お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

夫婦ゲンカばっかり!? 逆、逆! 家族ドライブは絆を深める絶好のチャンス!!

平野多美恵/OFFICE-SANGA

行楽シーズン到来! 待ちに待ったドライブ旅行にいよいよ出発! ……のはずなのに、はじめは上機嫌にしていた子どもたちが飽きてケンカをはじめるし、夫はちょっとしたことでイライラモード全開。渋滞に巻き込まれたりしたら、トゲトゲした空気が車内に蔓延して、ママは仲介役で到着前にグッタリ……。でも、そんな渋滞ですら逆手にとって、家族の絆を深められるというのです! 神経内科医として長いキャリアを持ち、現在はトップビジネスパーソンのメンタルケアに力をいれている田中伸明先生にお話をうかがいました。

<お話をうかがったのは>

田中伸明先生

鹿児島県出身、鹿児島大学医学部卒業。医師会認定産業医、神経内科専門医、内科学会認定医、東洋医学会認定医。諏訪中央病院で地域医療に従事したあと、厚生労働省や外資系コンサルティングファームで勤務。ビジネス領域で活躍した経験を活かし、薬に頼らずに不眠を改善したり病気を治したりするとともに、よりよい人生を再考する場としてべスリクリニックを設立。現在同クリニック院長。
http://besli.jp

つい夫婦ゲンカ。子どもの前ではダメ! 絶対!!

「いつもは温厚な夫が、ハンドルを握ると人が変わったように攻撃的になってコワイ」

「狭い車内で子どもが騒いだりすると、どちらともなくイライラしはじめて。最後はいつもケンカです」

ドライブに行くと、つい夫婦ゲンカをするという声をよく耳にします。しかし、田中先生によると「子どもの前でのケンカはご法度」。しかも、その理由が非常に深いのです。

「子どもの人格はお父さん、お母さんの人格を半分ずつ受け継いでいます。両親が相手を責めあっているというのは、実は子どもにとって自分の人格が全否定されているのと同じこと。自己の存在価値が認められていないと感じてしまうので要注意。逆に、両親が相手を褒めていたら、子どもはダブルで褒められることになるんですよ」(田中先生)

さらに、同じことを3回経験すると、無意識に4回目以降も同じだと思い込むのだそう。ドライブに行くと、両親がケンカする。1回目は「そういうこともあるか」で済むのが、2回、3回と続くうちに「ドライブは嫌なもの」という価値観につながってしまうのです。

両親は子どものために出かけようと思っても、子どもにとっては「両親がいつケンカをはじめるのだろうか」と緊張状態がドライブ中ずっと続くことに。緊張していたら、車酔いや体調不良を起こしかねず、とても楽しめる状況ではなくなってしまいますよね。

車内で夫婦ゲンカはなぜおこる?

では、夫婦ゲンカをしないためにはどうしたらいいのでしょうか。

「そもそもケンカは、お互いの価値観の違いを修正しようとして起こるもの。ところが、この価値観は目に見えません」と田中先生。

たとえば夫がものすごくスピードを出すとします。その行動には、「目的地に早く着くことが重要」という夫の価値観があるのですが、ほとんどの場合、本人も気づいていないのだといいます。一方で、妻が「安全第一」という価値観を持っていると、「そんなに飛ばしたら危ないでしょ!」とケンカになるわけです。

価値観がちがうことは悪いことではないし、価値観を修正し合うことが必要なこともあります。ところが、価値観を無視して行動だけを正そうとすると、本人が無意識に行っている反応を否定するため、理解も共有もなく平行線のまま険悪ムードだけが残るという結果になるのだとか。

「大切なのは、質問することでその人すら気づいていない価値観をあぶりだすこと」と田中先生。そして、価値観には良いも悪いもないのだといいます。

「価値観はその人が一生懸命生きてきたなかで作られているので、決して否定してはいけません。『なんでそんなにスピードを出すのよ』と非難するのではなく、『あなたが車を速く走らせるのは、なぜ? 私たちを目的地に早く連れて行ってくれようとしているからなのかしら』というように、価値観に迫る質問をしましょう」(田中先生)

また、もしやめてほしいと思っていることがあれば、それを伝えることも必要。ただし、「目的地に早く着いたら、私も子どもも楽だし、いろいろできて楽しいわね。でも、事故を起こしたらせっかくのドライブが台なしになってしまうんじゃないかしら」と、あくまでも価値観を全否定しない言い方を心がけることが大事です。

ドライブは家族の絆を深める絶好のチャンス

さらに田中先生によると、「目的地に到達するという目標のもと、家族がそれぞれ役割を持ち、責任を果たすのもドライブならでは」なのだとか。安全な家の中とはちがい、ドライブ中は危険と隣り合わせ。まわりを敵に囲まれているといっても、言い過ぎではありません。そういう状況は、家族が一致団結しやすい環境でもあるのです。アクシデントがあればあるほど、それを乗り越えるごとに家族の問題解決能力を高め、結束を強いものにするいい機会。そのときに、子どもにも役割を与えることで、責任感を持てるようになるとともに、家族の一員としての存在価値を見いだすことができるようになります。

たとえばタイヤがパンクしたとしましょう。安全な場所に退避できたならば、子どもにタイヤ交換のお手伝いをさせるのです。といっても難しいことをする必要はありません。パパの手元をライトで照らすだけでもOK。パパが見慣れない工具を使っているところや、重い車をジャッキアップして、家族のためにタイヤ交換をする姿をそばで見れば、「パパってすごい!」と尊敬の気持ちも自然と持つようになるでしょう。

「トラブルが起きないようにすることも大事ですが、起きたときにどう捉えるかの方が重要です。渋滞に巻き込まれたときに険悪なムードのまま過ごすこともできますが、渋滞がおさまるまでサービスエリアでトランプなどをして過ごすなんていうのも、後々にはいい思い出に。また高速道路をおりて、一般道を走ればきれいな景色に出合うかもしれません。渋滞になす術なくイライラするのではなく、柔軟に対応すること。その対処法を子どもは見ています。妻はそんなとき、家族の心のナビゲーターに徹するのがよいでしょう」(田中先生)

子どもがグズグズしがちなドライブ、そんなとき

子どもって、目的地が遠いなどドライブが長くなってくると飽きてぐずったりしがちですよね。お菓子やDVDを与えるなんて方法もあるけれど、そんなにもたないし……。そんなときによい方法があると田中先生。

「これも一緒。子どもに役割を持たすんです。事前にドライブルートを一緒に考えるなど、子どもにドライブ中の使命を与えてごらんなさい。高速道路で寄るサービスエリアを決めさせるなど、簡単なことでいいのです。道中も子どもも参加している意識が生まれ退屈せず過ごせるのです」(田中先生)

「僕が決めたサービスエリアまであと少しだよ」と上機嫌で言うようになったらしめたもの。ロングドライブもグズることなく楽しめるし、家族の一員として自信をつけることができるでしょう。これはさっそく使えそうな方法ですね。

●家族ドライブをより楽しくするコツ

・夫の行動の裏にある価値観をあぶり出す質問でケンカを避ける!
・役割分担が大事。夫がドライバーなら妻は心のナビゲーターに徹しよう
・子どもにも役割を与えて家族で一致団結
・トラブルをも楽しもう

妻のふるまいひとつで、家族のドライブがとても充実したものになるということがよくわかりました。これからのお出かけには「役割分担」「トラブルを楽しむ」をちょっと意識して、上手に夫と子どもをナビゲートし家族の絆を深めるドライブに導きたいですね。

(取材協力:田中伸明、文:平野多美恵/OFFICE-SANGA)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.14)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2015年10月13日に公開されたものです

平野多美恵/OFFICE-SANGA

好きなものはお酒と甘味。ワイン、日本酒、焼酎、紹興酒と、醸造酒も蒸留酒もなんでもこい! 甘いものは特に和菓子に目がない。「だんご」と書かれたのぼりを見つけると、それだけで幸せな気分。カロリー過多と運動不足解消のため、ロードバイクを購入するも、年に数回しか出動せず。今後の体重増加に要注目!

この著者の記事一覧 

SHARE