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【妊娠出産のウソ&ホント】お産のとき、便も一緒に出るってホント?

尾西芳子(産婦人科専門医)

ヨダヒロコ/六識

将来妊娠したい、したくないに関わらず、妊娠・出産は未知の世界。出産未経験の女性たちが感じている妊娠・出産にまつわる素朴なギモンについて、産婦人科専門医の尾西芳子先生がわかりやすく教えてくれます。ウソかホントかわからない情報に惑わされずに、正しい知識を身につけましょう!

赤ちゃんの通り道=産道は、便の通り道のすぐそばにあります。赤ちゃんを外に出してあげるにはいきむ必要がありますが、「分娩中に便も一緒に出てしまったらどうしよう」と心配になる人も多いようです。では、実際のところ、便も一緒に出てしまうものなのでしょうか。今回は、そんなお産中の便にまつわるウソ&ホントに迫りました!

本日の「ソボクな疑問」

Q.お産のとき、便も一緒に出るってホント? 

<読者の声>

・立会い出産を希望しているので少し不安。(24歳/医療・福祉/専門職)
・出てしまうと聞いたことがある。恥ずかしいのでそれは避けたい。避けられるものか知りたい。(28歳/医薬品・化粧品/販売職・サービス系)
・助産師さんが肛門を押さえてくれると聞いた。(28歳/医療・福祉/専門職)
・いきんじゃうと、トイレに行きたくならないか不安。(29歳/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)
・分娩台にあがる前にあらかじめ浣腸とかで出し切っておくと聞いた。(32歳/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)

尾西先生のアンサーは!?

答えは……
ホントです!

全員が全員というわけではないですが、赤ちゃんを産む際はおなかに力を入れて“いきむ”わけですから、便も一緒に出てしまう頻度は高いです。

もしかするとバナナのような便が出てくると勘違いされている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。いきむときは、すでに赤ちゃんの頭は骨盤の出口いっぱいまで下りてきているので、いくら便がたまっていても、そのスキマを縫ってまで大量に出てくることはないです。出たところで、2~3cmくらいのうさぎのウンチ程度。しかも私たちがこっそり拭き取っていますし、慣れていることですので、恥ずかしいなど気にする必要はありません。「立会い出産を希望していて不安」という声もありましたが、ご主人も必死の状態にありますし、妊婦の頭側にいますので、便に気づかないことがほとんどです。

また、「いきんじゃうと、トイレに行きたくなるのでは?」と心配されている方もいますが、いきみは便意と同じ感覚なので、勘違いしているだけです。赤ちゃんが下りてきている証拠ですので、ご安心ください。

ただ、「助産師が肛門を押さえてくれる」というコメントですが、これは便が出ないようにしているわけではありません。実は、いきみが強いと、便どころか腸が出てきてしまう人がいるので、それを避けるために押さえています。それから、赤ちゃんの頭が下りてくるとどうしてもいきみたくなるのですが、子宮口が全開になるまではいきむのをがまんしなくてはなりません。肛門を押さえると、そのつらさがマシになるという理由もあります。

どうしても便が出るのが嫌なら、先に浣腸をしてもらえるように分娩前から助産師さんに相談しておくのはアリだと思います。というのも、昔は事前の浣腸があたりまえでしたが、今はしないところのほうが多いからです。

ただし、浣腸はあくまで腸の出口近くに来ているものを出すだけで、体内にあるすべての便を出し切るのは難しいです。それに、お産は初産であれば10時間くらいかかるものなので、その間に腸の上にあったものが下に来てしまいます。ですから、ある程度出るのは仕方ないものだと思って、気にしないのが一番ですよ。

(取材協力:尾西芳子、文:ヨダヒロコ、撮影:masaco)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.07.19)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※次回の更新は7月30日(土)です。お楽しみに!

※この記事は2016年07月23日に公開されたものです

尾西芳子(産婦人科専門医)

高輪台レディースクリニック副院長

日本産科婦人科学会会員
日本女性医学学会会員(専門医)
日本産婦人科乳腺学会会員

神戸大学国際文化学部卒業後、山口大学医学部学士編入学。慈恵医大病院、日本赤十字社医療センター、済生会中津病院の勤務を経て、都内の産婦人科クリニック勤務。2017年7月、高輪台にて開業。

妊娠・出産から、婦人科がんの手術、不妊治療と広く学び「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と女性のすべての悩みに応えることのできる女性のかかりつけ医を目指す。モデルの経験を活かし、美と健康に関する知識も豊富。Webの連載をはじめ、TV、雑誌、講演会で活躍中。

オフィシャルブログ
http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/

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ヨダヒロコ/六識

女性向けライフスタイル情報誌&Webサイトの編集者を経て、 2013年に制作プロダクション「六識」をスタート。「働く女性が笑顔でいられる生き方を応援したい」という想いで、グルメや美容、マネー、恋愛・結婚をテーマにした記事の構成~執筆を行う。2児の母として、時短グッズの情報収集に余念がない。仕事・家事・育児に追われる日々の中、月に一度のネイルが癒しに。

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