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【男女脳の違い】男はなぜ、大事な約束をないがしろにするの?

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします!

「今度、○○買いに行こう」「週末は○○へ行こう」

ちゃんとお願いして、「うん」と言ったはずなのに、約束当日になって、「え?何それ?何のこと?」と、ケロッと忘れている男性って意外と多いですよね。

今回は、「大事な約束であっても忘れてしまう・覚えていない男性」ついて、黒川伊保子先生にお聞きしました。

イホコ先生の解説

男は約束をないがしろにする訳じゃない、本当に「聞いていない」だけ

男は約束をないがしろにしている訳ではなく、本当に聞いていない

「約束した」「してない」「言った」「言ってない」といったケンカ、男子と暮らせば山ほどありますよね。暮らしてなくても、職場でもときに絶句するような「聞いてない」「見てない」が(苦笑)。でもそれ、女性のほうに責任があると言ったら、腹が立ちますか?

女性脳は、起きてから眠るまで、脳の言語機能を休ませることがありません。会話に関しては、常に臨戦態勢。なので、何かに気を取られていても、「あの件だけどさ」と急に切り出された会話を、最初の一字一句から聞き逃すことなく音声認識できるのです。

ところが男性脳は、ぼんやりしているとき、脳の空間認知の領域の数値計算をしているため、言語機能を休ませています。これは、男性脳にとって大事な大事な基礎計算処理。これをするから、遠くから飛んできたものから即座に身をかわしたり(あるいは獲得したり)、複雑な機構が組み立てられたり、宇宙やマクロ経済、設計思想などの難しい世界観を理解できるのです。

このため、いきなり「土曜日だけどさぁ」なんて話しかけても、言語機能が働いていないので、音声認識そのものに失敗。彼女が「何か言っている」のはわかるけれども、意味が分からない、外国人がしゃべっているのを聞いているような事態に。ようやく彼女が「何を話しているのか」分かるときには、彼女の話はかなり進んでいます。しかしここで「え、なに?」と聞き返せば、「今の話、聞いてなかったの!?」と炎上することがわかっているので、彼女に「いい?」と念押しされると、つい「うん」なんてうなずいちゃうわけですね。そんなこんななので、「聞いてない」「言った!」事件が起こるのです。男性脳の立場に立ってみたら、それなりにかわいそうでしょう?

また、女性脳は、「今の会話」に使える脳の一次処理の場所が男性の20倍以上あると言われ、人の話を二重三重に理解できます。テレビのドラマを見ながら、電話で友人の愚痴を聞き、目の前の息子に「宿題やりなさい」なんて小言を言うのは朝飯前。かたや、男性脳は、目の前のニュースを理解するだけで精いっぱい。テレビを観ていたり、他のことに気を取られている彼に話しかけても、まったく認知がかなわないのです。

「大事な約束」、そもそも彼の脳への書き込みに失敗している

メールも一緒。1つのメールに、用件を2つ以上入れると、2つとも読んではいるのに、脳の書き込み処理に失敗するのが男性脳です。また、用件が1つしかなくても、前置きが長かったら、同じことになります。長々と今日の気持ちを書いた後に、用件が2つ以上入っていたら、そのメールは、ほとんど脳に書き込まれないと見て、間違いがありません。

話始めはゆっくりと、結論から言う、数を言う

男性脳は、1人でなにかしているときは、「言語機能」が休んでいると思って間違いがありません。そのため女性は男性の「言語機能」のスイッチを入れるために、優しく、ゆっくりと声をかけましょう。私は息子にだって、いきなり話しかけません。「ねぇ、ゆうさん、今、話しかけてもいい?」と、赤ちゃんの頃から声をかけてます(微笑)。その上で、「土曜日の午前中、空いてる?」のように、結論から入ります。

NGなのは、「前から、○○しようって言ってたじゃん、去年の秋なんか、予約したのにキャンセルになったあれ。△ちゃんはもう行ったんだって」なんて、長々とした前置きから入ること。本題に入ったころには、男性脳は、かわいそうに混乱の極みにいます。

ビジネス会話なら、「○○さん、今、ちょっといい? デザインの変更点について、話があるの」と話の目的を先に。これから始まる会話のテーマを聴き取ったところで、男性脳は、対話のために使う領域を確保します。つねにひろ~い対話領域が稼働している女性なら、いきなり、「あのロゴだけどさぁ」と話しかけられても、即座に「あのラベルデザインですね」と返せるのに、男性にはこれは至難の業。たとえるなら、いきなりダルビッシュの剛速球をキャッチしろと言われるくらい難しいのです (微笑)。

なお、ビジネストークでは、数を言うことも重要です。「デザインの変更点があるの。3つね。1つ目は…、2つ目は…、3つ目は…」というように。

ところで、対話機能が男性脳の数十倍働く女性脳は、その指示をしている最中に、4つめや5つ目に気付いたり、過去の彼の失敗事例が浮かんできたりします。こんなとき、どうするか。相手が32歳未満の男子なら、いったん3つで話を完了させて、再度話し始めたほうが無難です。少し間をおいてから、「追加点が2つあるわ」というように。過去の失敗事例を言ってリスクヘッジしたかったら、「変更点は以上。ところで」と、脳のスイッチを切り替えてからにしましょう。面倒くさいかもしれないけれど、男性脳は対話に関しては、マニュアル車。それなりの手順を踏まないとエンストを起こして、もっと面倒なことになるだけです。

周囲の男たちについて「話を聞いてない」「私をなめてる」と言う女性のほとんどが、頭の回転が速くて早口です(1単位時間内に入っている言葉数が多い)。こういう女性は、男性に怖がられ、あるいは疎ましがられています(なめられているのではなく)。周囲に大切にされていないと感じたら、話し方を変えたらいい。魔法のように効くはずです。

■男性と会話をするとき、女性がとるべき行動とNG行動

<女性がとるべき行動>
・話始めはゆっくりと。相手の名前を呼び、「今、話してもいい?」などと相手の対話スイッチを入れることばを。恋人同士なら、「ねぇ」と言いながら、掌を優しく叩いてもいいかも。
話は結論から。最初に話のポイント数を言えればベスト。
・メールは、1メール1用件、前置きはなしで。

<NG行動>
・いきなり話し始める。しかも、前置きが延々と長い。

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

次回の「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は、4/18(月)更新予定です。お楽しみに!

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※この記事は2016年04月11日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書) 著書コメント:「女性脳のトリセツ完全版。彼氏に「私のトリセツ」と贈ってほしい。きっと優しくなります」

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