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ドイツ生まれの女性写真家が、日本で生後1週間未満の赤ちゃんを撮影する理由

お父さんに抱かれて熟睡している赤ちゃん。両腕の温かい接触から生まれた安心感はまるでこの子にとっての「安全基地」。この一枚の写真は、プロカメラマンの手による、赤ちゃんの生後1週間未満の記録です。

外国人も活躍できる場になりつつあるこの日本には、14年間にわたり生後1週間未満の赤ちゃんを撮影し続けてきたドイツ人女性カメラマンがいます。ソルベイグ・ベルゲンさんです。数々の作品を通じて「子どもを持つ幸せや感動」を世界中の人々に伝える彼女、どうして日本で生後1週間未満の赤ちゃんを撮影するのか、その理由を聞きました。

ベルゲンさんが来日したのは24年前の1991年です。当初、新潟県庁で国際交流コーディネーターとして働きはじめた彼女は1年のみの滞在予定だったのが、日本人男性と恋に落ちて結婚。日本に根をおろしました。今や東京に住みながら世界中を飛び回って仕事をしています。来日のきっかけは海外の一部において感じた日本に対する偏見だといいます。

「私は大学時代から中国文学や日本学を学び、北京の旅行会社でも勤務していました。そのときの中国文学作品は日本に対する見方がすごく厳しかったです。自分の目で見てみたいと思って日本にやってきたら、日本人のやさしさやまじめさに感動しました。その後家族にも恵まれて、日本でたくさんの幸せと勇気を収穫しました」(ベルゲンさん)

そんなベルゲンさんが写真活動をはじめたきっかけは、2001年、自分の赤ちゃんの写真を知人に見せたら、その知人から撮影を頼まれたことです。以来14年間、いろいろのご縁で彼女はたくさんの方々と出会い、生後1週間未満の赤ちゃんを撮り続けてきました。その数は100人以上にのぼります。

でも、生後1週間未満の赤ちゃんを撮影するのは決して簡単ではありません。撮影場所はそれぞれのお家なので、照明や小道具をすべて持ち込まないといけなくて大変だそう。また、赤ちゃんにポーズをさせるのも一苦労です。ベルゲンさんの予想通りには撮れないこともあるけど、奇跡のような一枚が生まれることもあります。

「赤ちゃんがレンズを見つめるこの一枚を撮るとき、お母さんに後ろで赤ちゃんの頭を支えてもらって、私は目線が来るのをじっと待っていました。きれいに撮れてよかったです。赤ちゃんの撮影はみなさんの予想以上に難しいですね」(ベルゲンさん)

ベルゲンさんが自分の作品を通じて社会に伝えようとするメッセージはいたってシンプルです。それは「日本で新生児の数がだんだん減っている中で、子どもを産む大変さばかりを考えるのではなく、子どもを持つ幸せや感動も忘れないでほしい」ことです。そして、仕事をしているうちに何度も誇りとやりがいを感じたといいます。

「以前、撮影を頼んだ女性の方は、心の準備ができる前に赤ちゃんができてしまったんです。出産後も彼女はずっとその赤ちゃんを愛せずにいました。写真ができ上がったら彼女はそれを見て泣き崩れたんです。今はじめてこの赤ちゃんと向き合う勇気が湧いたと言っていました。これが私の一番の思い出です」(ベルゲンさん)

写真家として活動して14年、彼女は集大成となる初の写真集制作に挑戦しています。これまでの歩みを振り返り、今後に新たな決意を誓うこの数々の作品、ひとりでも多くの女性に届けられたらと願いたいですね!

●『ZERO week baby』volume.1 ソルベイグ・ベルゲン著
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(Keiyuu/マイナビウーマン編集部)

※この記事は2015年04月03日に公開されたものです

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