
10.めまいが一時的ではなく、10分〜数時間続く。

【結果】

◆1〜6にのみ、3つ以上当てはまる:今のところメニエール病の心配はなさそうですが、自律神経失調症気味かもしれません。栄養バランスのとれた食事と適度な水分をとり、睡眠時間を確保して体調管理に努めましょう。

◆7〜10のいずれかにひとつでも当てはまる:深刻な症状が現れています。早いうちに病院に行き、専門医による診察を受けることをオススメします。

◆メニエール病の予防と症状が出た時の対処法5つ

1.睡眠リズムを整える

睡眠は1日働いた体を回復する重要な役割を担います。週に2回以上、徹夜や寝溜めを繰り返すことは体内時計の乱れや自律神経の不調につながり、耳鳴り・めまいの症状を悪化させる恐れがあります。メニエール病を予防するセルフケアとしては睡眠を適度にとる、朝はなるべく一定の時間に起きるなど、規則正しい睡眠リズムを身につけることが有効です。

2.1日30分の有酸素運動をする

1日1回、30分程度の軽い有酸素運動をすることもメニエール病の予防に効果的です。激しい運動は症状を悪化させるので、ウォーキングなどの緩やかな運動を推奨します。

3.ゆるやかに水分補給をする

内リンパ腫の予防や症状の軽減には、水分を摂取することも効果的と考えられています。しかし、一気に飲むのはNG。1時間に1度時間をおきながら、コップ一杯の水を飲みましょう。目安として1日に体重×35〜40ccの量を飲むのがよいとされています。なお、水分はノンカフェインで砂糖や塩が入っていないお茶、もしくは水を選ぶのがポイントです。

4.症状が出たら安静にする

日常生活で症状が出た場合の対策としては、横になるなど安静にして過ごすこと。メニエール病と診断された後のめまいは、患側(耳鳴りのある側)の耳を上にして横になるといいとされています。

5.アルコールは適度にたしなむ

メニエール病患者は、抗利尿ホルモンと呼ばれるバソプレッシンが影響しているという説があります。基本的に飲酒は好ましくありませんが、アルコールには、このバソプレッシンの分泌を抑える働きがあるため、ストレス発散の観点から見ても体調などを考慮した適度な飲酒は、許容されると考えられています。なお、脱水症状を招かないためにお酒を飲む際は水も一緒に飲むよう心がけましょう。

まとめ

メニエール病についてはまだ解明されていないことも多いですが、ここであげた対策と予防法については立証されているので、ぜひ参考にしてみてください。睡眠の質を悪くする、ベッドでのだらだらスマホを慎む、自分なりのストレス発散方法を見つけるなど、小さなことに目を向けていくのも第一歩。今日からできることばかりなので、早速はじめてみてくださいね!

(取材協力:西端慎一、文:山本櫻子/ナナネール!)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.26)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年10月27日に公開されたものです

山本櫻子/ナナネール!

編集プロダクション「ナナネール!」所属ライター。美容師、メイク部員として10年美容業界にいた経験を活かし、ハサミとブラシをペンに持ち替え執筆中。特にアラサー女性の流行に敏感。ナナネール!ではビューティー、ヘルスケアを中心に雑誌「Can Cam」「Ranzuki」WEB「美的.com」「@cosme」「KADOKAWA 魔法のiらんど」他を担当。会報誌、カタログ、広告、Web動画なども制作している。

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西端 慎一

医療法人社団西端耳鼻咽喉科理事長。北里大学医学部耳鼻咽喉科講師(非常勤)。1978年北里大学病院医学部卒業後、同大学病院でめまいを専門に診療を行う。国立相模原病院では耳鼻咽喉科医長を務め、アレルギー治療にも精通。現在はビジネス街、有楽町で50年以上続く西端耳鼻咽喉科の院長を務めながら、東京都の花粉対策検討委員会に20年以上に渡って協力するなど多方面に尽力。

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