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ロバート・ウォルターズ・ジャパンに学ぶ、女性が活躍する職場とは?

下村さき

女性の職場における活躍を推進する「女性活躍推進法」が4月に施行となりました。これにより、301人以上の労働者を雇用する事業主は、男女の採用比率や、女性管理職比率の公表などが義務付けられたのです。女性の社会進出が、もはや“当たり前”という風潮にはあるものの、一方で、女性が仕事と家庭を両立させるには、まだまだ周囲の理解や制度が追いついていないのが現状。

そんななか、既に『女性社員比率50%超、女性管理職比率30%超』を達成していて、現在は28ヵ国出身の社員が活躍している会社があります。バイリンガル人材紹介会社の『ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社』です。女性が活躍する職場とはどのようなものなのか、今後女性社員・女性管理職を増やしたい企業が目指す職場とはどのようなものなのかを取材しました。

ロバート・ウォルターズ・ジャパンの職場風景。前に立っているのは社長のデイビッド・スワン氏

ロバート・ウォルターズ・ジャパンの職場風景。前に立っているのは社長のデイビッド・スワン氏

女性社員のライフスタイル

就業時間は、8:45~18:00。

8:45から15~30分程度を使い、チーム内で前日あった重要事項やキャンディデイト(クライアントに紹介する候補者)の情報共有などを行います。

時間帯が決まっているのはここだけで、「ワーキングマザーとして時間が限られた中で働くには、効率性が最も大事。情報共有以外のスケジュールを自由に組めることは、大きなメリット」と話すのは、産休・育休明け、休み前と同じ現場に戻り、2ヶ月で昇進したというキャリアコンサルタントのカルネさん。

また、マネージャーとして7人のチームを束ねる磯井さんからも、「出社前にテレビとネットでニュースチェックをするほか、他業界の友人との夕食などで情報収集をしている。もちろん、仕事後にヨガやジムで息抜きを楽しむことも」と、公私ともに充実したライフスタイルの話を聞くことができました。


社員は、定時前に仕事を切り上げる時短制度や、定時を1時間早めて働くことも選択できると言い、家庭を両立できる環境が整っているようです。

“ロールモデル”となる女性社員の存在

「ディレクターの中には、仕事で素晴らしい成果を出しながら、家庭を持ち、育児もこなす女性管理職もいる。キャリアとしても成功しているマネジメント層が多いので、ロールモデルとなる先輩が身近にいることは大きいです」(磯井さん)

日本企業で女性管理職比率が上がらない問題の一つに、「女性自身が、昇進を望まない」という声もあります。特に、家庭を持つ女性では、前例のない“女性管理職”という立場に踏み出すには勇気がいるからです。

マネジメント層の理解が必要不可欠

磯井さんをはじめとした女性社員は、ランチタイムを使ってクライアントやキャンディデイトとのミーティングに当てることも。それでも夜に予定が入ってしまったときには、「一旦18時に帰って、子供の世話をしてから、20時頃に出かける」という対応をとることもあるというカルネさん。

ライフワークバランスを考えながら、ここまで仕事を頑張れるのには、「マネジメント層が理解し、産休・育休を自ら推進してくれます」(カルネさん)「周りに合わせて残業したりすることはない。言葉や文化が違う者が一緒に働くので、アウトプットで分かりやすく示すことが大事で、結果主義。また、結果を出せば表彰されたり、モチベーションを保つ仕組みが用意されています」(磯井さん)などが理由にありそうです。

女性が職場で活躍するためには、会社で制度が整っていることはともかく、周囲の理解度によって状況は大きく異なります。制度は整っていても、「やはり、周りの目が気になって早く帰ることはできない」などでは意味がなく、こういった習慣から変えていくことが大事なのです。

“性別”に限らず、“多様性”を大事に

ロバート・ウォルターズ・ジャパンのスワン社長は、このように語ります。

「女性社員比率や女性管理職比率が高いのは、“男女平等”にフォーカスして作り上げたわけではなく、“性別”や“国籍”に囚われない“多様性”を重視した結果。多様性を持つことで様々なアイディアが浮び、ひいてはそれが会社の利益になると信じています」

印象的だったのは、この言葉。“多様性”を重視した結果、“性別”問わず人材確保をし、女性比率が高くなったということ。「なんとか女性比率を……」と考えている企業も、様々な“多様性”を信じ、“性別”や“国籍”、“年齢”など、より広い多様性を求めて人材確保に臨むことが大事なのかもしれません。

「家庭」の責任を女性だけに背負わせない

また、スワン社長は、会社だけではなく、日本の文化から変えていく必要性についても言及しました。

「日本の企業でも、既に女性が活躍するための制度は整ってきているように感じる。会社だけではなく、『家庭を持つことで、女性が犠牲になりやすい』という文化から変えていかなくてはならないのでは」

制度があるだけでは意味がなく、また制度があっても実際に使える・使いやすい環境でなくては意味がありません。女性が活躍する職場づくりは、会社だけでなく、家庭を持つ者も持たない者も、女性も男性も、互いの立場を理解しながら働くことが大事だということですね。

(下村さき)

※この記事は2016年04月13日に公開されたものです

下村さき

下村さき(しもむら さき)

1987年生まれ、早稲田大学法学部卒。恋愛デトックスカウンセラー/ライター。恋愛・結婚、仕事・ライフスタイルや、広告・イベントレポートなども手がける。自身の体験談から、未来のない不毛な恋愛のデトックス方法を専門に、恋愛スタイルを矯正する『恋愛デトックスサービス』を運営。著作に、『わけもなく男が魅かれる女 50のルール』(三笠書房)など。HP⇒http://shimomura-saki.com/

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