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シャンプーは断然“夜”! 皮膚科医が教える、トラブル別「頭皮」悩み解消法

石部千晶/六識

吉田貴子

かゆみやフケ、ニオイなど、女性でも悩んでいる人が意外と多い“頭皮”のトラブル。「黒い服の日に、服に落ちたフケが目立って恥ずかしかった」「彼の肩に寄りかかったら、頭がくさいと言われた」なんて悲しい経験はしたくないですよね。そこで今回は、働く女性を対象に「頭皮」に関する悩みについてアンケート調査を実地。また、頭皮のトラブルの原因や対策について、渋谷スキンクリニックの院長・吉田貴子先生に教えてもらいました。

Q.「頭皮」にまつわる悩みはありますか?

※『マイナビウーマン』調べ。調査日時:2016年7月11日~19日、調査人数:122人(22歳~34歳の働く女性)

はじめに、頭皮にまつわる悩みがあるかを聞いたところ、4割近くの女性が悩みを持っているということがわかりました。具体的には、どのような症状で悩んでいるのでしょうか。

■頭がかゆくて仕方がない……!

・「夏場は頭皮がかゆくなることがある」(29歳/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)
・「毎日キレイに洗っているのに、夕方になるとなぜかかゆくなる」(29歳/医薬品・化粧品/秘書・アシスタント職)

■フケが肩にポロポロと……

・「乾燥のせいか、季節問わずフケが出てしまう」(28歳/食品・飲料/販売職・サービス系)
・「頭をかくと、フケの塊のようなものが爪の間に挟まることがある」(24歳/情報・IT/技術職)

■頭皮がくさい……!

・「夕方から夜、頭皮のニオイが気になることがある」(29歳/ソフトウェア/技術職)
・「アブラっぽいにおいがする」(33歳/食品・飲料/事務系専門職)

主に「かゆみ」「フケ」「ニオイ」に悩んでいる女性が多いことがわかりました。

<皮膚科医に聞く、トラブル別「頭皮悩み」解消法>

頭皮トラブルについて、何とかしたいとは思うものの、どうやって改善していけばいいのかはイマイチよくわからないもの。毎日の習慣を意識することで、頭皮のトラブルを防ぐことはできるのでしょうか? そこで、吉田貴子先生に、頭皮トラブルの原因や改善方法について教えてもらいました。

■かゆみの原因と対策

吉田先生「頭がかゆくなる原因のほとんどは、頭皮のカビです。人間の皮膚は無菌状態ではなく、常在菌と呼ばれる細菌や真菌が住みついています。

頭皮のかゆみを起こすのは、真菌(カビ)の1種である“マラセチア菌”という菌です。これは、湿った状態、シャンプーをしていない状態で増殖しやすく、それによりかゆみや赤みといった皮膚炎の症状をもたらします。

菌の増殖と皮脂の過剰分泌が原因で起こる代表的な皮膚病を、『脂漏性皮膚炎』といいます。『フケ症」と聞けばピンとくる方もいると思います。

脂漏性皮膚炎になった場合には、毎日の洗髪と、洗髪後の頭皮の乾燥が大切になります。また、洗髪の際、洗浄力の強いシャンプーを使用したり、熱すぎるお湯で流すのはNGです。必要な皮脂まで落とされ、皮膚が本来持つバリア機能が低下してしまいますので、注意が必要です。特に、30代に入ったあたりから、洗浄力が弱いシャンプーを選ぶのもいいと思います。アミノ酸系のシャンプーがオススメです。使用するお湯は、38度ぐらいのぬるま湯がいいですね。1日1回だけ洗髪することを推奨します。

このほか、頭皮のかゆみの原因として挙げられるのは、『アトピー性皮膚炎』です。皮膚の保湿成分が少なくなり、全身の皮膚のバリア機能が低下してしまうので、頭皮も乾燥しやすくなります。さらにアレルギー体質も重なり皮膚炎が起こってしまうんです。

また、頭皮の雑菌が増殖し、炎症を起こしてかゆみが出てしまう場合もあります。爪でひっかくように頭を洗って頭皮が傷ついたり、シャンプーをしない日が続いたりすると、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。

頭を洗うときは、爪を立てずに、指の腹でやさしく洗うようにしましょう。頭皮専用のブラシを使用するのもいいと思いますが、強く押し付けないように注意してください。

さらに、ストレスもかゆみを起こす原因になることがあります。精神的に不安定なときや、ハードワーク、寝不足、また不規則な生活など、私たちの身の回りにはたくさんストレスがあります。心当たりのある方は、精神を安定させること、規則正しい生活を心がけるようにすることを試みてください。食事は、やはりバランスのいい食事を摂ることが大切です。そして、ゆっくり入浴時間をとることも、いい睡眠につながりますのでオススメです。

夏にかゆみを感じている人が多いようですが、それはやはり汗が関係していると思います。汗をかいてムレることで、カビが繁殖しやすくなるんです。また、汗自体の成分(アンモニアなど)でも、かゆみを起こしやすくなると考えられますね」

■フケの原因と対策

吉田先生「人間の皮膚は通常1カ月くらいの周期で入れ替わっています。これをターンオーバーといいます。そのときに剥がれ落ちる、古い頭皮の角質がフケの正体です。なので、本来フケは誰にでもできるものなんです。

フケで悩んでいる人の皮膚はこの周期が早まっているので、本来剥がれるべきではない角質も同時に剥がれ落ちてしまい、目に見える形で塊として出てきてしまいます。

ターンオーバーの乱れは、皮脂が過剰に分泌され、頭皮の常在菌が異常繁殖してしまうことから起こります。「フケ症」は「脂漏性皮膚炎」という病気です。脂性の人がなりやすい病気ですが、食事に関しては脂の多い食べ物を減らすことより、バランスのいい食事を摂ることを心がけてください。皮脂の産生を抑える効果のある“亜鉛”や“オメガ3脂肪酸”が豊富なものを摂るといいと思います。いい睡眠やストレスのない生活も、改善につながります。

スキンケアとしては、原因となる常在菌を抑える抗菌薬入りシャンプーが市販されていますので、気軽に購入できます。皮脂をしっかり落とせるシャンプーも、フケ専用のシャンプーとして発売されているので、使用してみるのもいいと思います。また、常在菌は湿気を好むので、洗髪後はしっかり乾かすことも大切です」

■ニオイの原因と対策

吉田先生「ニオイの原因には、雑菌と皮脂の2つが考えられます。頭皮が脂っぽくてニオうという人は、ひとまず、お風呂上がりに髪をよく乾かすことからはじめてみてください。生乾きの状態が長いと、ニオイの原因である雑菌が繁殖してしまいます。

また、もう1つのニオイの原因である“皮脂”を適切に落とす必要があるので、使用しているシャンプーの見直しも必要かもしれません。皮脂を落とすといっても、1日に何度も洗髪をすればいいというわけではありません。洗いすぎは皮膚炎の原因にもなり得るので、よほど皮脂分泌の多い方以外は、1日1回の洗髪で十分です。

■洗髪のときに心がけておくべきこと

洗髪をするタイミングは夜を推奨します。1日の汚れを残したまま寝てしまうと、皮脂が酸化して、ニオイの原因になってしまいます。さらに、かゆみも発生しやすくなります。『夜だけでなく朝も洗髪したい』という方は、朝は夜より少量のシャンプーで軽く洗いましょう。時間がないからということで、しっかり乾かさず出かけることは厳禁ですので、気をつけてくださいね。

洗髪だけでなく、乾燥の仕方にも気をつけたいところ。髪の毛を乾かすことに気を向けがちですが、それより頭皮を乾かすことを意識しましょう。

また、夏は汗をかきやすく、いつも以上にニオイが気になるかもしれませんが、実は汗自体は無臭です。頭皮の常在菌と混ざることでニオイが発生します。正しい洗髪をする、ジャンクフードは避けバランスのいい食生活をするなど、常在菌が増えないような生活を心がけていきましょう」

<さいごに>

トラブルの種類はちがっても、原因や対策方法がリンクする部分はいくつかあるようです。洗髪では、洗浄力が強いシャンプーを避け、マッサージをするようにやさしく洗うのがべスト。「ドライヤーをしないで寝る」なんて横着をしないでくださいね。バランスのいい食事や、規則正しい生活にも気をつけて、健やかな頭皮を手に入れましょう!

吉田貴子先生
皮膚科・美容皮膚科医。2004年に渋谷スキンクリニックを開業。一般皮膚科と美容皮膚科を開設し、あらゆる肌の悩みに向き合っている。なかでもニキビ治療を得意とする。また、肌トラブルだけでなく、ダイエットやアンチエイジング、発毛治療など、美容にまつわるさまざまな悩みに対応してくれる。テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。

(取材協力:吉田貴子、文:石部千晶/六識)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.21)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2016年08月31日に公開されたものです

石部千晶/六識

「こんな情報がほしかった!と思ってもらえるような情報をお届けしたい」という想いから、舞台照明の仕事を経てライターに転職。昔から書くことが好きで、小学生のころから日記を書きためている。現在は、主にグルメや旅をテーマにした取材・執筆を行う。プライベートでは動物との触れ合いが何より好きで、牧場に行ってはムツゴロウさんのようになっている。

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吉田貴子

皮膚科・美容皮膚科医。2004年に渋谷スキンクリニックを開業。一般皮膚科と美容皮膚科を開設し、あらゆる肌の悩みに向き合っている。なかでもニキビ治療を得意とする。また、肌トラブルだけでなく、ダイエットやアンチエイジング、発毛治療など、美容にまつわるさまざまな悩みに対応してくれる。テレビや雑誌などのメディアでも活躍中。

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