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【女の嘆き】またダメかも……どうして私は、理想の男性と出会えないの?

三吉野愛子

「あの子っていいなぁ! 私なんて……」「今、私ってどう見えてるんだろう」など、他人と比較して自己評価が下がったり、同性・異性の目に自分がどう映っているかを気にしすぎたりすること、ありますよね。心理コーディネーター・三吉野愛子が、そんな複雑な女ゴコロを解説し、嘆きの処方箋を出します。自分らしく輝いて生きるヒントをチェックして!

<今回の嘆き>
20代最後の年に出会った彼と、30歳を迎える前に結婚したいと思いつつ、30歳の誕生日を迎えてしまいました。「また(この人じゃ)ダメかも……」という苦々しい気持ちとは裏腹に、彼はまったくマイペース。仕事でもプライベートでも、やりたいことはたくさんあって、結婚はもう少しあとでもいいという感じ。暇つぶしの恋愛はしたくない私は、のんきな彼に対してキツイ態度をとってしまいます。いつまで経っても、思いやりがあって責任感のあるしっかりした男性にめぐり会えないのは、私が悪いのでしょうか。

男性は、結婚を考えるとき、恋愛感情の盛り上がりとか愛情の深さという内面的な理由だけではなく、仕事上の立場や社会における自己価値など、外面的なことも考慮に入れる傾向があります。一方、女性は、結婚を純粋な愛の約束だととらえる傾向があるよう。彼が自分の気持ちをこと細かに理解し、いたわってくれること、そして安定した愛情や生活を保証して安心させてくれることを望み、感情面や経済面をケアしてくれる行為そのものを愛情の深さの証だと考える傾向があるのです。そんな女性からすれば、女性側の不安や焦りや寂しさに無頓着な男性に対して、不信感や怒りを抱くこともあるでしょう。

「私は希望を伝えたはずよね。いつまで無視するの?」
「女性は出産リミットだってあるのよ、少しは考えてよ」
「いつも自分のことばっかりで、勝手すぎるんじゃない?」
「いつまで決断しないつもり? 男として情けないんじゃない」

つまり、自分の気持ちに配慮してくれないことや、安心材料をくれないことで、彼の愛情や能力が十分でないという判断をしてしまいがちなのです。

女の嘆きの処方箋

その1 「すれちがいや誤解はあって当然。それをどうするか」が、大人の恋愛

男性側は、脳の構造上、人の気持ちを読むことが女性よりも苦手だという説があります。たとえ思いやりがないように見えたとしても、男性の多くは、わざと意地悪をしているつもりもなく、無視しているつもりもなく、彼女の愛情を疑うこともなく、淡々と毎日やるべきことをやって過ごしています。ひたすら社会で自分の居場所を獲得するのに奮闘している男性は、結婚には多くの責任が伴うため、純粋な愛や幸せの象徴としてのイメージがわかず、また、女性の気持ちを自分事として想像する力が足りない傾向があります。男性の、そういう不器用さに悪意があるのではないか、人間的な欠陥があるのではないかと疑い、女性たちが自分の感覚や価値観だけで「不誠実よ!」と裁くのは、少し残念なこと。

「自分と相手は、ちがう価値観のもとに、ちがう景色を見ている。だから、すれちがったり誤解が生じたりするのは当然のこと」という認識をしっかり持つだけで、無用な対立は減ります。末永く続けていきたい大人の恋愛は、自分を完璧に理解して満足させてくれる相手との出会いを望むのではなく、誰とでも必ず生じるすれちがいや誤解を、どう修正・補強していくかがカギとなります。

その2 自分を追いつめる考え方を手放す

「彼が結婚を決断してくれないから、私は幸せになれないのだ」とか、「彼が気持ちをわかってくれないから、私は不幸なのである」などと思っていませんか。もしそうなら、いつからか“彼次第”になっている幸せを、“自分次第”にシフトする必要があります。

私たちは、なにか出来事が起こると、自動的に感情が生まれてくると思い込んでいるところがありますが、実は自分特有の考え方のクセ(価値観・信念)によって自分自身で感情を選び取っているのです。

例1 彼が結婚を決断してくれないから、私は幸せになれない
(自分を追いつめる考え方のクセ)
・女性は、結婚によって幸せになるべきである
・男性は、女性を幸せにしなければならない

例2 彼が気持ちをわかってくれないから、私は不幸である
(自分を追いつめる考え方のクセ)
・愛する人を正しく理解するのが、あるべき愛の形である
・愛する人を不快にさせないことは、人としての最低条件である

上記のような考え方にも一理ありますが、とらわれすぎると、自分の首を自分で絞めてしまうような苦しさに見舞われます。「私は、完璧な幸せのシナリオから外れている! 何かがおかしい」と自分で自分を追い込んでしまうのです。理想の幸せの基準を満たさないことで罪悪感や焦りが生まれ、そして、「私をこんなにみじめな気分にさせておいて、平気でいる彼が許せない!」という怒りになる。このような怒りは、2人の心を遠ざけることはあっても、近づけることはありません。そんなときは、自分の心に問いかけてみてください。

「この完璧な幸せのシナリオを私に課したのは、一体誰だろうか」
「この完璧なシナリオには、世界共通の合格基準があるのだろうか」
「この完璧なシナリオ通りに生きることで、満足するのは誰だろうか」
「この完璧なシナリオは、本当に私と彼が望む幸せなのだろうか」

そういうふうに冷静に考えてみると、いつか誰かに押しつけられた価値観をそのまま飲み込んでいることに気づくことがあります。たとえば、生まれ育った家や土地の慣習、自分が所属してきた仲間やコミュニティの価値観、メディアから流れてくる“世界共通の真理”のような幸せのイメージ。疑いもなく飲み込んできた価値観が、いつしか自分を縛る手かせ足かせになっていることがあります。たとえ、その考え方や価値観が正しくても、今の自分を追いつめて不幸な気分にしてしまうものなら、思い切って手放す勇気も必要です。

「○○であるべき」「○○してはいけない」という古い価値観に縛られて苦しいときは、今の自分を100点満点として認めてしまいましょう。誰かに教えられた理想の幸せのシナリオ通りじゃなくても、今の自分に「私なりに、がんばって生きてきた」「自分のペースでOK」「人とちがってもいい」「すべての人を納得させなくてもいい」という承認を与えましょう。そうやって、ありのままの自分に承認や許可を与えると、不安や焦りや恐怖から発生する怒りが暴走することも減っていきます。

「彼が結婚を決めてくれないから、私は不幸だ」ではなく、「今は結婚していない、だけどけっこう幸せ」でいられたら、いいと思いませんか。ただならぬ形相で彼に結婚を迫って、彼が思い通りに動かないことを嘆くより、自分で自分を笑顔にできる女性でい続けるほうが幸せへの近道です。

※画像はイメージです

(心理カウンセラー:三吉野愛子)

※この記事は2016年02月22日に公開されたものです

三吉野愛子

1978年、福岡県生まれ。2001年、東京学芸大学教育学部を卒業し、教育系広告代理店に勤務しながら心理カウンセリングを学ぶ。2005年より心理カウンセラーとして活動するかたわら、TV、ラジオ、雑誌の企画監修などを手がける。著書に『恋愛ダメ子の診療所』(日経ウーマン選書)。現在、東京を拠点に、現在、心理カウンセラーとして活動中。

●三吉野愛子カウンセリングオフィス ブログ
http://blog.goo.ne.jp/dearlife_2015

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