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【恋愛相談バー】お互い“受け身同士”の恋愛……どう進展させればいい?

高山真

都内某所にひっそりとたたずむ「マコトねえさんの恋愛相談バー」。ここには毎夜、“恋に悩める子羊”が来店し、店主であるマコトねえさんから「愛のカクテル」なるアドバイスをいただく。さぁ今宵はどんな子羊が来店するのかしら……?

マコトねえさんの恋愛相談バー vol.1

今宵のご相談

ご相談者:こここ。さん(24歳)

恋愛に対するスタンス:受け身
居住スタイル:親と同居

 相手:

未婚・彼女ナシ
居住スタイル:1人暮らし

■出会いの経緯

友達に誘われた合コンで知り合って、4~5回ご飯に行って2回デートしました。でも色っぽいことは皆無です。

■ご相談
24年間生きてきて初めて好きな人ができました。思いを伝えたのですが、返事を2カ月ペンディングされ、この前久しぶりに会ったのですが、直接返事はくれませんでした。別れた後、帰宅してからメールで「今度、お返事を聞かせてください」と言ったら「返事は、『口説いてごらんだよ』」と返事が来ました。

まったく興味がないわけではないと思ってうれしくなったのですか、これは本当に少なからず興味持たれてるってコトですか? 暗に断られてるんですか? 「口説く」ってどうすればいいんですか?

マコトねえさんからのアドバイス

「興味を持たれているのか」「暗に断られているのか」ということより、もっと突き詰めなきゃいけない問題があると思うわ。

あなたは自分のことを「受け身」であると認識してるでしょ? 彼も実は「受け身」なの。受け身同士が、お互いに「相手からのグイグイくるアプローチを待っている」状態ね。

ただ、彼の方は多少なりとも今までに恋愛経験がありそうだから、「自分が受け身である」ことを、わかりやすい形でバラすようなマネをしていない。なんだかんだで「自分が受け身体質だってことは女の人にバレたらカッコ悪い。ちょっと恥ずかしい」と思ってるんじゃないかしら。

だから「返事は口説いてごらんだよ」なんて言葉で飾っちゃってる。アタシは読んだ瞬間、そう感じたわ。

受け身であることは悪いことではないんだけど、「どちらも受け身」という状態はバランスが悪いわね。特に、あなたに恋愛経験がない今の段階では。だって、「自分からグイグイいく」って言われても、わからないわよね?

もうひとつ、困ったことがあるのよ。たいていの受け身男子は「女子からグイグイ来られるのが好き」と言うんだけどさ。それをもっと正確に言うと「俺の気持ちやタイミングをきっちり読みきったうえでグイグイ来てほしい」ってことになるから。

わがままでしょ? 困っちゃうわよね。まあ、「逆もまた真(しん)なり」で、受け身女子の中にも「私の気持ちを察したうえですてきなアプローチをしてほしい」と夢見ている子が多いのも事実なんだけど。

で、アタシね、あなたがいま気になっている彼も、そのタイプのような気がするのよ。「俺の気持ちを見切ったうえで口説きにかかってね」と思ってるタイプ。

だって、あなたに恋愛経験がないこと、たぶん、彼はうっすら知ってるんでしょ? 「まったくない」のか「ほとんどないのか」の違いまでは、あなたも言ってないにせよ。いままでのデートで、そういう話を一度くらいはしているはずだし。そのうえで、あなたは思いを伝えたわけよね?

それを踏まえても、まだ「口説いてごらん」とか言う男子なら、彼は基本的に「あなたがこれだけのことをやっても、同じ分量、同じ熱量のものを返す気が薄い」タイプだと思うの。たぶん彼、いままでのおつきあいって、「恋愛体質」の女子たちがあれこれと世話を焼いてくれた感じの交際しかしていないと思うわ。

あなたは確かに経験が少ないかもしれない。でもね、アタシから見れば、彼も彼で「自分からきちんと女子と向き合う」という形のおつきあいに関しちゃ、超経験不足よ。それがバレちゃうのが恥ずかしいと思ってるから、「口説いてごらん」なんてカッコつけてみたんだろうけどさ。

別に彼のことをディスってるわけじゃないのよ。「あらあら、百戦錬磨を気取ってるけど、かわいいわね」って思ってるくらいなの。アタシが言いたいのは、「彼のことを、経験豊富な大人の男として見るのはやめましょう」ということ。実際には彼もまだ子どもです。

「口説くってどういうこと?」というご質問にお答えするなら。あなたが勇気をもって告白したことだって、立派に「口説く」ということよ。よくがんばったわね。あなたがやったこと、何も間違ってないわ。24年かかったけれど、「人を好きになる気持ち」が自分の中にあることを確認できて、ホントよかったわね。

だからこそ、大切なことを言わせてね。あなたの気持ちに応える、応えないは、相手の領域のこと。あなたに責任や善悪は一切、発生しません。彼が「受け身男子としても、それはちょっとどうよ?」という行動をとっているのは、彼の問題であって、あなたの問題ではないんです。

それをふまえて、もうひとつ。友人は人間力で作るものですが、恋人は相性で作るものだと思います。あなたに悪いところがなくっても、ご縁がない相手というのはいるんです。

まあ、彼が多少なりとも改心して、あなたの告白に向き合おうとするのなら、それが一番いいわよね。でも、もしそうでなかったとしても「私が悪い」と思うのはやめて、相性のいい相手を探しましょう。だっていま独身なんでしょ? いろんな男子に目を向けるのは、悪いことでもなんでもないじゃない?

あなたには、「人を好きになる気持ち」がある。あなたからのそんな気持ちを自分に向けられたら、すごくうれしくなって、自分からグイグイ来てくれる男子も、間違いなくいる。そういう人たちとも恋愛のチャンスはあるのよ。というか、そういう人たちとのほうが、恋愛のチャンスは大きくなります。

そういう人たちからのアプローチや、彼らの「相手を喜ばせたい」という気持ちから生まれるいろんな行動が、今後のあなた自身にも何かしらのフィードバックをもたらすと思います。

「なるほど、自分からいくっていうのは、こういうことなのか」という面を、そのままマネするのではないの。彼らの思いや行動をきっかけにして、「私が『自分からいく』なら、どうするか。どうしたいか」ということを考えてほしいのよ。そこに、「あなたらしさ」が生まれるから。

来てくれた相手に対して、お返しをするにしても、同じこと。「彼はこれだけ動いてくれている。じゃあ、私なりに彼に何かを返すには、どうしたらいいだろう」ということを考えられるようになるのね。そして、それを自然に行動に移せるようになっていくわけ。それが「フィードバック」ということね。

「口説く」とか「行動に移す」というのは、場数とか経験も必要なもの。自分の性格やTPOに合う口説き方や行動というのは、自分自身の経験の中でしか確認できません。他人のやり方をマネしても、いいことなんてないからね。だからこそ、これからの「フィードバック」を大切にしてね!

ほかの男子があなたを喜ばせようといろいろ動いているのを見て、彼がまっとうな子だったら、自分自身を反省して、あなたにきちんと向き合おうとする展開も生まれるかもしれない。そうなったら、彼とあなたの間でセカンドシーズンが始まります。そうなったらなったで、また楽しい時期の始まりよ。

彼が「なんだよ、ほかの男に簡単になびくような女だったのかよ」と思う男だったら? クズ確定。さっさと見切りをつけられるでしょ? うふふ。

愛のカクテル

相性のいい相手との素敵な時間が、あなたにもたらす「フィードバック」。
それが今後のあなたの「力」になってくれるはずよ!

おすすめメニュー

このご相談&回答が“刺さった”方々へ――。ちょっと年上のアタシから、同世代のお友達からは仕入れられない、懐かしくてすてきな歌や映画をご紹介。“キュンキュン”をチャージして、日々をもっと彩っちゃいましょう♡ って誰よ、「ちょっと年上? すごく年上の間違いでしょ」とか言ったのは? うふふ。

★J-POP
松任谷由実『フォーカス』(アルバム『PEARL PIRECE』収録)

恋に臆病だった女子が、徐々にではあるけれど、明るく変わっていく姿を描いた、静かな名作よ。「徐々に」ってあたりがリアルなのよね。18歳くらいまでのアタシに「自分にもすてきな出会いがあるかも」と希望を持たせてくれた1曲よ。

★ハリウッド映画
『昼下がりの情事』(オードリー・ヘプバーン主演、ビリー・ワイルダー監督)

永遠の名女優、オードリー・ヘプバーン。日本では『ローマの休日』が有名だけれど、アタシは断然、こっちを推すわね。恋と呼べるほどの経験をまだしてない女の子が、世紀のプレイボーイを相手に繰り広げる、ちょっとズレた駆け引きが、超キュートなの。ラストシーン、駅でのお別れの場面は、涙ぐんでしまうほどのハッピーエンディング!

★お店の人気メニュー★

恋愛がらみ。: 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ

『恋愛がらみ。 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館/1404円)

女性ファッション誌「Oggi」(小学館)で、10年にわたり読者のさまざまなお悩みを鮮やかに解決してきた高山さんの大人気連載が、「恋愛」に特化したものを書籍化。相談者だけでなく、本を読むすべての女子に“刺さる”名言・金言が満載の、超新感覚の幸福論です。目からウロコのものの見方や考え方、男子がなかなか教えてくれない「男ゴコロ」の詳細な解説、すぐにでも実践できそうなかけひきテク、そして、女子たちのハートに寄り添い、背中をやさしく押してくれる愛情……。人気コラムニストのジェーン・スーさんも「知的ゲイは悩める女の共有財産」と絶賛する1冊です。

(文/高山真 イラスト/あべさん)

次回の「マコトねえさんの恋愛相談バー」は、4/14(木)更新予定です。お楽しみに! ※毎週木曜更新

>>>「マコトねえさんの恋愛相談バー」バックナンバーはコチラから

※この記事は2016年04月07日に公開されたものです

高山真

女友達でも絶対に言わない愛のある「本音アドバイス」に定評があるゲイのエッセイスト。ファッション誌Oggi連載の「マナー美人の心意気」を書籍化した『恋愛がらみ。: 不器用スパイラルからの脱出法、教えちゃうわ』(小学館)は、マイナビウーマンのインタビューも好評だったジェーン・スー氏も、「知的ゲイは悩める女の共有財産」「辛気臭いのは御免。私たちはいつだって、華やかに叱られたい」と絶賛する一冊。

■公式ブログ 「高山真のよしなしごと」
http://d.hatena.ne.jp/makototakayama/

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