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【栄養学講座】第7回:別名“セックス・ミネラル”! 亜鉛と妊娠力の深い関係とは?

細川モモ

結婚の予定はないけれど年齢的に出産のリミットも近づいてきている。この先、結婚して子どもがほしいと思ったときに「産めるカラダ」でいるために、今からできることはやっておきたい。そんな働くアラサー女性に向けて、予防医療コンサルタントの細川モモさんによる、産めるカラダを維持するために今から知っておきたい栄養学を全10回でお届けします!

みなさんこんにちは、細川モモです。突然ですが、「亜鉛」というミネラルをご存知ですか?「何の働きをしているかは知らないけれど聞いたことがある」という人が多いのではないでしょうか。アラサー世代にとって亜鉛は絶対に知っておいてほしいミネラルです。なぜなら亜鉛は別名を“セックス・ミネラル”といい、男性の精子のコンディションを高め、受精の成立をサポートし、早産を予防する“命のミネラル”なのです。第7回である今回は、「亜鉛」と妊娠力の関係についてお話したいと思います。

女性だけでなく男性にも欠かせない“亜鉛”の力とは?

妊娠・出産は女性ひとりのものではありません。不妊症の50%は男性に理由があることがわかっていますので、かわいい赤ちゃんを望むのであれば夫婦で産めるカラダ作りに取り組むことが大切です。男性のカラダ作りをサポートするキーワードに《酸化》があることを覚えておきましょう。というのも、体内には妊娠成立の妨げとなる“活性酸素”と戦う抗酸化物質というものがあり、一定濃度は体内で作り出されています。これにより酸化から卵子や生殖機能を守っているわけですが、男性の精子は活性酸素と戦う抗酸化物質を有していないことがわかっています。つまり、防御力0! 非常に酸化に弱い存在なのです。ですので、男性の不妊治療では精子のコンディションを高めるため、ビタミン剤をはじめとした抗酸化物質が処方されます。

《酸化》対策が男性のカラダ作りの第一歩といえますが、実は亜鉛は防御力0の精子の中で、染色体を守っています。男性の精液中には血液中のなんと100倍もの亜鉛が存在していて、この濃度が低下してしまうと精子形成に異常が生じることが動物を対象とした研究で明らかになっています(※1)。また、亜鉛が酸化ストレスを軽減することもわかっていますので、亜鉛は精子にとって守護神のような存在なのです。

さらに、亜鉛は受精の成立をサポートする“命を育むミネラル”でもあります。受精をすると亜鉛が連続的に放出され、その強さやタイミングが受精卵の質に関わっていると考えられています。受精が成立し、見事妊娠をすると赤ちゃんは著しい速度で細胞分裂を繰り返すため、ママの血液中の亜鉛は細胞分裂を支えるために妊娠初期から後期にかけて低下していきます。

つまり、妊娠から出産を成功させるにあたり、パパ・ママ・赤ちゃん、それぞれが異なる理由で亜鉛を必要とするということです。ところが、アラサー世代の女性の亜鉛摂取量は推奨量に届いていません。働く女性の亜鉛不足率は77%と高く、就業時間が長い女性ほど摂取量が不足していく傾向にあります(※2)。精子の運動率が30%に満たない男性も3割を超すといわれていますので、妻になったあかつきにはパートナーが亜鉛不足にならないよう意識しましょう。

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