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【男女脳の違い】「共感」より先に「批判」ばっかりする彼……男はなぜ、わかってくれないの?

黒川伊保子

よくある男女のすれ違いやケンカの原因を、「男女脳の違い」から解き明かす本連載「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?」。女性が理解できない男性の行動について、人工知能研究者であり、脳科学コメンテーターの黒川イホコ先生が解説&アドバイスします! 

「今度の週末はここへいってみない?」「う~んそこもいいけどこないだ話していた○○はどう?」

「これがいい」「こうしたい」と提案したとき、「あー、でも、ここが気になるんだよね」「他のものも見てみない?」とブレーキをかけてくる彼。結局最後は、彼女の提案通りになることが多いのに、なぜ最初から「いいね、それ!」と共感してくれないのでしょうか。

今回は「共感」より先に「批判」や「指摘」をしてしまう男性の行動について、黒川伊保子先生にお聞きしました。

イホコ先生の解説

男性の脳は、「すばやい危険察知」が第一優先。「共感」は二の次!

比較検討したいのが男性脳

男の話は、結論や指摘がまず先にくるので、女としては本当に腹が立ちますよね。男の話はなぜカチンとくるのか。その理由はなんといっても「共感力の低さ」です。女同士なら、うなずいて聞き、「あ~、ここ、よくわかる」「いいね」なんて共感したあと、「ただ、ここはどうなってるの?」と聞いてくれるところを、男性は「共感」をすっとばして、いきなり本題に。女性の会話は共感で始まり共感で落とすのが基本形なので、そんな男性の話し方に毎度ガッカリする女性が多いのです。

それというのも、男性脳が「共感」を第一義にしていないから。男性は、長らく狩りをし、縄張り争いを繰り返してきた性なので、とっさに全体を把握して不穏なものを見つける「すばやい危険察知」を脳の第一使命としています。そのため人の話を聞くときにも、不穏な点(整理されていない点、間違っていると思われる点、弱点)が先に顕在意識に飛び込んでくるので、女性からしたらそっけない話し方になっているのです。

また、「いいな」と思った提案ほど危険察知が働き、弱点が際立つので、それを素早く指摘してくる癖があります。さらにその弱点のありようを確かめるために、他の候補との比較をしたがる癖があり、「いい提案だな、これで決まり」と思っていても、「ほかの提案は?」と聞いてきます。

つまり、よくあるビジネスシチュエーションで例えると以下のような感じです。※( )内は、男女の潜在意識で考えていること。

~男性がやりがちな会話の例~
女性:「以上が、私のご提案です」
男性:(いいね、この案。さっそく実現するとなると、あ~ここ、これが気になる)「この数字の根拠は?」
女性:(いきなり、そこ!?)「……」
男性:(この案が、どれだけ優れているか確認したい)「代替案はないの?」
~終~

いかがでしたか? 女性にとっては、( )の中こそが重要なのに、省エネタイプの男性脳は、相手にアクションだけを伝えようとするので、例のようになります。

女性のみなさんは、まさかこの展開で相手が提案をほぼ受け入れているなんて、想像できないですよね? しかし男同士なら、それほど気にならないやりとりなのです。そのため男社会で生きていく女性たちは、まずはこの男性脳の癖をしっかり認識しましょう。そうしないと、何か提案する度に傷つくことになってしまいます。

プライベートでもそうです。なんでも比較検討したがる男性脳が原因で、彼女とケンカをしてしまった話を、私の講座の元生徒(男子)がしてくれました。

先週、婚約している彼女と銀座に結婚指輪を買いに行った彼。最初に入った店で最初に見つけた指輪を彼女がいたく気に入って「これにする!」と言ったそうなのですが、「もっと他のも見てみようよ」と勧めたそうです。一生モノですからね。そして、ほかのものもいろいろ見たそうですが、彼とは反対に彼女はどんどん引いていくうえ、「やっぱり最初のが一番」と言ったそうです。そこで彼はさらに違う場所へ行くことを提案したそうなのですが、それを聞いて彼女は「もういい! 結婚指輪はもういらない。結婚も考えさせて」と、怒ってしまったようです。彼としては、誠実に真剣に対応したつもりなのでしょうが……。

この出来事、彼女にしてみればかなりの「絶望感」だったのに違いありません。女性脳は直感力に優れているので、直感で買い物ができる。特に、結婚指輪のような大事なものの直感は外しません。したがって、何かに強く心惹かれてしまえば、比較検討する必要がないのです。むしろ女性脳が比較検討に入るというのは、よほど決め手の一点がない場合に限ります。つまり比較的高価な買い物で、女性が比較検討を始めたら、その場では購買決定はなされない確率の方が高いのです。

対する男性脳は、俯瞰して比較検討をするのに長けている脳なので、一つだけ見て答えを出すことができません。このため、ほかのものを見て、確信を得ようとします。一生モノの大事なものだからこそ、その比較検討の数を増やしたい、と言うのが男心なんですね。買い物における女心と男心はこんなにもすれ違っているのです。

ちなみに、男性が理解できない女性の「買物」パターンに、「フライパンを買いに来たのに、靴を見たり、バーゲンをのぞいたり寄り道をする」といった行為がありますが、女性はこの「寄り道」により直観力をチャージしているのです。無意識のうちに、自分の好きなアイテムを見て気持ちを上げることで(脳科学的には、直感の回路に電気信号を流し、電気信号が起こりやすいやすい状態にして)、フライパンにたどり着くころには、十分にチャージされた直感力によって、瞬時にイチオシが見つけられるというわけです。

そんな女性に、「ほかのも見たら」なんて声をかけるなんて、男たちよ、僭越もいいところ。

ただし、女性の方は、男子は「目的地にまっすぐ行って、いろいろ比較検討したい」脳であることも覚えておきましょう。結論、男女は、一緒に買い物にいかないほうが平和なのかもしれません(苦笑)

さて、男女脳の違いがわかったところで、こうしたシチュエーションで女性が取るべき行動とNG行動をお教えしましょう。あなたが彼に何かを提案した際、批判または指摘されてしまったときは、むっとするのではなく逆に彼が安心できるよう比較候補をだしてあげましょう。または、ほかの候補をだした上でその中でもここ(レストラン)がいいと思う、ここに行きたいんだ」と伝えるのもOK。大事なのは彼はあなたを批判したくてしているのではないと理解したうえで上記のような行動をとることです。開口一番批判されたからといって「じゃあもういい! あなたとはデートに行かない!」などとケンカをしかけるのはNGです。

■男性に批判されたとき、女性がとるべき行動とNG行動

<女性が取るべき行動>
・提案をするときはあらかじめほかの候補も挙げて行う
・彼の意見も聞いて、提案しながらほかの候補もだしてあげる

<NG行動>
・リスク回避とために比較検討したい男性脳を理解せず、怒って話を中断する

(文/黒川伊保子 イラスト/地獄カレー)

次回の「教えてイホコ先生! 男ってなに考えてるの?~男女脳はこんなに違う~」は、4/11(月)更新予定です。お楽しみに!

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※この記事は2016年04月04日に公開されたものです

黒川伊保子

脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。「市場の気分」を読み解く感性マーケティングの実践者であり、「男女脳の気分」を読み解く男女脳論の専門家、「ことばが脳にもたらす気分」を読み解く語感分析の専門家でもある。人工知能(AI)エンジニアを経て、2003年、世界初の語感分析法サブリミナル・インプレッション導出法を発表、独自の感性分析術が注目を浴び、感性研究の第一人者となる。

脳の研究からくりだされる男女脳の可笑しくも哀しいすれ違いを描いた随筆や恋愛論、脳機能から見た子育て指南本、語感の秘密を紐解く著書が人気を博し、日本テレビ「世界一受けたい授業」をはじめ、フジテレビ「さんまのホンマでっか!? TV」など、TVやラジオ、雑誌で活躍。

近著に「恋愛脳」、「キレる女 懲りない男」、「英雄の書」などがある。

株式会社感性リサーチ
http://www.kansei-research.com/

オフィシャルサイト
http://www.ihoko.com/

『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書) 著書コメント:「女性脳のトリセツ完全版。彼氏に「私のトリセツ」と贈ってほしい。きっと優しくなります」

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『アンドロイドレディのキスは甘いのか』(河出書房) 著書コメント:「人工知能と人類の付き合い方を説いた一冊。女性AI研究者が見つめてきたAIの真実」

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